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【シナリオ】山田と佐藤と2色パン

シナリオセンター通信基礎科課題7「別れ」

いつもの町屋商店のベンチで、いつものようにカップ麺をすする山田と佐藤。何もなかったけどずっと一緒にいた高校の三年間。それも今日で終わってしまう。離れ離れになることがただただ寂しい山田と佐藤。とにかく不器用に、でも一生懸命に、お互いに気持ちを伝えたい山田と佐藤です。

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<人物>
山田一志(18) 高校3年生
佐藤誠(18) 高校3年生

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〇町屋商店・前・ベンチ
田舎街の片隅にある昔ながらの商店。
その前に置かれた色褪せたベンチに、
制服の山田一志(18)と佐藤誠(18)。
胸に「卒業生」と書かれたリボン。
お互い目を合わせないが横目でちらちら。
抑揚のないオタクしゃべりの山田と
少しどもり気味の佐藤。

山田「なんもなかったな、3年間」
佐藤「あ、うん。なんもなかった」

〇(回想)桜山高校・購買部・パン売り場
チョコとクリームの2色パンが
一つだけ売れ残っている。
その前に立つ山田。

山田「……」

チラッと横を見る山田。
少し離れたところに佐藤。
目は合わせないが、
パンと山田を交互にちらちら見ている。

山田「…俺、クリーム派だけど」
佐藤「あ、お、俺、チョコ派」

ゆっくり目を合わせる二人。
不器用にニヤッとしてすぐ目をそらす。

〇元の町屋商店・前・ベンチ
山田と佐藤、普通のカップ麺をすする。

山田「ここのラーメンは一味違う」
佐藤「あ、うん。一味違う」
山田「間違いないんだ。佐藤が見つける店は」

小さくニヤッとする佐藤。

山田「なんもなかったな、ほんとに」
佐藤「あ、うん。なんもなかった」

ラーメンをすする二人。

山田「佐藤。東京住むの?」
佐藤「あ、うん。あ、うそ」
山田「え、うそ?」
佐藤「あ、埼玉。住むのは」
山田「気をつけろよ。埼玉も仲間だから」
佐藤「な、仲間? な、何の?」
山田「東京の。仲間だから」
佐藤「あ、うん。気をつける」

ラーメンをすする二人。

山田「なんも…なかったな」
佐藤「あ、うん。なんも…なかった」

ラーメンを食べ終える二人。

佐藤「あ、あのさ」

佐藤、鞄をがさごそ。2色パンを出す。

佐藤「き、昨日買っといた」
山田「佐藤。お前、あれだな」
佐藤「え、あれ? あれって?」
山田「ナイスゥ~」
佐藤「あ、うん。ナイスゥ~」

佐藤、パンを半分に割り、山田に渡す。
パンを口に運ぶ二人。

山田「なんもなかったよな、3年間」
佐藤「楽しかった。あ…あ…うん…」
山田「……」

パンをかじる山田。

山田「佐藤。…俺もだ」
佐藤「…うん」

食べかけのパンを見つめる二人。

<終わり>

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私は女子校に通っていたのですが、私のクラスはおおまかに以下の5パターンの女子から成っていました(あくまで私見です)。

ギャル、マジメ、オタク、おちゃらけ、イケメン。

『女子高生の無駄づかい』みたいになってるけど笑。『女子高生の無駄づかい』の中でリリィちゃんが同じような分析をしていますよね。女子校あるあるなのかな。

みんな元気かしら。

というわけで、シナリオセンター通信基礎科課題7「別れ」でした。ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。

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