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【シナリオ】手紙
シナリオセンター通信基礎科課題8「万年筆」
結婚式前日、梨乃は父の営む文房具店で、母からもらった万年筆のお手入れをしてもらっています。万年筆に秘められた父と母の思い出。それを託された梨乃は何を想うのでしょう。
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<人物>
高村梨乃(27) 杏と裕の娘
高村裕(5) 保育園年長
高村裕(55) 梨乃の父。高村文具店店主
笹本杏(5) 裕の友達
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〇双葉保育園・園庭
走り回る園児たち。
隅っこにしゃがんでいる高村裕(5)と笹本杏(5)。
杏、『Momoko. Sasamoto』と名入れされた
万年筆を裕に見せる。
杏「裕くんのおじいちゃんに直してほしいの」
裕「壊れてるの?」
キャップを外す杏。曲がったペン先。
杏「大人のペンだって。お母さんのペン」
裕「大人って、小学生からかなぁ」
杏「これでお母さんにお手紙書くの」
裕「病院にお手紙届くの?」
杏「お父さんがね、杏ちゃんはまだ子供だから
一人で病院行っちゃだめって言うの」
万年筆を見つめる杏。
杏「だから、この大人のペンでお手紙書いて、
杏ちゃん一人でお母さんに会いに行くの」
裕「杏ちゃん、すごいねぇ!」
にんまり顔の杏、裕に万年筆を渡す。
受け取る裕。小さな手の中の万年筆。
〇高村文具店・カウンター
文具が所狭しと置かれた店内。
高村裕(55)、万年筆のペン先を丁寧に洗っている。
向かいの椅子に高村梨乃(27)。
梨乃「まさかお父さんがそれ返すの忘れて、
お母さんが手紙書く前に、
お母さんのお母さんが死んじゃったとか⁈
お父さんそういうとこあるよ!
ほんと良くない!」
裕「おい! おばあちゃん生きてるだろ!」
梨乃「お父さんがそういうテンションで
話すからさ~。お母さん、手紙書けたの?」
裕「書く前におばあちゃんは退院しました。
二泊三日の検査入院。結果異常なし」
梨乃「お母さんそういうとこあるよね」
裕、笑いながら、ペン先を丁寧に拭く。
裕「でもお母さん、この万年筆でちゃんと
手紙書いたんだよ、おばあちゃんに」
梨乃「退院おめでとうって?」
裕「さぁ? どうでしょう?」
静かにインクを補充していく裕。
補充されるインクを見つめる梨乃。
梨乃「…お父さん、あのさ…」
裕「ん?」
梨乃「あ、いや、なんでもない」
裕、丁寧に万年筆のキャップをしめ、
梨乃に差し出す。
梨乃「ほんとにもらっていいの?」
裕「お母さんがそう言ったんだろ?」
万年筆を受け取り、見つめる梨乃。
名入れされた『Momoko. Sasamoto』の文字。
梨乃「……」
万年筆を手に立ち上がる梨乃。
梨乃「明日絶対遅れないでね。
新婦の父が遅刻とかありえないからね」
裕「大丈夫だよ。お母さんと一緒だから」
梨乃「はぁ~結婚式の前日って
みんなこんななのかなぁ。
まだやることたくさん…」
と何か思いついたように万年筆を見る。
梨乃「……」
裕「どうした?」
梨乃「ううん。じゃあ行くね」
出ていく梨乃を見て優しく微笑む裕。
〇梨乃の家・居間
テーブルの上に万年筆と便せん。
座ってそれを見つめている梨乃。
梨乃「……」
気合を入れたように万年筆を握り、
便せんに書き始める。
『お父さん、お母さんへ』の文字。
<終わり>
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先生からのコメントを受けて指定ページ数気にせず修正しています。
万年筆、まんまと使ったことがなく。で、どうしようかなと思っていると意外と目に入ってくるもんですよね、万年筆情報。テレビでナガサワ文具センターの「Kobe INK物語」が紹介されていたり、どこだったか忘れましたが万年筆のオリジナルインクを目の前で作ってくれるサービスが紹介されていたり。万年筆ってきれいな色がたくさんあるんだなぁと思いました。このシナリオには何一つ生かせていませんが笑。
というわけで、シナリオセンター通信基礎科課題8「万年筆」でした。ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。
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