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気まぐれポエマー

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誰に向けるわけでもない、内省的な気まぐれポエム
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2018年3月の記事一覧

卒業

卒業

#ポエム #詩 #卒業

春を告げる白木蓮の花が
皆を祝福するかのように
真っ白な花弁を天に向ける

永遠に続くのかと思っていた
友との何気ない日常

気がつけば別々の道へ
まだ知らない未来を互いに想像して
ちょっとだけ淋しくなる

この駅でいったんお別れだね
次会うときはどんな顔してるかな
その日までどうか元気で

補助輪

補助輪

#ポエム #詩 #育児

上手になったなぁ
感慨深くふたつの背中を見つめる

ふと先週の練習風景に想いを馳せる
肩肘の張ったふたつの操り人形たちは
重たい鉄のヘルメットを被っているがごとく
右へ左へせわしなくハンドルを揺らす

ところがどうだろう
今はふたり並んで笑顔で風を切っている
君たちの補助輪は
もはや取り返す必要のない忘れ物だ

父は応援するぞ
いつか人生の補助輪を自らの手で外

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靴べら

靴べら

#ポエム #詩

いつも同じ場所で待っている
いつ逢えるのかもはっきりとわからない

不意に身が軽くなるのを感じる
あの人の身体
綺麗に磨かれた真っ黒な革靴
その狭間にわたしはそっと身を割りこませる

ほんの一瞬かもしれないけど
一枚の布越しに伝わるあなたのぬくもりと
窮屈さゆえに全身を貫く安堵感

そして満足げに思い切り深呼吸をするの
「でもやっぱクサっ!」

朝

#詩 #ポエム #朝

建ち並ぶ公団住宅の上半分が
赤みがかった金色に照らし出されている
一羽のカラスが裏側の冷たい影に溶け込み
何らかの自己主張を一帯に反響させている

青いポリバケツに止まるその使者に
道行く女性がふと冷たい一瞥を投げている
バケツの中は彼が求める何かが存在するのか
それとも空虚で満ちているだけなのか

答えも出ないまま駅へ向かう流れに交わる
一点に収束する各人のひとときの

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