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【海外】2007 マレーシアでの話 その3

ランチに行くからついてこいとジェスチャーで言われたのでチャンさんの車に乗った。

しかし、どんな食事があるのか、不安でいっぱいだった。

私はあまりお腹が強くないので腹痛になったらどうしよう。

アジア圏ではトイレットペーパーが無いかもしれないと言う話を聞いていたので不安だ。

ホテルには幸いトイレットペーパーがあったので安心しているが、仕事場のトイレをまだ覗いていない。

そんな事を考えていると、チャンさんの車が停まる。

「ネリサン」と声をかけて車を降りるチャンさん。

どうやらランチの場所に着いたらしい。

チャンさんについていくと、そこには何店舗かの露店が並んでいた。

見慣れない漢字で書かれたメニューや、羽のむしられた鶏がぶら下がっている店などがあった。

見慣れた「寿司」の文字もあったが、生魚の衛生状態が逆に不安だ。

自分で店を選ぶ事は不可能なので、チャンさんの進むがままに露店をめぐる。

チャンさんが選んだお店は、色々な食材が並ぶお総菜屋さんのような露店だった。

チャンさんは何か注文すると、プラスチックのパックに入ったご飯を渡される。

そして、これとこれとこれ、とショーケースに並ぶ料理を指さしていく。

どうやら本当にお総菜屋さんのような形式で、ご飯の上におかずを盛って行くスタイルのお店らしい。

チャンさんが私の分もと店員さんに伝えてくれたらしく、私にもご飯が渡される。

言葉に不自由していることを察して注文してくれているチャンさんの優しさに感動した。

私もチャンさんに倣って、おかずとなるお惣菜を選ぶ。

見た目でなんとなくわかる目玉焼き、野菜炒め、肉そぼろをチョイス。

これなら問題無く食べられそうだと一安心する。

ただ、お惣菜の並ぶショウケースの中や周りにハエがブンブンと飛び回っている事が引っかかる。

本当に大丈夫だろうか。

チャンさんにお会計方法を教えて貰い、お弁当を購入。

お会計は日本円で300円ぐらいでとても安かった。

お弁当を買うと、イートインのような席がいくつもあったのでその場で食べることになった。

「ドリンク?」と飲み物を聞かれた。

全然分からないので、とりあえず目についた「コーラ」と言っておく。

コーラはどこにでもおいてあるので困ったらコーラと言っておけば良いことはこの時学んだ。

チャンさんはコップに氷を大量に入れてコーラを注いでくれた。

コーラのなじみのある味に安心する。

そして、お待ちかねのランチタイム。

目玉焼きかと思った卵料理は油で揚げたフライドエッグだった。

味は卵なのだが、油でギトギトだ。

でもどことなく甘味と香辛料の風味を感じて嫌ではない。

野菜炒めもこれまた油を使いすぎなのかギトギトしていた。

味付けは油オンリーで野菜と油の味だった。

そぼろのようなものは、甘辛く味付けされていてスパイスが効いている。

それらが全てご飯に乗せられていたので、油と甘辛いタレがたっぷりしみこんだご飯ができあがっていた。

ご飯は日本のお米とは違った少し歯ごたえのあるインディカ米だった。

飛び回るハエが気にはなったものの、はじめてのまともな食事だ。

こんな感じの料理なら食べられない事は無いしもう大丈夫だと安堵する。

食事を終えると、チャンさんの車で仕事場に戻り仕事を再開する。

仕事は日本でもやっていた内容と変わらないので、英語の資料での伝達は苦労するものの、特に大きな問題は無かったので今後仕事については割愛する。

23時になると、仕事を終えてホテルまで送って貰える。

ホテルに戻ったあと、ディナーへ行くと言う事でロビーで待ち合わせて、現地スタッフたちと前日一人で食べる事を挫折した露店へと向かう事になった。

ここでは、現地スタッフのリーダーであるリーさんがおごってくれるようだった。

しばらくすると、リーさんが全員分の料理を持ってきてくれる。

フライドチキン、野菜炒め、串焼きのチキンと比較的に鳥が多めの料理だった。

イスラム教徒(豚がダメ)とヒンドゥー教徒(牛がダメ)な人が多い国だから当然チキン比率が高いのは分かるが…

実は私、チキンは苦手だった。

子供の頃、骨付きチキンを食べて、骨の周りの血管がグロテスクに見えたのと血の臭いで吐いてしまって以来、チキンの脂を臭いと感じてしまって、どうしても吐き気がしてしまうのだ。

それでも腹は減るし、リーさんが親切で買って来てくれたチキンだ。

食べない訳には行かない。

なので勇気を出して、まずは串焼きのチキンを手に取る。

日本の焼き鳥と違って何故か黄色い。

一体どんな味付けをしているのか、不安に思いつつも一口食べる。

甘い。

そしてフローラルな香りがする。

肉は無駄な脂が無く、純粋にチキンの味が美味しい。

もうこの時点で、過去のトラウマもチキンに対する苦手意識もなくなっていた。

あっという間に串焼きのチキンを食べきって、次はフライドチキンを食べようとする。

すると、リーさんが「ネリサン、コレ」と唐辛子が浮かぶ赤い液体を差し出す。

どうやらチキンを割いて、これにつけて食べるらしい。

一口食べる。

これも美味しい。日本で食うチキンよりこっちの方がいいのでは?と思う程だった。

ただ、つけたソースがとんでもなく辛い。

甘いと辛いで緩急つけすぎじゃないか。

それでもチキンは美味しかったので、最後まで美味しくいただくことができた。

こうして、現地スタッフのおかげで二日目の食事はなんとかなったものの、辛い物の食べ過ぎて翌日お腹を壊してしまう。


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