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幼少期にいい音を聴かせる理由

うちの子、うろうろしてしまって、何もしていないんですが・・・

おさんぽリトミックには、0才〜3才の親子さまが通って来てくださっています。

子どもたちは「レッスンを受けに来ている」なんて思っていないですから、あちこち、ご自由に動き回って、なぁ〜んにも聞いていないように見えます。

レッスンに来ている子が少ないときなんて、先生のひとり芝居になることもあります(笑)。

「こっち向いて〜〜!」って言わないし、興味を引くこともしないし、お付き添いの保護者様にも「危なくなければ、そのままにしておいて」って言います。

もしかしたら、「えっ、せっかく習いに来ているのに、これでいいの?」って思うかもしれませんね。

でも、0〜3才の子が18才まで続けて、その後、音楽が大好きになり、技術も身につけていく様子を何人も見てきたわたしは、今ここで、エンターテイメントとして、子どもの気を引くより、もっと、ずっとずっと大切なことがあると確信しているから、「そのままにしておいて」って言うんです。

今日は、その解説をしようと思います。

幼少期は耳が良い

わたしが「こっちを向いて」と言わないのは、みなさんのお子さん、0才〜3才さんはとってもお耳が良いからです。

あれ?
お耳が良いなら、なおのこと、聴かせた方がいいんじゃない・・・?

わたしは今、大きな病院のリハビリ科に通っています。精算をお願いしている間、総合受付の前の椅子に座り、スマホを触りながら待っています。

ざわざわとした音がたくさん聞こえますが、そのうち、スマホに没頭して、気にならなくなります。

それでも、「坪井さーん!」と呼ばれると、すぐに気がつきます。

それはなぜだか、知っていますか?

音量はさほど変わらないのに、パッと気がつくのは、自分の名前だからです。

「この音声は、あなたにとって重要な情報だよ」という処理を脳が行なっているからです。

わたしの前後にどんな名前が呼ばれていたかは全く分かりません。

人間の脳は、とても賢くて、そうやって「雑音」と「意味のある音声」に仕分けをしています。

レッスン中、みなさんにとって重要な音ってなんでしょうか?

そう、先生の指示だったり、ピアノの音だったり、ですよね。

だから、「ちゃんとあっちを向いて、先生が何を言っているか聞いてちょうだい」って思うんですよね。

でも、子どもは違います。

0才〜3才の子どもにとっては、「身の回りのサウンドはすべて重要」なんです。

先生がコトンと楽譜を置く音、ギィっと椅子に座る音、シュワっと絵本をめくる音、ピアノの弦が鳴り止んで、最後にキュッという音。

全部、魅力に溢れたサウンドです。

子どもの脳は、すべての音を処理することなく、ぜ〜んぶ、重要なサウンドとして認識させます。

だから、教室の中は、子どもたちの好奇心の扉を開く魅力でいっぱい。そのどれも、触ってみたい、もっとよく見たい、今の音は何?こっちに行ったら何があるの?窓のそばの方が暖かい!この床は冷たくて気持ちいいなぁ。

こんなに素晴らしい魅力にあふれた世界を、子どもから取り上げるなんて、わたしにはできません。

全然聴いていないように見えても、子どもの脳はちゃんと、ピアノの音を「重要な音」としてインプットしています。

「この子の人生に必要なサウンド」だと認識しています。

オンラインレッスンと音

ところで、おさんぽリトミックでは、おやすみした子にはオンラインで動画を配信しています。

できるだけ良い音で聴いてもらえるように、機材を揃えました。

それでも、子どもの優秀なお耳には、ネットを通り、スピーカーから鳴る音は、その場で聴く生の音とは全然違って聞こえています。

インターネットを通り、デジタル処理されたピアノの音は、「ピアノの音だと認識できる範囲」で、情報が間引きされています。

子どもの耳には、「ノイズ」と呼ばれる、ピアノのサウンドには不要と思われるような音も、全部聴こえています。

そして、それこそが「本当の生の楽器の音」です。

子どもには聞こえています。

ですから、会場に来て、生の音を聴く方が聴力を育てるには適しています。

じゃあオンラインだと意味がないかというと、親子のふれあいの時間を取り、音楽を聞き、歌を歌う時間にはなりますから、無意味というわけではありません。

やらないよりやった方がいいのはもちろんですので、おやすみする場合は、ぜひ、オンラインレッスンもお楽しみください。

英語と音と耳

わたしは自分の子どもが小さかった頃、「なぜ、世間では、小さいうちから英語を聞かせておくと良いと言うのだろう?」と疑問に思い、調べたことがあります。

わたし自身は大人になるまで英語を聞いたことがなかったけど、リスニングで苦労したことはないし、英語もフランス語もしゃべれるようになりました。

でも、世の中には、大人になってからでは、まったく英語が聞き取れない、という方がいらっしゃいますよね。だから、多くの方は「苦労しないように、小さい頃に聞かせておく」って思うんですよね。

わたしが調べて分かったことは、

英語のサウンドは、日本語に比べて周波数域が広い。だから、0才〜3才の頃に全く英語を聞いたことがなければ、脳が「この音は、この人の人生に不要」と判断し、雑音として処理してしまう

ということでした。

でも、変ですね。
この理屈が本当なのだとしたら、どうして、世の中にはリスニングができる、わたしのような大人も存在するのでしょうか。

それは、英語を聴くのと同じように、「幅広い周波数帯の音楽を聞いていたから」です。

わたしは、幼い頃から、音楽好きの父に連れられ、たくさんのコンサートに行き、生の楽器演奏を浴びるように聞いて育ちました。

つまり、従来、「この音は不要」と脳が認識してしまうようなサウンドも、わたしにとっては「意味のある音」として、脳が覚えていたのだと思います。

それでわたしは、息子たちが小さかった頃、英語を習わせるのではなく、良い音のホールに連れていき、あらゆる楽器の演奏を聞かせて育てました。

今、19才と21才の息子たち、英語は一度も習ったことがありませんが、二人とも英語で苦労することはなく、ツールとして使いこなしています。

美しい音を聴き続けること

さて、長くなりました。

そんなわけで、こんなにも耳にとって大切な時期を過ごすお子さまには、わたしが計画したレッスンにはめ込むのではなく、目にするもの、耳にするもの、触れるもの、嗅ぐもの、すべてを身体中で受け止め、「この世の中はなんて魅力にあふれているんだろう!ぼく/わたしは好きなものを見つけるぞ!」という心を最優先したいのです。

それでも、おさんぽリトミックに通っている間に、脳はちゃ〜んと音を聞いています。

「この子にとって重要なサウンドだ」と認識し、インプットを繰り返しています。

だとしたら、わたしにできることはたったひとつです。

「せめて、わたしの出せる、もっとも美しい音を奏でること」

です。

おさんぽリトミックでは、どの先生にも、「美しい音を最優先にしてほしい」とお願いしています。それができる先生にしかお願いしません。

おさんぽリトミックは、土に水を染み込ませるような作業です。

表面に一気に肥料をばぁ〜っと撒くのではなく、できるだけ良質のお水を、少しずつ、浸透させます。

表面的な行動に惑わされず、どうぞ、長い目で、じっくりと良いお水をあげてください。

子どもは必ず変化します。

*   *   *

2才から18才までリトミックを習うとどんな子になり、どんな音楽を奏でるようになるか、生配信でお話します。

どなたさまも無料で視聴できます。ぜひ、ご覧ください。

子育てのコツは、「親が学び、何が良いかという判断力を身につけること」です。

いっしょに学びましょう。

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