見出し画像

今、必死に宿題をやらせなくてもいい理由

この記事は、2020年4月、緊急事態宣言下で書いたものですが、現在も同じことが言えると思います。

新型コロナウィルスの感染拡大防止により、学校が長らくお休みになっています。小中高の1年生にとっては、まだ何も始まっていないのに宿題が出る、という事態になっています。

SNSでは、「やる気のない子に大量の宿題をやらせなくてはいけなくてキレそう!」という声があふれています。

世の中には、出された宿題を楽しくこなせる子もいます。「宿題が出ていること」そのものにワクワクして取り組める子、「こなす」ということが得意な子など。このような子は「良かったねー、楽しいね!」と、その子の良さを活かしてあげたらよいと思います。

「出されたものはやらねばならない!」と感じて、決して好きでもないし、意味も見出していないけれども、義務としてやっている子。おとなしく、文句も言わず、「やらねば」とやる子もいますし、泣き喚きながらやる子もいます。

それから、どうにもこうにも手をつけず、やる気もなく、溜めに溜めている子もいると思います。

わたしは、元々、宿題にはあまり意味がなく、やらなくても将来にさほど影響はないという考えの持ち主です。そんななので、今、この状況で親が必死に宿題をやらせる必要はないと考えています。今から、そう思う理由を述べますが、そもそも「出た宿題はやらせないといけない!」というお考えの方はきっとムカムカすると思うので、お読みにならない方がいいと思われます。

「やらせなければ将来が不安だけど、しんどい・・・、やめれるものならやめたい。でも、やめてどうなるか確信が持てないから、親子共々、いやいややらせている・・・。親子関係、最悪」という方は、良かったら、安心してやめるためにお読みください。

記事は、公立のごく一般的な学校を基準にして書きました。

今、宿題を必死にやらせなくてもいい理由・その1

ふと考えました。

なぜ学校へ行き、担当の先生から授業を受けるのか、と。

それはやはり「対面」の効果、「我が子がどうか」というところを多少なりとも配慮していただける効果があるからだと思いました。

日本全国、生まれ年が同じ子は、ぜ〜〜んぶ、隅々まで、どんな内容を学ぶか本部によって決められています。

それを、日本全国の学校が「支店」となって、人数を小分けにして、対面で教えるわけです。対面は、一方通行より印象に残りやすく、理解したかどうか確認もしてもらえます。何が大きいかというと「五感」と「コミュニケーション」だと思います。

となると、今、一方通行のオンライン授業なのであれば、各支店で慣れないデジタル機器を使い、パフォーマンスが苦手な先生が付け焼き刃で用意するコンテンツよりも、国レベルでお金と技術を駆使したものを見る方が理解ができるに決まってる、とわたしなんかは思うわけです。

・・・というわけで、わたしだったら、学習理解を目的とするオンラインなら、NHKのコンテンツを片っ端から見せると思います。

学年ごとに、ほぼ全科目の全項目が網羅されています。

わたしが子どもの頃からありましたから、40〜50年かけてどんどんブラッシュアップされていった超高品質なデジタルコンテンツ(しかも無料)です。プロのパフォーマーが洗練された台本に従い、図や動画、写真など、貴重な資料を駆使して理解の手助けをしてくれるのですから、これ以上のものはないんじゃないかと思います。

これを見て、教科書のどこに書いてあるかチェックまたは付箋でも貼れば、それでOKではないかと考えます。もしかすると、学校へ行っていない分、どんどん先へ進み、一気に1年分の予習ができるかもしれません。

夢中になって見ている番組はどれか観察すれば、どの教科が好きなのかはっきり分かるかもしれません。そうしたら、学年にこだわらず、わたしだったら、どんどん学年を上げていくと思います。教科書は、取り扱い指定書店で100円〜300円で入手できます。

逆に、理解が困難な子は、学校でも苦労するということですから、どんどん学年を落としていけばいいと思います。学校に行っていたらとてもそんな余裕はないでしょうから、今はすごいチャンスですよね。そうして、興味を持って理解できるところまで教科書も遡ってあげて、「すごいね」「楽しいね」「こんなの分かったの?」って褒めてあげてください。今まで勉強が苦手だった子も自信を復活させるかもしれません。

「宿題をやらなければ学習についていけなくなるのでは?」という不安はこれで消えます。

というわけで、「今、宿題を必死でやらせなくてもいい理由・その1」は、「学習についていけなくなることはないから」です。

ちなみに、一方通行のオンラインコンテンツでどうにも埋められないことは「コミュニケーション」だろうと思います。ですから、各学校は、コンテンツを用意するのではなく、安定したグループ・トークのシステムを早く構築し、ひとりひとりの子どもの名前を呼びかけ、顔を見て声を聞くということに早急に取り組むべきではないでしょうか。

今、必死で宿題をやらせなくてもいい理由・その2

みなさんは、この未曾有の混乱の中、外出禁止で自宅にこもりっきりで、大量の宿題をこなした経験はおありですか?

もちろん、ありませんよね。

わたしもありません。

そして、・・・ここが大事です。

学校の先生だって、こんな経験は初めてです!!!

突然の休校要請に伴い、今まで学校へ行って年間のスケジュールを立てて授業を行ってきたことが、ガラガラと総崩れになり、おそらく、全国で、それぞれの先生が「とにかく、何か出す!」って感じで必死で用意されたのが宿題になっていると思います。(先生方、ごくろうさまです)

そんななので、先生方も「先生が用意した、この宿題、しっかりとこなせば確実に力になり、休校をカバーできるんでしょうね?」と言われたら、ひとりも「はい、そうです」と言えないと思います。だって、そんなの無理でしょう、あの短い期間で。

出した時点で、子どもたちがどんな毎日を送ることになるのか、どのくらい長期になるのか、学校再開したらどの状態からスタートなのか、日本全国、どなたも予測できない中で用意された宿題です。

今、わたしは、心ある先生はみんな、「宿題はほどほどでいいよ、親子関係を悪化させることなく、どうか楽しく元気で過ごして、生きてまた学校で会おうね」って思っていらっしゃると思います。

宿題をやらないことがきっかけで、家庭で虐待が起こっているなんて聞いたら、「宿題なんかいいよ!!」って必死でおっしゃると思います。

もし、そう思わないとしたら、その先生は教育者として不適任だとわたしは思います。そのような先生から教わることはどうせ少ないから、長い人生から考えたら、どんなに怒られても気にしなくていいのではないでしょうか。

というわけで、「今、必死で宿題をやらせなくてもいい理由・その2」は、「出した先生もどうなるか分からずに用意した宿題だから」です。

今、必死で宿題をやらせなくてもいい理由・その3

宿題をやらせる理由として、内容うんぬんはともかく、「やれと言われたことは我慢してやらなければならないから」という理由を挙げる方がけっこういらっしゃいます。そして、それは「社会人になったらそういう機会があるから」ということが根拠になっています。

自分が納得もしていないことを、「やれと言われたから」という理由だけでやらねばならない仕事って、そもそも面白いでしょうか?そして、そのような仕事を文句も言わずにこなす人間になって欲しいでしょうか?

昭和の「品質の良い工業製品を作る、技術の日本」ならまだしも、今の子どもたちが働く世の中で、「やれと言われたことを黙ってやる」ことが果たして重宝されるのかどうか疑問です。

それに・・・。

世の中には、「言われたことを確実にこなす」ということが、すごく得意な子がいます。得意なだけではなく、好きな子が。お父さんお母さんの中にもいませんか?

わたしは小さい頃、弟妹や友だちから「遊びの天才」と言われていました(笑)。独創的な遊びを生み出しては、周囲の子を巻き込んで、「言った通りに従わせて」夢中で遊んでいました。今でも、その頃の話をすると、「お姉ちゃんの言った通りにするのがものすごく面白かった」と言います。

人は、納得したことや好きなことなら、喜んで「言われた通りに、なんなら期待以上のクオリティでやってやる!!」と思うことがあります。

仕事も同じじゃないかと思います。仕事上で「言われた通りにやる」というのは、達成するところに期待やワクワクがあるからではないでしょうか。もし、苦痛なだけなのに「言われたからやる」のであれば・・・、おそらく、いつか病みます。

親がガミガミ、イライラと命令して「言われた通りにやること」なんか、将来、仕事には何の役にも立たないと思います。役立つとしたら、理不尽な上司の理不尽な命令にもそむかずに、我慢してやり続ける社会人にはなるかもしれません。それを望むのかどうか、よく考えて「意味のある行動かどうか」判断してはどうでしょうか。

宿題をガミガミとやらせるよりも、「好きな仕事に就き、幸せに“やれと言われたことも楽しくやる”力を身につける」方が、ずっと将来のためになるように思います。

というわけで、「今、宿題を必死でやらせなくてもいい理由・その3」は、「将来の仕事のやり方には関係ないから」です。

今、必死で宿題をやらせなくてもいい理由・その4

ただでさえ授業がないのに、宿題もやらないんじゃ、周りにどんどん差がつく!良い学校に入れないかも!!塾に行って問題なく勉強している子に追いつかない!授業についていけなくなって、勉強が嫌いになったら可哀想!!

そんな不安もあるかもしれません。

でも大丈夫です。たいした差にはなりません。

たとえば書き取り。
今やらなければ、1学期分の漢字が覚えられないかも!!

大丈夫です。

もし学校があったとしても、覚える子は覚える。覚えない子は覚えない。覚えていない子が、「必要に迫られたときに」、「覚えるぞ〜〜〜!!」と気合が入り、(たとえば受験とか漢検とか)覚える気で覚えれば、1学期分の漢字なんか、すぐに巻き返せます。

世の中には、いろいろな事情で長期間学校へ行けない子がいます。もしかしたら病気で。もしかしたら不登校で。もしかしたら災害などで止むを得ず。

それでもやっぱり、世の中は一定のバランスの元に動きます。

1年か2年、学校へ行っていない子が急激に勉強してあっという間に成績が上がって受験に成功する例もいっぱいあるし、中卒や高卒の子が社長になってメキメキと力を発揮する例も山のようにあります。

人生を長い目で見たら、この混乱期に出された宿題をやるかやらないかで、その先が決定づけられるようなことは起きません。

ましてや、今、日本全国の子どもが学校に行けてない状況で、「平常時とのズレをどうするか」が、各家庭の力量に任されるわけがありません。もう、beforeコロナの時代と同じように世の中が動くことはない、ということは決定しているのですから、どんな子が強いかといったら、afterコロナに対応できる柔軟な子ということになるのではないでしょうか。わたしならそう考えます。

というわけで、「今、宿題を必死でやらせなくてもいい理由・その4」は、「必ず巻き返せるし、その策は“授業を受けられていない”ということをベースに練られるから」です。

今、必死で宿題をやらせなくてもいい理由・その5

では、この混乱を生き抜く、力を持った子を育てるには、今、何をすれば良いか。

わたしは、その答えはひとつだと思っています。

それは、「クリエイティブな活動をさせる」ということです。

今、もっとも育てやすく、afterコロナに対応できる力は、クリエイティビティ(創造性)です。クリエイティビティは、どんな混乱にも光を見出し、行動へ移す原動力となります。クリエイティブな活動には未来があります。「仕上がり」に向かって取り組むわけですから、出された宿題をこなすのとは、時間の進み方が全く違います。

「やった〜〜〜!!!たっぷり休みがある!!」と、朝から晩まで好きなことに夢中になっている子は、そのままほっておけばいいと思います。

何をやればいいか分からない子には、少しヒントをあげるといいと思います。

折り紙でも、お絵かきでも、工作でも、料理でも、曲作りでも、レゴでも、ペーパークラフトでも、電気工作でも、木工でも、泥団子作りでも、栽培でも、クリエイティブな活動は山のようにあります。同じものを何百個も作るのもいいし、大きなものひとつに取り組むのもいいと思います。遊びを作り出すのもクリエイティビティです。

たとえば、こんなのはどうでしょうか。

1ヶ月、世界中どこにでも行ける旅行プランを立て、実際に調べ、完璧な旅行工程を作ってパンフも用意するとか。

クリエイティビティを育てるのに、こんなに適したチャンスはなかなかありません。クリエイティビティは宿題をやらないマイナスなんか吹っ飛ばします。子どもの精神も救います。試しに追い詰められたみなさんも、クリエイティブな活動をしてみてください。

わたしは幼児から高校生まで通う音楽教室を経営していますが、今、全レッスンがお休みです。

一番心配なのは中高生です。きっと、追い詰められても親には言わないだろうし、見せないだろうからです。それに、中高生は友だちとの繋がりが一番重要な時期です。

だから、週に一度、ビデオ電話をしています。先日、「自分の限界というのは、気づかないうちにどんどんストレスが溜まり、ある日突然、プツンとくる。プツンと来て病んでしまう子は、まさか自分がそうなるなんて気づいていない。だから、今、平気だと思っても、まずは誰かの顔を見て話す機会を作ること。もう一つは、なんでも良いからクリエイティブな活動をすること。そうすれば自分の身を守ることができるから」と伝えました。

中高生なら、デジタルコンテンツを作るのもいいかもしれませんね。

というわけで、「今、宿題を必死でやらせなくてもいい理由・その5」は、「今はクリエイティビティが最も大事な教育だから」です。

わたしたちは、「2学期に向けて」ではなく、「afterコロナの世の中に向けて」教育を考えなくてはいけないと思います。

*  *  *

毎朝の無料LINEメルマガ「生きる力をつける親の会」登録お願いします!

line友達追加画像

クリエイティビティを育てるオンライン・レッスン始めました!

コロナの影響下で子どもを伸ばす教育について

幼児〜低学年で築く、学習の基礎について


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?