ミューレの子たちがディズニーランドに出演した日
2019年6月23日(日曜日)、東京ディズニーランド ドリーマーズ・オン・ステージというプログラムで、ミューレ・パフォーマンス・クワイヤが歌を歌いました。
木曜日に荷物を作ってみて、衣装を詰めてみて、荷物の大きさや行程などを確認しました。最後の練習だったので、「30分、子どもだけで控え室で過ごした後、いい声で歌うためのウォーミングアップの練習」をして、1回目を本番とする練習もしました。
「やることはやった!」といういい笑顔です。準備は整えたのですが、もし悪天候だったら中止もありうるということを聞いていました。しかも、当日、行ってみて発表されるのです。
わたしは最後に保護者様に、こんな話をしました。
「やることはやりました。子どもたちも目標に向かって精一杯取り組みました。
でも、もしかしたら悪天候で中止になるかもしれません。もう、その覚悟を決めてください。もし中止になったとしても、残念だと思わずに、ここまで来られて良かったって終わりましょう。
今まで、準備も練習も全部、大人も楽しませてもらったでしょう?十分、夢を見させてもらったでしょう?もう天気の話はやめて、ここまでで充分だったと思いましょうよ。
お金も練習も無駄になったって思わないでください。無駄なことはひとつもありませんでした。
大きな夢の舞台に向かって、日常生活では体験できないような取り組みをしてきましたが、この後に及んでまだ自覚が足りない子もいます。でも、叱るのはもうやめましょう。子どもはまだ未発達だということを忘れないでください。こんなに大きな舞台でもあまり取り組みに変化が見られなかったとしたら、今、その子はその状態にあるのだ、ということがはっきり分かったということです。これ以上は、今後の課題が見えたということにして、現状で気持ちよく送り出してください。
当日は、衣装の予備も持って行っています。すべては何とかなります。体調を整えて、元気に行きましょう」
土曜日の午前中に浜松を出発し、ヒルトン東京ベイというオフィシャルホテルに泊まりました。次の日の朝7:30に集合だったので、なるべく近くのホテルに泊まることになったのです。
新幹線に乗るのが初めての子、親と離れてお泊まりするのが初めての子、お金も切符も衣装も全部、自分で管理しなくてはいけません。みんな、目標があるから自覚を持って取り組めます。
乗り換えなどの移動は、高校生2人が先頭で案内板を見ながら誘導、中学生が小学生と2人ずつペアになり、その1人だけは迷子にならないように連れていくことにしました。途中で間違えるのも楽しかったし、時間が経つに連れ、「小さい子を連れる」ってどういうことか、つい3ヶ月前まで小学生だった中1もだんだん上手になっていきました。
初日はリラックスできるようになるべく自由に過ごせるようにしました。この子たちは、引率してディズニー・シーへ連れて行った子たちです。ホテルに滞在している子たちからも、「すごい部屋だよ〜」とLINEが届きました。
中高生たちは別行動でシーに遊びに行った子もいました。高3が2人いたので、最後の思い出になるでしょうから、自由にしたらいいと思ってましたが、「先生に怒られるから早く帰ってきた」と8時過ぎにはホテルに戻ってきました。「今日はいいよ」って言ってあげたら良かったです。
まぁ、でも、ホテルでも本当に楽しそうに過ごしてました。
ベッドに飛び込む中学生。かわいいです。
わたしは小学生女子4人と同じ部屋でしたが、寝返りや寝言のたびに「どうした?!」と起きていたら、ほとんど一睡もできないままに5時になってしまいました・・・。
朝7時半にオリエンタルランド本社前に集合です。
どの子も体調を崩さなかったこと、2週間前は雷雨予報だったことを思うと、奇跡です。
この先のことは、写真も撮ってはいけないし、言ってはいけないことになっているので秘密です。子どもたちがエンタテイメントの裏側を体験するには余りある素晴らしい時間でした。
発表した場所は、シアターオーリンズです。保護者さんたちからも夜中に到着したとか出発したとか、LINEが飛び交っていて、心がひとつになってきました。
こちらがステージの看板。あの、東京ディズニーランドのアナウンスの声で「mulée performance choir!」と言われたとき、ステージ裏のわたしも、客席の保護者さんたちも、そして、あとから動画を見せたミューレの卒業生も、みんな、同じ瞬間に涙が出ました。
浜松市の本当に端っこの、小さな音楽教室が、子どもたちの想いと保護者さまがたのご協力のおかげで、日本のエンタテイメントの頂点に来たんだなぁって。
誰もが自分のことを誇らしいと思った瞬間だったと思います。
ステージに立ったら、今回、出演することができなかった子の顔が2人も見えました。自分は出ないのに、連れてきてくださって、涙をこらえるのに必死でした。
本番は、今のわたしたちの等身大、精一杯やり切ったと思います。迎えてくれたお父さんお母さん、親戚の皆様やお友だちの皆さんの顔が、拍手と賞賛に溢れていて、本当にありがたかったです。
公演後、ごほうびに出演者はパークのパスポートをもらえます。
わたしは解散後、ひとりでパーク内のショーを見て回り、夕方、次の仕事のために品川のホテルへ移動しました。「終わったんだなぁ」と、いつでも泣き出せるような気持ちで一晩を過ごしました。
そのときに書いたFacebookの記事がこちらです。
わたしの想像以上の効果でした。子どもたちは全員、この経験が強烈な成功体験となって、一生、支えてくれることでしょう。
最後に、笑顔を作って写真を撮ることもできなかった、応募から3ヶ月、子どもたちの成長の様子を動画にまとめました。本番は写真も動画もアップすることができないので、練習の様子ですが、ぜひ見てください。
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