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ぼくと同じパニック障害持ちのSさんの結婚話

今日、職場で普段から仲良くしているぼくと同じパニック障害に悩まされてらっしゃる年上のSさんと話していた時のこと(ぼくはほかに双極性障害持ちでもある)。

パニック障害持ちともなると、こういう季節の変わり目の気温差や気圧差にやられる事が多く、お互いこの時期は辛いよねなんて話していた。

そこからどこから通っているかの話になったんだけど、なんとSさんが結婚していて都内に奥さんと一緒に住んでいることがわかった。Sさんは今のぼくと比べると症状は重く、よく満員電車の中でも過呼吸になってしまうらしい。そんな大変な事情をわかってくれるパートナーってどんなひとなのか純粋に気になった。

結婚して5年。奥さんは教員をしていて、子供はおらず猫と一緒に住んでいる。

Sさんは、付き合う時に自分がこんな感じでもいいのかと伝えたし、結婚する時も迷惑かけるんじゃないかと伝えたが、奥さんはまったく気にすることなく、自分たちが一緒にいて幸せならそれでいいと言ったそうだ。

たしかにSさんの人柄はとても優しい。多分、一緒にいて落ち着くんだと思う。まだ短い付き合いのぼくですらそんな風に感じるのだから、Sさんと一緒にいる居心地が奥さんにはとても快適で幸せなはずだ。

でも結婚する際、奥さんの両親は大反対してきた。病気にまったく理解がなく、パニック障害とか精神異常者じゃないのか、旦那が稼いでこなくてどうする?障害者雇用なんかで働いてるやつとの結婚なんか認めるか!と聞く耳を持たなかったそうだ。

奥さんは両親の反対を押し切って、婚姻届けだけを出して結婚。もちろん結婚式はあげてない。Sさんは5年経った今でも奥さんの両親とは会っていないそうだ。一度挨拶に行ったことはあったが、上記のような罵声を浴びせられたらしい。同じパニック障害持ちとしてそれがどれほど辛かったものなのかわかる。他人のむき出しの悪意みたいなものを面と向かって言われると、本当に心に刺さってしまう。

そもそも、そんなどうでもいい外っ面のスペックでしかSさんのことを見てこない。Sさんの優しい感じとか、落ち着く雰囲気とか、歳下にも謙虚に丁寧語で話す姿勢、そういう素敵な面には目もくれないのだ。そんな人たちとの議論になんの意味があるのだろう。

それ以降、会ってないらしいが両親も歳を取ってきて丸くなってきているから、そのうちなんとかなると思いますとSさんは笑顔で話していた。やっぱり素敵なひとだなと思った。

ぼくが思ったのはやはり言葉が通じない相手や信条が違う相手にはいくら言葉を重ねても無駄だなということ。

ぼく自身、今付き合っている彼女がいて、相手の親から同じように、40歳でパニック障害持ちのキチガイ、障害者雇用で働いているとか駄目人間、娘の人生の責任を取れるとは思えないなどとボロクソに言われている。

彼女から彼女のお母さんがどんなことを言っているのかお母さんのLINEを見せてもらった時は、本当に心に刺さった。

ぼくだってなりたくてパニック障害になったわけではないし、10年以上どれだけの苦労を重ねて今のぱっと見普通に生活していけるようになったのかとか、どんなに苦しくなっても人前で苦しいということが言えないので、冷や汗や動悸を起こしながら、愛想笑いで切り抜けたことも数知れない。

パニック障害のひとの共通点として、大声で怒鳴られるとか、ひたすら説教されるとかも病状を悪化させる。ぼくは落ち着いたら彼女の両親に殴られる覚悟で挨拶に行こうかなとも考えていたが、それで病状悪化して10年前の悪夢の時期には戻りたくない。とある方からのアドバイスで手紙やお歳暮とか送ってみるのはアリかなとは思ってはいるが。

今、ぼくが一番大切にしているのは彼女の安定だ。両親が凸してこない部屋を用意し、金は無くとも一緒にいられること。まずはそこから。それ以降はそれ以降に考えればいい。

それの為にはぼくがメンタルをやられてしまっては駄目なので、そこの自衛はきちんとやっていこうと思った。言葉の通じない相手、文句ばかり言ってくる奴、とにかくブロック。

偏見だらけのこんな世の中だけど、Sさんの奥さんみたいに偏見なしでその人そのものを見てくれる素敵な人もいることがわかって他人の話なのに今日はとても嬉しい気持ちになった。そして、ぼくも彼女がぼくのことを理解してくれているなら、それだけで十分に幸せだと思っている。

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