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ミッドナイト・ライブラリーを読みました

偶然の一致でこの本を手にしました。

ある時、子ども達に、両親からいただいた「10歳までに読みたい日本名作 平家物語(Gakken)」を読み聞かせていました。木曽義仲の最後のところで、なんと巴御前のくだりが省略されていることを発見。あの場面を語らないことはできないと、あれやこれやと付け加えて話をしてページが進まなくなりました(笑)。私の脳裏に浮かぶイメージは、学校で習った原著はもとより、その後に読んだ浅倉卓弥さんの「君の名残を」に大きく影響を受けています。子供たちが寝てしまった後、かの本を無性に読みたくなりました。しかし実家に置いてあるし、再度購入したものか、どうしようか…と検索していたら、浅倉さんのtwitterに出会い、そこに「ミッドナイト・ライブラリー」がやたら登場してきて。なんと浅倉さんが翻訳していることが分かりました。興味を持ってすぐにAmazonのほしいものリストに入れました。

またある日、家族との関係、PTAの仕事、職場、友達関係、色んなことが上手くいかず、自分の価値がないような、何ともみじめな気持ちになっていた時。「死にたいと思う人が読むべき本」みたいな検索をしていました。すると、たまたまこの本を上位に見つけたのです。既にほしいものリストに入っていたこともあり、購入を決意しました。

ノーラという主人公が、死を決意する19年前のイントロから始まり、27時間前、9時間前‥‥とカウントダウン。そして、果てしなく本が陳列された真夜中の図書館が現れる。その後に起こる様々な体験、そしてその中で明かされる過去の出来事と、彼女自身の心が変化していく様子‥‥

すっかり惹き込まれて数日で読み終えてしまいました。主人公のノーラに様々な出来事が起こるたびに追体験してしまうのは、やはり浅倉さんの上手な言葉選びのなせる業でしょう。そして、読後感は清々しく、静かに、でも確実に力が湧いてくるような感じでした。本当に読んでよかったと思います。
本は、ひとたびその表紙を開けば、日常とは異なる世界に自分を連れて行ってくれます。そして読んだ後の自分は必ず読む前の自分とは違う人間になっている、そう言っても過言ではないと思います。ちょっと気分転換したい、でも日中出かける時間も余力もないという時こそ、本の扉を開こう。自分自身に言い聞かせました。

最後に、作者のマット・ヘイグさん、翻訳の浅倉卓弥さん、どうもありがとうございます。

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