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禍に在りて

人間の手はそんなにもアルコールをまぶすべき部位だったか
口は元々これぐらい隠しておくべきだったかもしれない
手を洗う時のほんの少し孤独になる瞬間にほっとする

レジ袋は貰えず薄汚れたエコバッグに日々必要なものを詰め込んで歩く
会えないのは寂しいが行かないで済むことに安堵する

どこまでが不要不急でも赦されるのでしょうか

帰りたいと思うがここは自宅で
画面越しにする会話は少しだけ宙に浮いている

感染者数を報告するLINE
数字を数字だと思わないように何とか手元に寄せてみる

好きなブランドがなくなる
通った店は閉店する
演目は中止
予定は未定

人が死ぬ
その一方で産まれてくる

私は私のままでいる

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