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夜中の
2021年12月17日 08:01
はじめに。ちいさい海があって、パラソルがあって、きみがいて、ソーダ水があった。もう冬なのできみはマフラーに埋もれるように巻かれていて。小屋で火を焚こうと提案すると、はじめての名案だというように目を輝かせるきみ。サイコロ状にカットした野菜がごろごろと入ったスープをよそう。パンをちぎってひたして食べる。置きっぱなしのパラソルに冷たい雨があたるおと。思えば今年も夏は短かったし、冬は永遠のように
2021年12月10日 07:39
その塔は引越し先のアパートから15分ほど歩いたところにあった。何のための塔なのか、検索してみても詳細は掴めず。周りをぐるぐる歩いてみる。窓のようなものがある。入口のようなものがある。壁面は少し苔むしてヒビが入っている。のぼりますか。後ろで声がする。大人なのか子どもなのか、男なのか女なのかわからない人物が、にこにことこちらを見ている。のぼってもいいんですか。かまいませんよ。ここの主はとう
2021年12月9日 08:12
木曜日の深夜のことです。頭の中でこぽこぽと音がして、覗いて見たら銀朱の魚が泳いでいました。魚は昔の恋人に少し似ていて、私の腕にじゃれついてきたかと思えば、すい、と彼岸に行ってしまったり。考えるべきことがいくつかあったような気がしましたが、それも魚のつくる水流に飲まれて有耶無耶になってしまいました。私の頭の中より、大きく清潔な水槽が必要だろうと、裏路地の地下にある暗い水族館に行きました。水