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『アーモンド』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、何度か読み返している本を紹介します。

ソン・ウォンピョン著  『アーモンド』 矢島暁子訳 (祥伝社、2019)


まず、この本の最初に書かれている主人公の言葉を引用したい。

一言で言うと、この物語は、怪物である僕がもう一人の怪物に出会う話だ。でも、その結末が悲劇なのか喜劇なのかをここで語るつもりはない。第一に、結論を話したとたんに、話はすべてつまらなくなってしまうから。第二に、同じことかもしれないが、その方があなたとこの物語を共有できる可能性が少しは高くなると思うから。そして第三に、最後に言い訳をさせてもらうなら、実際の話、どんな物語でも、本当のところそれが悲劇なのか喜劇なのかは、あなたにも僕にも、誰にも永遠にわからないことだから。

ソン・ウォンピョン著  『アーモンド』 矢島暁子訳 (祥伝社、2019)、10頁。


この言葉を、ネガティブかポジティブに捉えるのかはわからない。

冒頭から、ショックの多い出来事ばかり。
苦痛ばかりなのに、希望も絶望もないのは主人公の”感情”が他者より動きにくいからだろう。
そう思えば、これはポジティブだ。
反対にネガティブとなるのは、恐怖心などもないので命がかかるほどの大きなケガにもつながること。

主人公の誕生日は、クリスマスイブ。
街がお祝いムードで、誕生を祝われる日に悲劇は起こる。

帯に書かれているような「涙が止まらない」なんてことは、残念ながらやっぱり私には起きなかった。
それでも、他者との関わりや主人公への思いは変わったと思う。

奪われ、与えられる。
そこに自分の意思はない。

分かり合えない他者と生きていくための本は、たくさん見る。
それを、どう解決していくのかを教える本も。

本当に同じ言葉を話してるんか?ってくらい分かり合えない人もいる。
絶望を繰り返すと、感情が鬱陶しくてたまらない時がある。
でも、そうしてしまうと解決策を探そうともしないだろうから、やっぱり必要。


この本の最初に書かれている言葉を引用したのは、繰り返し読むほど
感想を書くことをためらってしまったからだ。
それでも紹介したいので、この記事を書いてみた。

人生の回答なんて、物語と同じくらい誰にもわからなくて良いんだ。
そう思えるよう願うばかり。




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