ある冬の日
18日間の連続勤務が終わるまであと9日。
折り返し地点にきたが、また同じだけの時間を過ごすのかと思うと体重が2倍になる気がした。
ホットコーヒーを飲もうとしたが、腕が持ち上がらなかったのでやめた。
夜勤のバイトが終わると、大学が開くまでの2時間をこのカフェで過ごす。
大学の最寄駅だし、コーヒが120円でおかわり自由だからだ。
早朝の店内には人もいないので、長時間コーヒだけで過ごしても嫌な顔をされないですむのもいい。
大きな窓から商店街のメインストリートが見える。
右から左から変わるがわる人や車が真っ直ぐに過ぎていく。
朝はそれぞれの目的地に急ぐ時間なんだな、と勝手に納得する。
所属が決まっているんだ。宛先がみんな決まっていて、時間ごとに体を配達して生活している。
朝の2時間に私の所属はない。家もないので日常を過ごすための定位置もない。
私は自分という体の所属を1秒1秒自分で決めなければならない生活を送っている。
自分の力だけで、居てもいい場所を作るということは簡単なことじゃないんだなと痛感する。
基本的に私は死にたい気持ちに反して健康な体の処理に困っていた。
生きれもしないが、死ねもしない。
そんな葛藤からいろんな判断をしないでいたら、大学と夕方から朝までの夜勤アルバイトを行き来する生活になっていた。
8時50分になったのでレジへ向かう。
昨日と違う店員さんが「120円です。」という。
コイツ昨日もいたな、と思われていなくてホッとする。
もそもそとポケットから小銭をを出す。爪が伸びたな、と思った。
8時50分になったのでレジへ向かう。
昨日と違う店員さんが「120円です。」という。
コイツ昨日もいたな、と思われていなくてホッとする。
もそもそとポケットから小銭をを出す。爪が伸びたな、と思った。
11月も過ぎると朝の空気はいよいよ冷たくなる。
水の中を歩いているみたいだな、と思う。
先ほどよりもガチャガチャと人が増えた商店街を流されるように歩いていく。
9時~17時 大学での講義
18時~22時 スーパーのバイト
23時〜翌6時 チェーン居酒屋の夜勤
配送先が貼られた。
あとは決められたことをこなすだけ。
私は考えるのをやめた。
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