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最近の記事

ケプラーの楕円

カントが引用したおかげで広く知られる「コペルニクス的転換(=Copernican Revolution)」だが、その誤解はかなり多い。まず、コペルニクス的転換自体が「対象から主観へ」というカントの認識論とは正反対である。「対象(=Objects)が組み込まれているのではなく、主体(=Subjects)を中心に物事が定立されるもの」という説明から、カントの認識論はむしろ天動説的な説明に近い。 (追記:「太陽・神・実体が固定されているのではなく、天体・人間・主観が動いていると見

    • 水星の魔女、ウテナ、ピングドラムーー負債、救済、そして愛について

      継承、相続、親殺し――それだけなのか? 私が思うに、『水星の魔女』のテーマは「継承」あるいは「相続」である。 グエルは「相続」はしたが、正当性を持たなかったので「継承」はできなかったと前にも話したことがあるが、そこを深掘りしてみよ。彼は、父親から正式な手続きで継承された訳でもなく、「(父)親殺し」にも失敗した。この事実が明らかになれば彼の相続権は剥奪されるだろうし、特に現在(第17話)ベネリットグループの中でデリング総裁の地位に対する相続権をめぐって争っている中で、この事

      • 「機動戦士ガンダム:水星の魔女」2期3話(15話)感想

        大人と子供と遺産の行方について まず「コードギアス:反逆のルルーシュ」や「プリンセス・プリンシパル」で脚本家・大河内一楼さんが見せた植民地やレジスタンスの描写とは異なり、地球が搾取されている状況や、抵抗を選んだレジスタンスたちの心理描写が非常に丁寧に描かれている。鷹派のノレア・デュノクが一方的に鳩派のニカ・ナナウラに暴力を振るうという、視聴者が偏った判定に流されやすい場面を、前回のエピソードで仲間だったソフィーが死んで興奮を抑えきれないということや地球の難民キャンプの描写に

        • 「にもかかわらず」、ロマンス。

          今、我々にとって恋愛感情やロマンスというのは「にもかかわらず」、「それでもなお」という逆接で始まる。周りの視線にもかかわらず、様々な条件にもかかわらず、たとえ死がふたりを分かつとも…などなど。その接詞はあまりにも強く、物語でロマンスといえば、他の要素全てを食い尽くすブラックホールみたいなものとして現れガチだ。 ただ、これは結婚をまず家門同志の結合としてみなした前近代的な価値観としての反発、人間を「一人の独立した個人」として捉えた近代からの産物であることを忘れてはいけない。近

        ケプラーの楕円

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        • 「機動戦士ガンダム:水星の魔女」2期3話(15話)感想

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          (翻訳)刃の上を歩くこと

          5時間半という長さを誇る(!)Youtuber・Noah Caldwell-Gervaisさんのダークソウル3部作に対するビデオエッセーの中で、「オメェがよーくやれば良いだけ(Git Gud)」という英語圏でのフレーズに感じた違和感を説明するコメントがあまりにも素晴らしく、翻訳しました。 まず、カッコに入れのところが翻訳した内容であり、その下に、映像のリンクを貼っています。映像は英語で出来て長いというのが見るのに難点ではありますが、これ以外にも「別にそこまで強者じゃなくても

          (翻訳)刃の上を歩くこと

          劇場版:少女歌劇レヴュースタァライト

          (ネタバレなし感想です) 劇場版:少女歌劇レヴュースタァライト(2021)は、案外に素朴な映画で、素朴だからこそ一本映画として徹底しようとした作品です。 TVアニメの正式続編ではありますが、「オーディション」の秘密がやがて明かされるとか大人になった登場人物たちがまた集まって意気投合するような「同窓会」スタイルの映画ではありません。映画タイトルが上がった直後、高校三年生になった登場人物たちが次から次へと進路調査書を先生に提出しているのに、主人公である愛城華恋だけがまだ何ひと

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          ゲーム紹介「サムライジャック:時空の戦い」

          本作は、アニメチャンネルCartoon Networkで放送したアニメ「サムライジャック」を原作とするアクションゲームです。僕は「サムライジャック」は良く知らないですが、PVを見てよさそうだと思って検索してみたら、開発会社である「ソレイユ」は「ニンジャガイデン」の開発チームだった「チームニンジャ」から独立した人々が立ち上げたそうで、購入を決定しました。物語は「サムライジャック」のフィナーレシーズンであるS5の最後の場面から始まり、そこで大魔王「アク」の邪魔によって他の時空に飛

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          「コース料理」と物語

          あらゆるコンテンツたるものは料理、それも「コース料理」に例える事が出来る。肝心なメインディッシュ(スポーツなら試合、戦争映画なら戦闘場面、ゲームならゲームプレイ)は勿論存在するが、それをもっと美味しくさせるためには前菜、デザートなども配置されている。この例えでは、物語(ナラティブ)とはその「コース料理」の順番表(プログラム)な訳だ。 勿論、全ての作品が「フールコース料理」になる必要はない。それどころか、そのプログラムを自在に組み込むことであらゆる個性が発揮される。例えば、虚

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          時代を先駆けたタクティカルFPS-「Terra Nova : Strike Force Centauri」を紹介します。

          - 概要「Terra Nova : Strike Force Centauri」は人類がケンタウルス座まで進出した遠い未来という設定に基づき、「パワーバトルアーマー」という特殊なバトルスーツを着て戦う兵士「たち」を操るFPSゲームです。システムショックやThiefなどで有名なLooking Glass Stuidoが開発およびパブリッシングに当たって、1996年にDOS用に発売されました。 このゲームの基本的な流れはこうなります:ミッションに入る前に簡単なブリーフィングを聞

          時代を先駆けたタクティカルFPS-「Terra Nova : Strike Force Centauri」を紹介します。

          90年代のシューターを志向する、並行世界のFPS—「Dusk」

          - 概要 <Dusk>はDavid Szymanskiという一人開発者によって(*音楽除く)3年の開発期間を経って開発されたレトロテーストのFPSです。ですが、<Dusk>は単にノスタルジーに頼るゲームではありません。むしろ、今まで<Doom>や<Quake>をプレイした経験に照らしてみると、90年代を支配したハイパーシューターの人気がそのまま続くことになって、そのまま発展を遂げている平行世界から来たようなFPSです。 - この新しい皮袋は酒をもっとうまくする。<Dusk>

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