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【書評】Google Apps Script 目的別リファレンス を読んでみました。

ノンプロ研の繋がりで、『Google Apps Script目的別リファレンス』を頂いたので、読んでみました。

想定されている読者

・GASで脱初心者を目指したい方(学んで半年くらい)
・GAS本の次の1冊を探している人
・GASは、触った事が無くても、Javascriptがある程度書ける人

最初に、初学者は、『詳解!Google Apps Script 完全入門』 通称GAS本を読んでね。と書かれています。

個人的に嬉しかったポイント

・V8で書かれている。
・実践ですぐ使えそうなコードサンプルが嬉しい
・サイズが、GAS本に比べると、コンパクト
・2次元配列の挿絵が、とても理解しやすかった。
・SlackのIncoming Webhook の設定方法の記載されている
・Slidesサービスについての解説について
・組み込みオブジェクトについての解説について

SlackとGASの連携や設定方法について

上記の通り、Incoming Webhookの設定が記載されています。(P72 - P76)UrlFetch.fetch()の解説(P270)では、Slackに簡単な文章を送る例文が記載されています。

GASが、少し書けるようになってくると、次に、やってみたいなと感じるのがSlackとの連携なので、これは嬉しいポイントだと思います。ネット上の記事だと、スクリーンショットを省いているケースがあったりするのですが、本書だと図解で、分かりやすく解説されていました。

Google スライドについて

Gmailや、カレンダー、スライドについても、多少の解説があります。しかし、オマケというか、つまみ食い程度の分量なので、この1冊だけで、Google スライドを、GASだけで動かす事をマスターするのは難しいかなという印象です。

ただし、現在発売されている、GAS本の初版だと、Google スライドについての記述がないので、多少ではあっても、本書で解説があるのはいいなと思いました。21年発売予定の2版だと、スライドと、フォームなどが新たに追加されるようです。

欲を言うと、Google Driveの自動化についても触れてほしかったなぁと思いました。テンプレートをコピーして、スプレッドシートの内容(値)を挿入するような感じの自動化って、需要があるんじゃないかなと思います。

このブログでも、Google ドキュメントで、差し込み文書を作成する記事が、たくさんの人に読まれています。

Google ドキュメントで、差込文書の作成を自動化

実用的な事例がたくさん。

Gmail    → Spreadsheet
Spreadsheet → Slack
Spreadsheet → PDFに変換
Spreadsheet → Calendar

といった自動化の解説が記載されています。このブログでも、活用事例として紹介したものが、よりシンプルに分かりやすいコードで書かれています。ブログ執筆時に、本書があれば、正解に至るまでに掛かる時間が、かなり短く近道になったのではないかなと思いました。

実務でも、ジョブカンや、HRMOSからのお知らせをシートに書き出して、管理表の更新を自動化しています。

4章 組み込みオブジェクト

より複雑な自動化に取り組むと、必ず通る道なのが、組み込みオブジェクト。とりわけ最近は、カレンダーなど日付の自動化などに取り組む機会が多いため、日付の処理、曜日の取得、n日後など必須の知識になっています。

P279には、月初・月末を求める事例が記載されており、かなり実用的だなと感じました。

バックオフィス系だと、月ごとにシートやファイルを管理したりする機会が多いので、ポケットリファレンス的な存在があると、非常に心強いなと思います。それから、filterやmapは今も少し苦手意識があります。いまだにMDNなどで、挙動を確認する事が多いので、本書にお世話になる機会もありそうです。

・桁数を揃える padStart()
・Numberから文字列に変換する toString()
・小数点の丸め方 ceil()
・特定パターンとの一致を調べる test()
・配列から末尾をの要素を取得 pop()
・filter() や  map() についての解説

5章 業務利用コード公開

個人的にいいな。と思ったのが、管理者にだけ、オリジナルメニューを表示させるスクリプトです。勤め先では、マクロ・GASを書ける人が居なくなると、管理できなくなるから、勝手に開発しないでみたいに言われています。.....こういった事情もあり、主に自分が更新を担当する作業だけ隠れて、こっそり自動化している側面があります。

確かに、ドキュメンテーションコメントなどを残していないと、人が書いたコードを理解するのは、結構大変だし、メンテナンスするのは、もっと大変です。僕自身、前の職場に、ドキュメンテーションコメントがないスクリプトを置き土産のように残した張本人なので、痛感しています。

しかし、GASを活用する事で、日々の仕事を、どれだけ効率化できるかを知っている身としては、素直に「はい。分かりました。」.......とは言えないな。

5章に関しては、実務で使用しているコードそのものが、重宝するというよりは、運用方法や自動化のアイデアが参考になりました。実務では、似たような業務ではあっても、取り組み方も違えば、アウトプットの形も異なります。それこそ、千差万別です。

......それから、GASの活用がかなり進んだチームだなと感じました。どの事例も、データベース形式(プログラムで処理しやすい形)で情報を蓄積する事が出来ていました。複数人が使うシートを自動化に取り組む際、セルの結合が、大きな障害になる事も多々あります。結構、人間関係の悪化を避けて、「セルの結合やめて」とは強く言えない場面もあります。ちょっと羨ましく感じました。

冒頭のページに、GASに出会った経緯が書かれていましたが、むしろ、そこから、どうやってGASを活用する組織に至ったのか、試行錯誤の数々など、チームビルディング的な話や、(P389)のコラムのような話が章立て、もしくはあとがきなどで、ページを割いて欲しいなと感じました。コーディング・ガイドラインの話(P58)にありましたが、それも同じ章にまとめて欲しいなと感じました。

しかし、本書の目的は、あくまでリファレンスであり、運用方法や、アイデアがメインではないので、とてもよくまとまっていると思います。コンパクトでサッと開けるのいいなと思います。

第2版で、改善を望む点

・コンパクトさがGAS本とは違った良さだと思うものの、Google Driveの特定フォルダ内のファイルの書き出しや、テンプレートを複製して、シートの値を挿入し、差し込みする実例(SlidesやDocument)があるといいなと思った。

・編集権限などの付与も、実務で使った際に便利だったので、こちらも第2版に記載して頂きたい。

・非エンジニアのチームとしては、GAS活用が、かなり進んでいるように見受けられるので、そこに至るまでのチームビルディングや、コーディング規約などが章立てで、読みたいと感じた。

第2版が出版される頃には、V8で書くのが、当たり前になっているかなと思うので、V8になった経緯などを省いて、上記を加筆して欲しいなと思っています。

編集権限の付与
Google Driveのフォルダ内のファイルを書き出す。



 











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