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(第10回)「プログラミングやりたくない!」〜下から目線のコーディング武者修行〜

“Boolean”の由来になった数学者ジョージ・ブーレ(George Boole)は、現代のビッグデータも予見してた! これにはビックリ。

ブーレが生きたイギリスの19世紀は、産業革命が進行して都市部にワッと人が集まってきた時代。

そうした時代の要請から、統計学Statisticsも発展し始めたそう。ところがブーレさんは「その先」のビッグデータまで見越してたのがスゴイ。

そんなわけで、今回はブーレさんが何を、どんな風に扱おうとしてたかをまとめてみたいと思います。

[ジョージ・ブーレが考えたこと]

(1) 扱う集団は「漏れがない」ように設定する

集合論Set Theory的には当たり前かもしんないですが、ブーレさんも本の出だしなのであらためて強調。 “no choice remains”(p. 17)なんて書いてありました。

前回の「人類全体」で考えると、イデオロギーは抜きにして純粋に生物の観点から考えた場合、「男性」「女性」に分かれる。この分類だったら漏れがない。

*むしろ、イデオロギー的なものは区分が曖昧にならざる得ないから、ブーレさんの方式は使えないよと念を押したんでしょう

(2) 出来事と直接関係あることをdataとし、関係あるかもしれないことはquæsitumと呼ぶ

Considered with reference to the data and the quæsitum, (...) (p. 14)
「与えられたもの」としてのdataと、「問われたもの」としてのquæsitum。

「データdata」はよく目にしますが、「問われたものquæsitum」はまず見たことがない。そもそも何と発音して良いやら(^∇^)

*このブログ主的には「クアエジトゥム」と無理矢理発音してます

自然言語に詳しい人であれば、「dataは複数形、単数形はdatum」と知ってるはず。もっと言うと、ラテン語の「与えるdare」を受け身の形にしたのがdatum。フツーの英語で言えばgivenでしょう。

一方のquæsitumは、「尋ねるquære」というラテン語動詞の受け身形かと。これもフツーの英語に直せばinquired。

ブーレさんはこの2つを明確に使い分けていて、

「原因と結果」がハッキリしてるものがdata、関連性はあるものの「どの程度おこりうるか明言できない」ものがquæsitum

と定義してます。

to which the previous discussion relates, depends only upon the data, and not at all upon the quæsitum of the problem proposed. (p. 18)
前述の議論が関わるのは、あくまで「与えられた」dataだけであって、提起された問題について「問われたもの」quæsitumは全く含まれない。

その上で、自分の数式が当てはまるのはdataについてだけ。quæsitumは扱えないよと述べてます。

dataは因果関係がハッキリしてるから、こうした厳密な方式にも利用できるが、quæsitumはそれがハッキリしないので扱いませんと。

(3) 将来的にはこうした積み重ねがあらゆる分野に適用できるだろう

ブーレさんは自分の方式が大きな力を秘めていると感じてたようですが、そもそも当時は統計学もハシリのころ。

コンピュータなんて影も形もない頃なので、機が熟せば、こうした内容を色んな分野に適用できるのではないか、なんて話が。

It would, perhaps, be premature to speculate here upon the question whether the methods of abstract science are likely at any future day to render service in the investigation of social problems at all commensurate with those which they have rendered in various departments of physical inquiry. (p. 20)
こうした問いを俎上に載せるには時期尚早の感が否めないが、抽象科学のさまざまな手法が、社会的課題の調査に役立つものになり、かつそうした課題が具体的な問題として様々な分野で扱われる日が、将来的にやってくるのだろうか?

2019年の今なら「イエス!」と答えられるのですが、1800年代なかばに考えてたんだからスゴイ。

ブーレさんの貢献はまず、コンピュータの0/1 Binaryに取り入れられて、その後はビッグデータまで道筋を示したと。

でもその間に、もうひとつ、実は「オブジェクト指向」についても述べていると感じました。

「オブジェクト指向」はよく耳にするものの、実態としてなんなの?と思っていたので、まさかブーレさんから教えられるとは驚き。

次回はこの「オブジェクト指向」の由来について書いてみようと思います( ´ ▽ ` )ノ

#プログラミング
#学習法
#数学史

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