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FCR(First Contact Resolution)とFCR(Final Complete Resolution)がCXを推進する

CX実現の最重要指標は2つのFCR

コンタクトセンター3.0は一人ひとりの顧客と向かい合いその体験価値の向上を目指しています。その時、最も重要な視点が2つのFCRです。第1のFCRはFirst Contact Resolution、一次対応解決率です。顧客はホームページから問題を解決する時もコールセンターへ問い合わせをするときも一回のアクセスで解決することを望んでいます。初回で解決すれば不満は残りません。しかし最初の接触で解決が得られないとき、顧客はもう一歩先の体験価値を要求します。つまり2つ目のFCR、Final Complete Resolution、究極の正しい解決が得られることを求めるのです。今回はコンタクトセンター3.0の中で、この2つのFCRがどのように作用しているかを見ていきます。

解決率がCX向上の切り札

第1のFCR(一次対応解決率)とは

コンタクトセンター3.0がまず目指すのが第1のFCRです。製品やサービスについて問い合わせや手続きを行うとき、まずWebにアクセスしその答えを探します。この段階で解決にたどり着けば電話やチャットでの問い合わせはきません。解決できない時もしくはWebを使えない方の場合、コンタクトセンターにその依頼がやってきます。コールの場合、最初の難関はつながるか?です。KPIの最上位に応答率が上がるのはこのためです。つながらないことには用事は足せないので重視するのは当然です。さらにどの程度待たされたかも顧客満足度に影響しますが問題はつながってからです。一時対応解決率が試させる場面です。顧客にとってはエフォートレスな体験がCX向上の重要なファクターと言われます。FCRは顧客のエフオートレスな体験と企業へのロイヤルティを保つための重要な指標です。しかし「一回のコンタクトで解決したか?」というこの指標は十分注目されているとは言えません。ATT(Average Talk Time)、ACW(After Call Work)その総和であるAHT(Average Handling Time) といった管理指標にばかり関心が集まりFCRをしっかり捕まえているセンターは少ないのではないでしょうか?

FCR(一次対応解決率)を向上するために

どうすれば一次対応解決率は向上するのでしょうか?基本はナレッジマネジメントです。マルチチャネル化やマルチサイト化(拠点分散)が進めば進むほど全ての拠点で同じナレッジを共有することが重要となります。共通ナレッジの整備はFCRの向上に確実に役立つとともに、チャットボット、ヴォイスボットの設計にも貢献します。どこまでを機械が対応しどこから人が対応するかの境界線が明確になるのです。AIの進化とともに機械の領域は確実に拡大していきます。さらにナレッジマネジメントはセルフツールの改善にも役立ちます。顧客からの声をもとにFAQを再整備し解決率を向上させることでWebでのFCRの改善が図れるのです。コンタクトセンター3.0では公開FAQの作成とセンターで使う社内FAQの作成は同じ部署、チームで行うことをお勧めしています。

最終解決率こそがCXの神髄

第2のFCR(最終解決率)とは

一次対応解決(FCR)をセルフツールやAIが担うデジタル時代にあって、人が最も関与するのが第2のFCRです。よくコールセンターで耳にする「お客さまに寄り添った感動的な体験」などはこのエリアの一部です。感動的かどうかは別として顧客とって重要なことは自分の問題が解決するかどうかです。それも散々たらい回しやエスカレーションの末に解決してもらってもエフォートレスとは言えません。オペレーターから正しく処理したという統計が上がっているにも拘わらず顧客からの評価が低いセンターが多く存在するのはなぜでしょうか?それは「解決」の意味が違っているからです。長年にわたってコールセンターは業務を機能別に細分化、仕組化してひとり一人のオペレーターへの負荷を軽減してきました。そこで生まれたのがエスカレーションや転送のルール化です。オペレーターにとっての解決は正しいルートに転送できたかどうか=処理済み案件となります。その案件を顧客が本当に解決したかどうかは知る由もないのです。
セルフツールやAIボットとのやり取りを行った後にたどり着いた人との対話で解決が得れなければ顧客体験価値は必ず下がります。この第2のFCRの真の解決は当然、高い専門性を求められます。コンタクトセンター3.0では最終的に応対は企業の社員自ら行うことを提案しています。社員自ら対応することで真の顧客の痛点や製品、サービスへの新たな気づきを得ることができます。ここでのオペレーションのやり方については別の機会に説明させていただきます。

2つのFCRを定量的に把握しているケースは少ないと思います。デジタル化による生産性の向上と人でなければ解決できない顧客体験価値の両立は、常にこの指標を意識することでCX向上への道筋を見出すことができるでしょう。

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