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年末年始トライアスロン

若い頃は、年末年始のイベントとはあまりゆかりのない生活をしていた。

世間様が休むときに働く、そういう職種ばかりに就いていること、もともとパーティーガール気質でもないこと、大人数での付き合いが苦手なこと、なぜか年末に失恋、または急なる体調不良、などなどが原因だが、ザクッと言えば貧乏ヒマなし人生だからだろう。一人暮らしを長くしていたわたしには働いていることが平常だったので、そんなに苦にも思わなかった。気楽な独身生活だったのである。

しかし。
家庭を持ってからの年末年始はとにかく目まぐるしく時間が流れていく期間だった。プレゼント買い出し、年賀状作り、挨拶まわり、親戚の接待、遠方の実家への帰省。
クリスマスから年始まで、あまりの忙しさにプリントゴッコ(懐い)に突っ伏して寝落ちしていたこともあった。

年末年始トライアスロン。
その頃私はそう呼んでいた。
義両親と同居という環境もあり、とにかく行事ごとが多かった。

どうして主婦はこうも次々とやらなきゃならないことが待ち構えているんだろう、と思っていた。
おまけに両腕にぐずり散らすちびっこを二匹かかえている。なだめすかし脅し、ハードルをとび、泳ぎ、走り抜ける。
新しい年に突入した頃には熱発して寝込んでいたことも珍しくない。

お正月明け、お寿司の丸いプラスチックの容器が突き出たゴミ袋を集積所に引きずって行く。
それを放り投げた瞬間がわたしのゴールだった。

紆余曲折あって再び独身生活に戻った今、ぜいたくにも忙しいなどと思うときにはその頃を思い出して気を取り直すようにしている。

明けましておめでとうございます。




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