【250字レビュー】背高泡立草

文藝春秋にて読了。ワンカット長回しの映画のような描写。何気ないシーンがすごく緻密で、映像を丁寧にうまく言葉に起こしたらこういう文章になるのかもしれない、と思った。小さな空間を時代を越えてリアルに描く。ただこの島を舞台として描くとすれば、中心ではない2つのエピソードももっと同じ分量で深く広く読みたくなる。またメインの話とのつながりももっと探したくなる。舞台の「島」は、自分たちのあり方を確認するための場所という感じか。時間を留めおきたい気持ちか、一瞬を繰り返す切なさもある。やりとりの優しさもあって少し切ない。

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