#詩20 『収まり切らない』

収まり切るものか　この一枚に
収まり切るものか　この感動が
投げやりになんてしてないよ全部
叶うならお願い
もっともっともっと一瞬を噛み締められた

いつか別れるんだろう　知ってるよ
いつか死ぬんだろう　知ってるよ
だから這いつくばって
だから涙を飲んで
ただそこにいるだけ　それだけ

収まり切るものか　この一枚に
収まり切るものか　この青春が
どこ切り取っても　全ては捉えられない
見えずともきっと
空に花を描いた彼は　散れど照らされてる

もしもさ　戻れたらさ
こんなもんじゃ足りないくらい
大切にできたはずで
踏み締められたはずで

だけどさ　戻れたらさ
ただ笑えたあの時間に灯った光の
純度はきっと衰えていくよ
悲しくなるよ

終わるなんてことは　知っていた
気づかないフリして　視界を拭った
まだまだまだまだって
そしたら楽々だった

それだけ
それだけ
せめてこの一枚で
いつか過去を抱きしめられるように

収まり切らないよ　この感動も
収まり切らないよ　この青春も
収まり切らないよ　もう知ってるよ

投げやりになんてしてないよ全部
漂う波と追い抜いていく風が
彩りになって私から溢れ出す