5分前に親が離婚した

現在時刻は16:34。さきほど父から電話があって離婚することを告げられた。いわゆる”性格の不一致”が原因らしい。

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俺が社会人になって家を出てから早3カ月、もう間もなく弟も社会人になって近い将来、彼も家を出るだろう。そうなったときに、母と父が二人で暮らすことがお互い苦痛だと考えたらしく、離婚に踏み切ったのだという。
世間的に見たら、特段珍しくもない話だ。

小さいころから何となく、両親が老後に仲良く暮らしているビジョンが見えなかった。母と父は顔を合わせれば喧嘩ばかり。極めつけは父が婿養子のような形で結婚したもんだから家の中での立場が弱く、肩身がとても狭そうに見えた。俺が社会人になってから父が富山に単身赴任した。メンタル面等を心配していたが、母と暮らすよりよっぽど楽しい生活をしてたので、ある程度予感はしていた。

先々月、久しぶりにあった親父は髪が真っ白だった。かなり驚嘆したが、聞けば黒染めをやめたのだという。そう語る親父の顔は穏やかだった。

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父がいなくなるときに思い出したのは、彼の作ってくれた味の薄いカルボナーラで、今日彼女に振舞ったのも麺の堅いナポリタンで。

さっき電話を切ったと同時にパスタが茹で上がった。いやな偶然だ。