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米国株師匠🍅アウトライヤー寄稿(4)

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米国株の師匠🍅アウトライヤー様からの寄稿🍅第4回目を皆さまにお届けします。

弟子のNEOさんへ


アウトライヤーより。外れ値です。でも異常値ではありません。

笑って許してくださいね。ごゆるりとお時間ある時ご覧になってください。


背景にある経歴:80年代後半から、ペインウェバー証券会社、メリルリンチ証券会社、ベアー・スターンズ証券会社等々の外資系証券会社東京支店法人営業部門に勤務。外資系企業生活で24年の歳月が流れました。
ペインウェバー証券会社ニューヨーク本社にて、2名のメンターのもと、米国株式業務を基礎から習得。なぜ、2名だったかと言いますと、フロントオフィス業務用に1名=MIT出身のトレーダーで数学者、バックオフィス業務用に1名=米国では名の知れたバックオフィスの専門家でした。当時、NY証券取引所にもしばしば、足を運び、入り口から出口まで、叩き込まれました。その後、日本国内の機関投資家向け外国株式営業に携わり、メリルリンチ証券会社とベアー・スターンズ証券会社では、それぞれ東京支店法人営業部門外国株式営業部長として、東京、ニューヨーク(ウォール街)、ロンドン(シティ)を中心に、アジア諸国も含めて、世界中を飛び回りました。グローバル株式・金融業務に従事する上で、メリルリンチ証券会社では、当時のメリルリンチ・グローバル株式営業部門におけるアジア地域2名のグローバル・エクティ・コーディネーターの1人として、米国株式を中心に、グローバルに株式業務推進役の職責も兼務。(この時とっても楽しかったです)
2012年2月に外資系企業生活を終えました。
同2012年年春から、日本企業の顧問に就任。

一貫して、この30年超の期間、何度も何度も現地に足を運び、そこにいた人々と直接仕事をした事を含めて、アメリカの金融政策、アメリカの株式市場を見つめてきました。


第3回から続く


第3回の寄稿の末尾で、このノートの寄稿者が好んでいる事「事実確認とデータから何らかのインプリケーションを自分なりに読み取って次の行動をとる事」過去30年間くらい、コツコツ繰り返してた来た事です。行動をとる中で、少しずつ次が見えてくる時もあれば、そうでない時もあります。そうでない時や失敗した場合は、何度でもやり直す。僕にできるのは、これくらいです。

2008年金融危機の際、ベアー・スターンズの週末をはさんだ72時間を含めて、その最終局面の瞬間まで、ニューヨークとも連絡をとりながら、目の前で目の当たりにしました。

さかのぼる事その6か月くらい前からこの最終局面に至る期間、ベアー・スターンズの株価見通しに「ホールド・中立」のレーティングを付けていたアナリストは本当にごく少数でした。

「売り」のレーティングを付けていたアナリストは1名いたのかいなかったのか、くらいでしたね。

ほとんど多くの、大勢のアナリストは、「買い」もしくは「アトラクティブ」というレーティングを付けていました。

2007年夏過ぎ頃からその先行きが話題になるたびに、この最終局面に至るまで、アナリストの多くは、様々な媒体を通して、「大丈夫だよ」「話題にはなるけど、別に問題ないよ」とさえ言っていました。そういう人達、多かったです。この事実を僕は忘れる事はありません。

ベアー・スターンズ云々の事いっているのではありません。そうではなくて、予測?アナリシス?見通し?知ったかぶり?

こういう言葉に、そもそもあまり興味はありませんが、結構冷めた目になる自分がいます。




前述の背景にある経歴をご覧になって頂けると感じて頂けるかもしれませんが、僕は、デイトレードやごく非常に短期のトレードの世界で生きた経験は持ち合わせていません。それを当てに行くことや予測する事は、そもそもできませんし、するつもりもありません。当たる日もあれば、外れる日もあるでしょうから。

また、預言者ではありませんから、未来予測をすることはできませんし、それそのものに、ほとんど興味もありません。

自分個人の予測を仮に持っていても、それをこれ見よがしに、知ったかぶって、上から目線で、他の人に押し付けようと思う事もありません。そういう人に近づく事はないですね。

昔から、年末年始に「来年はこうなる」って言いきっているコメントや出版物をアメリカや日本で目にすると、ドン引きしてしまい、近づこうと思ったこともあまりありません。

日常生活において、政治や法律、経済や金融の世界でも(I was right. I told you so. 言った通り、当たってたでしょ。ほらな)って言う人に、アメリカでも日本でも、社会的地位に関わらず、興味を持つことはあまりありません。ファクトや根拠、記録や証拠を提示して、教示してくれる人に興味があります。スパイスのようにその人の経験則や意見をふりかけてくれる人にも興味があります。

「マーケットの先行きは今回たまたま上手く当てたけど、それで他人はもうかったけど、自分自身がそれによって、儲かったわけではなかった」とか。エンターティナーなのかなとさえ思ったり。

それよりもむしろ、ベースライン・シナリオに基づいて、ベスト・ケース・シナリオ、ワースト・ケース・シナリオ、これら3つのシナリオに加えていくつかの補足シナリオを描き、持つ事。選択の上、それを行動に移す事に興味があります。

時間軸が大切ですが、僕は、マーケットに対しては、短期で3か月から6か月中期で6か月から1年長期で1年以上、というイメージをもっています。

これまで過去3回の寄稿を要約しつつ、ここで一息入れながら、僕の立っている現在の立ち位置を、中長期の目線に立って、再度、確認しておきます。

金融危機後、金融緩和ステロイド依存体質でありながら、SPAC(特別買収目的会社)と過剰流動性でお祭り。20年、21年とコロナ対策も相まって市中にお金ジャブジャブ。3回の給付金も含めて財政大盤振る舞い。「インフレの芽が出て来てるよ、早く金融政策変更して行かないと」という、ラリー・サマーズ元米財務長官達の貴重な警鐘は、残念ながら、FRBにはあまり聞こえなかったようで、長期の低金利政策継続。パーティを謳歌。時を経て、案の定、インフレ顕在化
パーティが終わっちゃいました。で、今、バブル崩壊過程。

米共和党は、米民主党に対して、
「なんだよ、もうこれ、リセッションじゃん。で、バイデンフレーションかよ。リセッションの定義まで変えちゃってさあ。どうなってるんだ!」
FRBの人達は、「そう思うなら、議会でもなんとかしろよ。もっと協力しろよ」って心の中では思ってるでしょうね。

11月8日、中間選挙です。

FRBは、インフレ抑制のため、FRBのバランスシート圧縮と金利引き上げの合わせ技。

金利を引き上げを継続して、引き上げ切ったら、しばらくの間その高い金利水準を維持する。まだ、ターミナル・レート(金利引き上げ時の最高到達点)は、わかりません。繰り返しになりますが、個人的には、コア・インフレが6.6%現状況下では、ターミナル・レートが、5.5%~6%超えても不思議はない気がしています。株価が底打ち?してるなんて、とても僕には思えません。底打ちなどしていないと考えています。だから、株価はまだ下がるんだろうと。

僕には、落ちてくるナイフを素手で掴む勇気はないので、同様に、そんな時に、株を買う事は考えません。株を売る、空売りする、もしくは、株から離れる事を考えてます。

日々の上下運動、反発局面もありながら、後で見たら、下落した。もういいだろうと思っても、その後、上下運動はあっても、思ったようには、上がれない、という弱気相場。

インフレ率が高止まりしていて、リセッションリスクが高まり、すでにリセッションが視野に入っているわけですから、これから、今よりもっとひどい状態になる、株価に下落余地があるんだろうなと思っています。

今、頭の中に入れている事は、

・今回の利上げサイクルの織り込み具合も、株式市場より債券市場のほうが進んでいる。

・この先を見ると、グローバル・リセッション、グローバルで金融危機のリスク、システミックリスクさえも意識しておく必要がある。

・本当に、何かが壊れるまで、もしくは、何かが壊れても、あまりそれに関係なく、FRBが今の金融政策を続けるのであれば、S&P500で、3000もしくは、それを切ったレベルを、自分の目先の目安として視野に入れている。

約42年ぶりのことが起こっているその最中。しかも、こないだ、始まったばかり、まだ序盤ちょっとすぎくらいの認識。とにかく時間がかかりそう。

ブルームバーグの報道によると、21日、米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、政策当局者らは利上げ幅の縮小を計画し始めるべきだが、まだ大幅利上げから「一歩下がる」時期ではないと述べた。「現時点では少なくとも検討すべきことではあるが、これまでのところデータは協力的でない」

キーワードはFRBのピボット(政策転換)~それへの渇望が存在。

・FRBが利上げを停止したり、政策を転換すれば、それは、話が全く変わってくるでしょうけど、現時点では、そう簡単に政策転換は起こらないだろうし、世間が予想してるより、むしろ長く続くのではないか。23年の下期にかけても。

FRBの教訓・70年代の失敗(金利引き上げの手を途中で緩めてしまった政策失敗を繰り返したくない)

一様、後学のために、FRBの元エコノミストをオンラインで何人かフォローして、ご意見だけは拝聴もしております。

経済指標の中で、注目を集める雇用統計やCPIの発表
そのおおもと、フィリップス曲線とべヴァリッジ曲線

フィリップス曲線(失業率をグラフの横軸に、賃金上昇率を縦軸にとって関係を描くと、賃金が上がる(下がる)ほど失業率が下がる(上がる)右肩下がりの曲線が描けることを、1950年代に英経済学者が提唱)

ベヴァリッジ曲線(縦軸に欠員率をとり,失業率と欠員率の関係を描いた曲線~欠員率が低下(上昇)すると失業率は上昇(低下)することから、Uを縦軸、Vを横軸として図を描くと、失業率(U)と欠員 率(V)との関係は右下がりの曲線として描ける)

つい先日、FRBの元エコノミストが、朝のコーヒー片手に、これら両方の曲線の再分析を、行ったそうですが、1950年代、1958年とかに提唱された曲線で、今や曲線ではなくて、点がたくさん集合して、雲状になっているとおっしゃってました。1950年代ですから。この方は、今は2022年という事を強調してました。FRBには、最善のモデル・ツールがありますから。過去と比較してもあまり意味がないのかもしれませんね。この方は投資に関してのマクロ・エコノミストという趣ではなく、人々、ひとりひとりの暮らし向き、生活向上を、最優先に意識したマクロ・エコノミスト。

金融政策でインフレ率をコントロールする際の判断材料としては曲線もしくは雲状を参考にするのでしょうが、デフレ下でも失業率が低下したり、インフレ下での不況(失業率の増大)というスタグフレーションの場合もあって、右肩下がりのフィリップス曲線では説明がつかない経済事象も起りうるとは聞いています。

ところで、平時であっても、僕が実際に経験した30年以上前の昔から、普通に25ベーシスポイント利上げしたとして、その利上げ効果が実体経済に波及するのに、少なくとも半年、状況によってはそれ以上かかると言われてきましたし、実際そうです。

前述の通り、今のFRBの幹部達は、70年代の間違いを繰り返さない事は肝に銘じているはずだと報道されてます。かといって、強烈なインフレ退治を行ったボルカー議長ほどでもない気はしてます。

利上げのインパクトを慎重に見極めたいと思っている人達もいるようで。数日前のラエル・ブレーナード副議長の発言からも、少々、それを汲み取りました。
この辺を、見る時も、キーワードはFRBのピボット(政策転換)~なんだろうなという事を意識だけはしてます。

金融緩和ステロイド依存体質でもあった市場は、政策転換、政策停止などを、そらみたことかと期待・渇望するのでしょうが、そう簡単には行かないと僕は思います。

加えて、繰り返しになりますが、バンカメは、
UK, CS(クレディ・スイス)、アメリカのトレジャリーマーケットの流動性、日銀、
これら4点を引き続き注視~これらの要因のどれかひとつでも、マーケット全体に広がった時、そのリアクションによっては、壊れやすくてもろい、アメリカのクレジット市場に十分に影響を及ぼし得る、その引き金になり得るという理由で注視。

UKの例にも見られるように、無謀な財政政策の危険性に対しては、厳しい市場の反応が待ち受けています。

アメリカのトレジャリーマーケットの流動性については、つい先日イエレン財務長官も懸念を表明していましたが、中間選挙後のイエレン財務長官の発言や政策に今は、注目しています。

今、僕は、このような現実の前に立っているのだと思っています。

余談ですが、もう何十年も前、仕事を始めた一番最初の頃、ニューヨークのトレーディング・フロアーで、「アメリカの株にとって、一番大切な事ってなんですか?」と、まさにひよっこ状態で、当時の本物のプロに質問したら、帰ってきた答えは「インフレと金利だ。忘れるな!」でした。



第5回へ続く


最後に …

これからもアウトライヤー様からの寄稿🍅を皆さまにお届けするつもりです。
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関連note

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投資助言行為に該当するアドバイスは行いません。短期動向や個別の運用相談に関するご質問へのご回答は一切行っておりません
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