日記 #19

2023.7.11.

 復活!
 二日ぶりにまともな食生活。パン、そうめん、ご飯に冷凍のモツ煮とひじき。ただ米を炊く、それだけのことがこの二日間どれだけ難しかったか。病んでいなかったとは言ったものの、内罰や希死念慮がなかっただけで実質ほとんど病的だった。「病む」のハードルがそもそも高すぎるのかもしれない。

 ネルヴァル『夢と人生 あるいはオーレリア』読了、ヴァッティモ「差異・弁証法・弱い思考」再読、そしてエリック・ロメール「美しき結婚」を鑑賞。ロメール、やっぱりすばらしい。喜劇シリーズは軽い気持ちで楽しめるのが良い。ロメール作品は会話劇中心なだけあってキャラクターの心理描写に眼目があるけれど、今回もその手腕は光っていた。女友達、いいやつすぎ。男、ロリコンすぎ。そして主人公はキモすぎ。ふと思ったことには、この主人公の未熟さこそロメールの長編の共通項であり鍵なのかもしれない。
 ネルヴァルもキモかった。オーレリアという女性に執着する作者が夢や狂気を横断しながら世界への悟りを開いたり死のうとしたり未練をたれ流したりする。内容には興味が持てないし旧字体が多くて読むのも大変だったが、関心の上では読んで良かったと思う。僕の関心、つまりネルヴァルのナルシシズムをいかにしてマゾヒズムから退けるかということ。彼はいささかピュアすぎた。狡猾さが足りない。

 夜に友人から電話が来る。笑いながら相談に乗ってくれて明るい気分になった。持つべきものは友人。大好き。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?