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003 好きなことから飛びつくー台鐵編

 漢字を見て、書いて、読んで、慣れる。小学校低学年レベルの文章3つ×3セットの後、次に何をネタにしようかと考えた。単純作業ではあるが、もう少しいろんな漢字に触れる必要があると感じた。義務ではなく好きで勉強しているのだから、興味があるものや趣味などに関する言葉に触れた方がモチベーションを保てるだろうと考え、実行してみた話。

 台湾には台湾鐵路という政府管轄の鉄道がある。本線にあたる路線は、正式にはいくつかの路線名に分かれてはいるがすべてつながっており、島をぐるっと一周している。日帝時代に多くの路線が敷設され、その時代に築かれた鉄道関連施設が今も多く残されている。使われなくなった施設は鉄道遺産として残されたり、公園化されているところも多い。中には未だに現役の施設もあり見学ができたりする。
 そんなことで、今の日本の鉄道では薄らいでしまった「ノスタルジックな気分」が今でも随所に味わえるということもあり、鉄道ファンのみならず多くの人を惹きつけている。

 私もそのひとりとして台湾に行く度に台鐵を利用しており、何回かに分けてまもなく一周達成というところまで来ている。
 また、私は尋常でないくらいの地図好きであり、地名に関しては一日中Googleマップを調べて遊ぶことが出来る。自分で言うのも何だが、他人と比べてもだいぶ特異な部分だと自負している。

 前置きが長くなったが、そのぐるっと一周のすべての駅名を次のネタにしようと思った。基隆から始めて、反時計回り。主な駅として台北、桃園、新竹、苗栗、台中、彰化、斗六、嘉義、台南、高雄、屏東、台東、花蓮、宜蘭を経由して戻ってくる。全部で209駅。これはやり甲斐がありそうだ。しかも駅名といえども日常生活で割と頻繁に使われる漢字も多い。実は手元には既に台湾の鉄道時刻表もあり、駅名は順番通りすべて確認できる。

 ひとつ気を付けるべきは、肝心な注音は自分で調べないといけないということ。まずはWikipediaで確認。ただし、編集者を信じ切ってはいけないのがこのサイトを利用する時の掟。どう考えても注音が間違っていたり、声調が記されていないことも多々ある。編集者はおそらく日本人なので、その人がピンインで華語を学んでいると注音を間違える確率は一気に上がる。その為に確認手段として頻繁に利用したのがこのアプリ。

 あの唐鳳(オードリー・タン)氏が開発に携わった台湾教育部公認のオンライン国語辞典である。日本語対応はしていないが、意味や注音はもちろんのこと、書き順も分かり、各漢字や熟語の英訳もあり、注音に基づいた正しい発音も聴ける。難しい注音は何度も繰り返し聴いてリピート。これで間違えることなく進めていける。

 ということで、209の駅名を見て、書いて、読む。ひとつひとつWikipediaで丹念に各駅の写真や説明も見ながら。そして、いろいろ頷いたり、感心したり、納得したりしながら進めたので時間はだいぶかかったが、主要都市の駅に着く度に「今日はここまで『旅』できた!」という達成感がある。
 数日かけてついに最後の一駅を書き切ってノートを振り返ると、なんか旅の想い出に浸っている気分にもなって、根拠のない自信が湧いてきた。やはり、好きなことから飛びつくは正解だ。

 かなり多くの漢字に触れ、注音を確認することができた。何度も繰り返し出てきたものは自然と記憶出来てきたし、漢字と注音の関係にはある種の法則的なものがあることも分かってきた。経験則でそれを感じてくると、新たに漢字を書いた時点で注音をある程度予測出来るようになる。もちろん予測が外れることもあるが、間違えればまたそこから学ぶことが出来る。
 まだ文法に取り組んでいないので次元こそ低いが、それでも「点が線になる」に近い実感を少しだが体得出来る。実はここがとても大切。この基礎学習での経験は、更なるステップを考えた時に間違いなく活きてくる。

 台湾鐵路を一周したら次はどうしようかと考えた。飽き足らずに、もう少しこの種の訓練を続けるとする。

 ちなみに、自分のパソコンとスマホには、台湾人と同じように注音入力モードを追加している。これも慣れるために大切なこと。

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