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メリニコフの演奏会(2020/02/11)

アレクセイ・メリニコフ(メルニコフとも)の演奏会に行ってきました。於モスクワ音楽院小ホール。彼はたびたび日本にもきているピアニストです。去年のチャイコフスキー国際コンクールでは第3位に輝きました。その演奏も生で聴いてよかったので、折角なのでまた聴きたいと思った次第です。このコンサート「ドレンスキー主催」という名前のコンサート・ツィクルスの最終回だったのですが、どうやら最初は開かれる予定がなく、メリニコフがチャイコフスキー・コンクールで入賞したので急遽開催が決まったのかな?という感じでした。
ちなみに、チャイコフスキー・コンクールは4年に一度モスクワで開かれるめちゃめちゃ権威のある音楽コンクールで、若手の最高峰の奏者が大集合して腕を競います。僕は2015年と2019年のピアノ部門を聴きに行きました。
あんまりいい演奏会がなかったのと、いろいろバタバタして忙しかったので、これが一時帰国からこちらに戻ってきて以降初めての演奏会。

曲目は以下の通り。
フランツ・リスト(1811−1886):バラード第2番
フレデリック・ショパン(1873−1943):3つのマズルカ作品63
同:2つのノクターン作品27
同:バラード第4番

セルゲイ・ラフマニノフ(1873−1943):
練習曲《音の絵》作品33より2曲(3番、2番)
前奏曲作品23より3曲(4番、7番、10番)
前奏曲作品32より4曲(3番、10番、12番、13番)

なんといってもこの日の目当てはラフマニノフでしたが、プログラム前半のバラード二曲もよかったです。ショパンのバラード4番の間の取り方が絶品でした。巧みに高音の一音だけが空間に残るような瞬間があり、鳥肌が立つような気持ちを覚えました。
ラフマニノフの練習曲は、なんといっても13番がよかったですね。ラフマニノフが書いた24の前奏曲の中で一番好きな曲なので凄まじいバイアスがかかってますが。
こういう曲です。どうです?カッコイイでしょう。

僕は気に入った曲を見つけるや否や人にお勧めするマシーンなので、ここでもこうやってお勧めをしてしまう。許してくれ。

アンコールは3曲。最後に弾いたプロコフィエフの練習曲は、いい感じに肩の力が抜けてて楽しかったですね。結構シリアスな曲のはずなんですが、聴いていて不思議と愉快でした。

モスクワにきて驚くのは、一回の演奏会に一度は携帯の着信が鳴ること。最初に注意されているのに永遠に治りません。たぶんスマホの着信音や電源の切り方を知らないのだと思います。一回、演奏会で座っていた隣のおばちゃんに、電源の切り方を教えてくれと頼まれたこともあります。新しいホールでは妨害電波を出して着信音を防いでいるところもあるのですが、モスクワ音楽院のホールはそれほど新しくないので、事前に注意するほかなく、なかなか対策が難しいですね。

演奏会の楽しみ方が結構フランクなのも面白いと思っています。楽章館での拍手は(最近は少なくなりましたが)よくあることですし、普通あまり拍手が起きない曲集の途中でも、カッコいい終わりかたをしたときはわっと拍手が湧き上がります。良し悪しは別にして、気持ちはすごくわかる。

最近気持ちが上がらず、演奏会に行くかどうかも正直悩んでましたが、行ってよかったですね。楽しかったですし、なぜか研究のアイディアが沸きました。なんか授業中とか会議中とかにインスピレーションが沸くこと、ありません?

こんな感じで行った演奏会の感想をゆるやかに書いていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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