カレーの時間


寺地はるなさんの「カレーの時間」を読んだ。


今年読んだなかではいちばん気に入っている。

人生の中で大事にしたいことが詰まっていた。

苦手だと思っていた祖父と住むことになった桐矢。
それぞれ事情があって、でもそんなの知ったこっちゃないよと苦手になってしまうこともあるよね、と改めて。

簡単な話ではないけど、少しでも人生が交わる人とは互いの人生を慮っていきたいな。

~時の流れ、という表現があるが、時間は去るものだという感覚が、ぼくにはいまいちわからない。地層のように積み重なっていくものだと思っている。嫌だったことやつらかったことは、いつまでも人の内側に留まっていて、完全に消えてくれない。~

~悪意がない人は時として、悪意がある人よりもずっと性質が悪い。悪いことをしたと思ってないから反省しない。くわえて「さびしかった」も罪深い。これを言われたが最後、なんとなく許さないといけないような雰囲気に持ち込まれる。~


このふたつの一説に、私が今まで感じていたモヤモヤが詰まっていた。
ひどいことしちゃったけど、ごめんねで謝った方はスッキリしても嫌な気持ちになったことは消えないし、まあこのことは忘れて仲良くしようねなんて、ならないことがたくさんある。許したほうが楽だけど、許さないのも悪ではない。
根に持つタイプって他人から言われたらとんでもない悪口だと受け取るけど、自分は根に持つタイプだと思う。でもそれもそれは悪いことでもないかもなんて思えた1冊なのでした。


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