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眠る前に読む小話

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眠る前に読む一言小話です 読者になっていただけるととてもうれしいです。
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2017年4月の記事一覧

Talk over a crab

「ねえ。焼肉を食べるカップルって、身体の関係があるカップルって言うじゃない」と、女が蟹の身を箸でつまみながら言う。

「そうだね。そんな話、聞いたことがある」、横に座る男がお猪口を口に運びながらこたえる。

「でもさ、蟹の方がそんな気がしない?カニの方が身を出している時はお互いしゃべらないし、食べている時はなんだかベタベタだし、蟹を食べているカップルの方が、身体の関係ある気がしない?」

「確かに

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婚活のおける合理性と非合理性の矛盾

私、考えたのよ。あなたは合理的な人間。生き方も合理的であろうとする。結婚相手も合理的に探そうとする。

自分が譲れない条件を決めて、あとはできるだけ多くの人に合う。コンパや結婚紹介所、出会い系サイト、クラブ。

でも、それだけ多くの人と出会ってると、「この人いいな」と思える人と出会っても、「もっといい人がいるかも」ってなるよね。

そう考えると、あなたのように合理的に結婚活動をしている人は実は結婚

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携帯の裏返しは浮気の証拠?

「ねえ。携帯を裏側に置く人って浮気してるんだって」

女が言う。男はテーブルの上に置かれた携帯に目をやる。裏側に置かれている。

男は、「へえ」と言いながらアスパラガスを口に運ぶ。そして、ワインを一口飲む。

「会社のやり取りとかもたまにLINEでするから、裏側に置くようになったな。企業秘密なことがディスプレイにでちゃうとまずいでしょ」

「ふーん」と女が言う。アスパラガスもワインも手にしていない

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嬌声

最高に身体の相性の合う女性だった。いままでの行為が何だったんだ、と思えるほど。

何より彼女の反応が艶やかだった。その嬌声が部屋に響き、それにより興奮が増幅された。鼓膜と粘膜を震わせる音だった。人は聴覚でも興奮することを知る。

そして声をなぞるように背中にたてられた彼女の爪が、また新しい快楽を呼んだ。

そんな関係も、日常のすれ違いと共に終わりを告げる。

俺は休日は寝て過ごすのが好きで、彼女は

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