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238.テネット夢

2020.11.23
時間警察的なお仕事。

同じ場所で2回、トントン、という感じで両足跳びをするとタイムリープ完了。
1度に跳べるのは10年。

トントン。トントン。トントン、と30年遡る。

同じ場所にいるので、道の形など町並みや建物は大きくは変わらない。
都会の真ん中、交差点のそばの、地下街の入り口付近にいた。

町並みは変わらないのだけれど、跳ぶ度に、町の色が少しずつ変わる。
30年遡った時には、1980年代の、紙に焼いたカラー写真のような色になっていた。

そこで彼女は彼女の母親と落ち合うことになっていた。
母親は、先日死んでしまったのだけれど、この日のこの場所に死ぬ前の母親がいるはずで、その母親を連れて帰れば、死んだことはチャラに出来るはずだった。

落ち合うはずの時間に母親が現れないことに苛立ち、小さなタイムリープを繰り返す彼女。
タイムリープはあまり微調整は効かず、大きく跳ぶと10年、小さく跳ぶと1日、場所はその場所から移動出来ない。

何度か跳んで、ようやく母親と落ち合う。
母親からはどうして決められた場所で待っていられなかったのかと問われる。

組織から迎えに来た時間タクシーに乗り込む彼女たち。
何度跳んだのか?と問われて、正確に答えられない彼女。

タイムリープした時間の場所に残された器具を回収しなければならないのに、何度跳んだのか分からないという彼女。



「あー」見ていた私は思う。

これ、回収出来ずに残された道具を、蛮人であるところの1980年代の人間が拾って厄介なことになる展開。

嫌いなのよねー、そういう話。









藤野可織「来世の記憶」読了。いろいろな媒介に発表された作品の短編集。「フラン」という作品に惹かれたのは、よく知っている場所が舞台になっていてテンション上がったというのもあるけれど。
主人公はおそらく私の長男と同学年の生まれ。
未来を生きる彼女が2011年に19歳だった自分の、「あの19歳の一瞬」のことを思い出している。
19歳の一瞬は、「いまだに私を力づけている」。
私にも、そんな一瞬はあって、もちろんスマホなんてなく写真といえば紙焼きだった時代だし、写真も動画も残っていない。

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