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日記 0927-1019



9/27 水

思うに私が小説を書いたのは、あることについて自分がどう考えたかを知るためであり、詩を書いたのは、自分がどう感じたかを知るためだった。

『独り居の日記』

何を感じ、何を考えたか、私の中にちゃんと積まれているだろうか?

目には見えなくともちゃんと残っていてほしいなと、こんなこと思っていたら『パターソン』が見たくなった。



9/28 木

なんだか最近は過ごしやすくて季節というものを忘れている。

ちょっと忙しくて、私の頭は整理されず、ぽろぽろいろんなものが抜け落ちていく。憶えていたいこと、憶えなくたっていいこと、憶えておかなきゃいけないこと、それらに違いはなくて、時間の中に全部溶けていく感覚がすこしこわい。こんなふうに、自分の中にあったものがだんだん消えてなくなるこのこわさは多分「淋しい」で、急に訪れたこのおセンチに秋を見たのだった。

季節を忘れているとは言いつつも、ちゃんと秋が訪れているのだね。



9/29 金

ナカタさんはなにごとかをつぶやきながら食品をひとつひとつ点検していたが、やがて卵とピーマンとバターを取り出した。ピーマンを洗って細く切り、それをまず炒めた。それから卵をボウルに割って箸でかき混ぜた。適当な大きさのフライパンを選び、慣れた手つきでピーマン入りのオムレツを二つ作った。

『海辺のカフカ・上』


たまたま冷蔵庫に卵とピーマンがあったことを思い出し、

ナカタさんのオムレツ!


物語に出てくるご飯って魅力的だよね〜高校生の時からグレーテルのかまどのファン



9/30 土

サタデーナイトは映画!いきなり画面に映る踊り狂う男女とその影に「何事?!」と思う。

『マルホランドドライブ』

途中こわすぎて、いつもは床に転がっているぬいぐるみを抱きしめながら見るも心臓はずっと鳴っていた。

「これは録音です」と男が叫び、今まで見ていたものがまやかしで、夢だったんだと思い知る。その夢と、夢ではない場所はとても似ているけれど違う世界だってことに気づく。ようやく着地点を見つけたと思ったけれど、それすらもやっぱりまやかしで、確かに触れているはずなのに、そこには感触というものがなかった。

頭の中を覗いてみたい人No.1デヴィットリンチ。


10/1 日

夜ご飯をつくってから家を出た。やるべきことやってからやりたいことをする清々しさよ。向かった先は神保町、TOBICHIである。そしてついにほぼ日手帳を買った~!

店内3周くらいして悩みに悩んだのだけど、やっぱり軽さ重視で2つに分かれているやつ、カバーはこのブラックのにした。中のブルーが可愛すぎて開くたびドキドキする〜

ARTS&SCIENCEコラボのプランナーというやつは黒くて中身も英語でかっこよかったな

はあ、新年が待ち遠しい。



10/3 火

綿でも詰められてる?くらいに頭が窮屈でぽやぽやとする。早く帰りたかったけれど少しだけ残業。

夏の間に読もうと意気込んでいたのに秋になってしまった『海辺のカフカ』

失われ、損なわれ続ける私たちが生きる意味、それが知りたくなった時はこの本を開こう。森での少女と少年の生活に『西瓜糖の日々』を重ねて読んだのがとても良くて、こうやって毎回新しく読めるのって嬉しい。


10/19 木

日が空いてしまった日記。すり切れた感じで帰宅。どうしようもなくて、安心する人の声を聴いたらやっぱり安心した。シャワーを浴びて、お香焚いて、アイドル流してこの日記を書いている。こうして書くことで、頭の中に鳴っていた雑音が少しずつ薄れる。

最近は大好きなマンガ、「あひるの空」のアニメを見ている。全ての登場人物の声がぴったりで安心、一度見ると止まらなくなる。試合中の心理描写が本当に丁寧で、たしかにバスケマンガではあるけれど、バスケを見せるマンガではないと思っている。

どうしたって現実に抗がわなくちゃいけない、そもそも負けが見えているような敗者たちを描いていて、友情!努力!勝利!にはない繊細さと重みがある気がするのだよね。

空が3Pを放つ前「弾道は低く…」から始まる台詞とかすごい文学的でときめくし。アニメも最終巻までやってくれたらいいのに…。


千秋ぱいせん


では。









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