あなたのくれた言葉 正しくて色褪せない でももういらない
わたしの青春はチャットモンチーとともにある。中でも『告白』はいちばん大好きなアルバムで名盤で。発売当時永遠に聴いてたなあ。
中学生だったわたしは、煙草を吸う大人を知ってても、煙草を吸う男の人を好きになった経験なんて当たり前になくて。だから「染まるよ」も、もはやこんな失恋してみたいなーみたいな感じで謎に憧れの失恋ソングだった。かわいいな自分。
大好きだったひとの大好きだったものを大好きになれなくて、あなたに染まりたかったのに染まれなくて、近づきたかったのに近づけなくて、どうしてればよかったんだろうって、もっとあなたを理解できていたらって、たぶんそんなことを思いながら、女の子は夜道で煙草を吸ってみたんだとおもうんだけど。
そのまだ未練たらたらな健気さがさ、かわいくて、愛おしくてさ。
でも最後の大サビ前の一節で殴られる。
あなたのくれた言葉 "正しくて"色褪せない。
この"正しくて"という一言。
言われた男、生きてるか?って感じ。
恋してるときはね、正しいとか正しくないとか、そんな理性的になんか考えられないんだよ、たぶん。
煙草だってあなたの好きなものだったから手に取ってしまったわけで。だけどさ。
この"正しくて"って一言で、ああ、恋が終わっちゃったんだなあって。正しいとか正しくないとかじゃなくて、あなたがくれた言葉だから、彼女は大切にしてたんだとおもうし、だから色褪せなかったんだともおもうし。
だけど女の子は、彼がくれた言葉が"正しい"という事実に気づいてしまった。その上で、もういらない、とばっさり切り捨てる。未練たらたらなのは女の子の方だったはずなのに。
忘れないでよ、だなんて言ってるけどたぶん、彼女の中でもう恋は終わってる。
わたしが大好きだった、あなたが大好きだった煙草を吸いながら夜道を歩き、儀式が終わったら、もう、違うわたしになってる。あなたの言葉をばっさりと切り捨てられてしまうくらいには。
ねえ、振ってやったつもりになってるのかもしんないけど、切り捨てられたのはお前の方だかんな、ってこの男にはずっと思ってるよ。生きてるか?
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