特別支援学校教員が視線入力でマリカー(任天堂Switch)を遊んでみた
この間のPTA主催のICT機器体験会の続き。
肢体不自由障がい児童生徒を対象とした、特別支援学校に通う児童生徒はなかなか手指をつかった操作が難しいことが多いです。もちろん、肢体不自由に限らず、細かい動きが苦手で困っているお子さんは一定数おられます。
そういった細かい作業が苦手なお子さんは、PCのマウスやタブレット端末の操作が難しく、多くの子どもたちが楽しんでいるゲームコントローラーなどを操作することも難しく感じているのではないでしょうか?
そういった悩みのあるお子さんでもゲームを楽しんで欲しいと、仙台高専の竹島先生や島根大学の伊藤先生が「ワンスイッチ」で遊べるゲームを提供してくれています。伊藤先生は視線入力装置の練習として視線入力ゲームも開発されていますね。PCやタブレット操作に関しては、アクセシビリティ機能や入力機器の工夫をすることで、ICT機器へのアクセスを可能にしています。
重度肢体不自由児のための学習支援ソフト
スイッチ入力訓練アプリ SCoT シリーズ | 研究 | ポランの広場|福祉情報工学と市民活動
Windows のアクセシビリティ機能 - マイクロソフト アクセシビリティ (microsoft.com)
アクセシビリティ - Apple(日本)
Macでアクセシビリティ設定を変更する - Apple サポート (日本)
iPhoneのアクセシビリティ機能を使ってみる - Apple サポート (日本)
iPadのアクセシビリティ機能を使ってみる - Apple サポート (日本)
その一方で、こんな願いもありますよね。
「流行っているゲームできないかな?」
「兄弟姉妹が遊んでいるゲーム、一緒に楽しみたいな…」
やってみましょう!!皆さんご存知、「マリオカート8」
「マリオカート(任天堂Switch)を視線入力で遊んでみた!!」です。
この分野では筋疾患の方の情報が参考になります。
ゲームやろうぜProject (gyp55.com)
「汎用ゲーム機を視線入力装置で遊ぶためにはどうすればいいのか?」
ということですが、単純に言えば、
「『視線入力装置』を汎用ゲーム機の『コントローラー』にする。」
ができれば良いと思って下さい。
プレステにはプレステ専用の、SwitchにはSwitch専用の、XboxにはXbox専用のそれぞれのコントローラーがあります。また、それぞれのゲーム機と互換性のあるサードパーティー製のコントローラーが売られています。視線入力装置をこの「サードパーティー製のコントローラー」にするためには、ゲーム機本体と視線入力装置の間をつなぐhubとなる機器が必要となります。今のところテクノツールさんで販売されている、こちらの製品
「Flex Controller」
が選択肢になります。
Flex Controller(フレックス・コントローラー)【at-mall限定】 – at-mall:テクノツール株式会社
Flex ControllerではコントローラーのHubとして、外部スイッチやジョイスティックを繋ぐことができます。その一環として、PCでセットアップされた視線入力装置も外部コントローラとして認識することができます。
そしてテクノツールさんは「視線入力、マウス、またはキーボード(beta機能)を利用するため」の「拡張アプリ」を準備してくれていて、そちらに視線入力でコントロールするための「必要機材およびソフト」と「接続方法」「接続図」も示してくれていて、参考になります。
Flex Controller 拡張アプリのダウンロード – at-mall:テクノツール株式会社
セッティング画像はこんな感じです。(PTA会長さんが撮影してくれていました。こういう時、私が記録用の撮影を忘れてしまうのは、大きな反省点です…)
右側のPC用モニターは視線入力装置をセッティングしたPCと接続されています。左側の液晶TVはSwitchの画面をそのまま映しています。左右の画面で少し違っているのがわかるでしょうか?PC用モニターには左右に大きく四角くグレーで表示されている部分が確認できると思います。Flex Controllerの拡張アプリを同時にPC上で実行したときに、視線入力を感知する領域がグレー表示されます。左側のグレー領域を見るとカートは左にハンドルを切り、右側のグレー領域を見れば右にハンドルを切る、という設定になっています。
Flex Controllerを介して視線入力装置をコントローラー代わりとして認識できることはもちろんですが、この拡張アプリを利用することで、複雑な設定をすることなく、かなり簡単にソフトウェア上で視線入力装置からの信号をSwitch側に変換入力できることは、かなりの値打ちがあると私は個人的に思っています。テクノツールさんの開発さんの仕事、最高です!!
こうして設定した装置を使って、参加した児童生徒の皆さんに遊んでもらいました。これは、私の主観なのですが、普段から校内で接していて「見ている(視覚認知している)な」と思っていた児童生徒については、「カートを操作しているな」と思えましたし、「視覚的にどうなのかな?」と思っていた児童生徒については、「画面を見ようとしている。」と感じることができました。
保護者の皆さんからの感想は一様に「マリオカートができるなんて…」という予想通りのものでした。予想通りというのは、私もそう思っていたからです。
一つ大失敗をしたのは、液晶TVを中継用に準備したつもりだったのですが、どうしてもそちらの大きな画面に児童生徒の注意が行ってしまい、目の前のPCモニターに集中しきれない感じでした。皆さんに視線で操作している様子を確認してもらいたくて設定した液晶TVですが、次に取り組む時は、視線入力用のPCモニターと距離を離すとか、パーテーションで区切るとかした方が良さそうですね。
やはり汎用ゲーム機のゲームは仕掛けも派手ですし、万人に受けるだけあって、児童生徒の興味関心も引き易いことが確認できました。ゲームをきっかけに「より良い生活」に近づけるよう、これからも様々な取り組みを考えて行きたいと思いました。
※操作が簡単になるようにマリオカートの設定をしたり、音声をどこから出力させるかや複数台のモニター提示などその他にも色々とセッティングの種はありますが、今回は省略です。
もちろん、ICT体験会だけに、
「いつも、ちょっと、トラブル」≠「ICT」
もしっかりと起こっています…
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