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SDGs×ビジネス(61):国境炭素税の動向

みなさんこんにちは!

私はエネルギー企業で事業開発をする中で、エネルギー×SDGs×ブランディングについて考えています。

このnoteは、読んでいただく読者の皆様と共に学び、知識の整理と共有を目的に継続していきます。

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今回は国境炭素税の動向について、学んでいきます。

国境炭素税はカーボンプライシングの中の1手法という位置付けになりますが、以前のカーボンプライシングに関する記事はこちらから!


EUの国境炭素税

2021年7月、EUは環境規制の緩い国からの輸入品に課税する「国境炭素税」の導入を発表しました。EU域内の輸入業者へ2023年から報告を義務づけ、2026年から徴税も含め全面実施する計画です。

EUが国境炭素税導入に踏み切った背景には、EUによる二酸化炭素排出削減の目標の存在があります。EUでは、2030年に1990年に比べ、二酸化炭素排出量55%削減という目標を打ち出しています。

この目標の達成を行う中でEU域内の企業は、大きな負担を追う形となります。その結果EU域内の企業が温暖化対策のコストを一方的に負担し、規制が緩い地域からの輸入品との競争にさらされる形となります。

こうなってしまっては、世界で見た際に環境規制を強化する=産業が衰退するということになりかねません。公正な競争環境を構築するため、環境規制の緩い地域からの輸入品に対し、課税を行うことでEU域内における競争を公正に保とうとすることが導入の狙いになります。

当初は、温室効果ガス排出量の多い鉄鋼やセメント、アルミニウム、肥料など5品目に限られ、これらのEUへの輸出が多い国家にロシアが挙げられます。日本への影響としては限定的という見方がされていますが、ロシアが課税に反発し輸出を停止した場合、世界を巻き込む大きな波となりそうです。


アメリカの国境炭素税

EUに続き、アメリカでも国境炭素税に関する議論が始まりました。提出された法案によれば、2024年1月から国境炭素調整を導入する計画です。対象品目はEUより広く、温室効果ガスを多く排出する、鉄鋼、アルミニウムはじめ、セメント、天然ガス、石油、石炭といった製品を対象とするということです。


今後、取り組みが進んでいる地域においては、国境炭素税の導入が拡大する可能性があります。日本が規制の先進国となるのか、後れを取るのか、その結果として日本の産業が環境規制の緩い国からの輸入品によって衰退するのか否か、注目されます。



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