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ねむ×総務省『情報通信政策研究』で『メタバース進化論』掲載【本当の自分】

総務省の学術雑誌の論文に「バーチャル美少女ねむ」が登場!? 拙著『メタバース進化論』を複数回引用頂き、私の理論「アイデンティティンのコスプレ」=「メタバースにおける本当の自分(分人主義)」について触れて頂きました!

総務省情報通信政策研究所が刊行している学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻で2022年8月5日に掲載された論文・小塚荘一郎教授(学習院大学法学部教授)「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」内で、拙著『メタバース進化論(技術評論社)』を複数回引用頂きました。「仮想空間」の定義や、メタバースにおける「本当の自分(分人主義)」について、拙著の概念を引用して議論を展開して頂いています。


総務省学術雑誌『情報通信政策研究』

 学術雑誌『情報通信政策研究』は、情報通信政策に関する基礎的な調査及び研究の発展に資することを目的として情報通信政策研究所が刊行する学術雑誌です。
 当研究所からの依頼を受けた有識者又は当研究所の職員等からの寄稿、投稿論文等を逐次公表します(年度ごとに2号程度に区分する予定。)。当研究所のホームページ上に掲載された学術雑誌(オンラインジャーナル)の内容の全部又は一部を逐次整理して、製本誌(ISSN 2433-6254)として刊行することがあります(年度ごとに1巻程度を刊行する予定。)。また、逐次、「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)に掲載します。

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総務省学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」

総務省学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻掲載論文・小塚荘一郎教授(学習院大学法学部教授)「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」

寄稿論文「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」

■著者:小塚 荘一郎(学習院大学法学部教授)
(オンライン掲載日:令和4年8月5日)

■要旨
仮想空間をめぐる法的な課題には不明確な点が多く、インターネットの黎明期を思わせる状況にある。しかし、仮想空間には、特定の事業者が提供するプラットフォーム上に閉じた空間が構築されるという特徴があり、オープンなインターネットと状況が同じではない。プラットフォーム事業者が設定する利用規約や技術的な仕様(アーキテクチャ)によってルールが形成される側面も大きい。それに対して、仮想空間内のできごとが現実世界と接点を持つ場合にその関係を調整するためのルールは、今後、法的に検討していく必要がある。これは、一種の抵触法(空間際法)のルールであり、抵触の類型を区別しつつ、具体化していかなければならない。その際の基本的な原則は、「現実世界の優位」であると考えられる。現実世界で確立されている政策判断や価値判断は、仮想空間内の活動に関しても損なわれてはならず、他方で、仮想空間に対する影響を考慮して現実世界での行動が制約されることは、少なくとも当面は、想定しにくいためである。

総務省学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻掲載論文・小塚荘一郎教授(学習院大学法学部教授)「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」

①「仮想空間」の定義について『メタバース進化論』引用 - 総務省学術雑誌『情報通信政策研究』

メタバースに関する著作の代表例として拙著『メタバース進化論』を取り上げて頂き、一般的理解として著作内での説明「リアルタイムに大規模多数の人が参加してコミュニケーションと経済活動ができるオンラインの三次元仮想空間」を引用して頂きました。

「仮想空間」の定義について『メタバース進化論』参照
総務省学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻
「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」

1.2.本稿の対象(「仮想空間」の定義)
「メタバース」という言葉は、ニール・スティーヴンスンのSF小説「スノウ・クラッシュ」に由来すると言われるが、それを正確に定義することは容易ではない。最近の著作の中には「リアルタイムに大規模多数の人が参加してコミュニケーションと経済活動ができるオンラインの三次元仮想空間」と説明するものがあり、一般的には、おおむねそのように理解されているものと考えられる(*4)。

*4 バーチャル美少女ねむ『メタバース進化論』〔技術評論社、2022年〕29頁。

「仮想空間」の定義について『メタバース進化論』参照
総務省学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻
「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」

②メタバースにおける「本当の自分(分人主義)」について『メタバース進化論』引用 - 総務省学術雑誌『情報通信政策研究』

メタバースにおける「本当の自分(分人主義)」について、『メタバース進化論』の骨子である「アイデンティティのコスプレ」を引用して議論を展開頂きました。

メタバースにおける「本当の自分(分人主義)」について『メタバース進化論』引用
総務省学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻
「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」
メタバースにおける「本当の自分(分人主義)」について『メタバース進化論』引用
総務省学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻
「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」

このような現実の人間に対する「帰属」を肯定することは、仮想空間内における存在も「本当の自分」であると主張する「分人主義」の考え方を否定する趣旨ではない(*17)。ここでの問題は、現実世界だけではなく仮想空間内の存在も「本当の自分」であることを認めた上で、仮想空間内の「自分」に対する行為が現実世界の「自分」に対する行為として評価される場合があり得るのではないか、言い換えれば、原因となる行為が仮想空間で行われたことを理由として、現実世界の「自分」に対する効果が当然に否定されるわけではない、という点にある。そして、このとき、仮想空間内でのアバターのいかんを問わず、現実には未成年である主体には、判断能力の修得や人格形成が途上であることから未成年としての保護が与えられるべきであるという考え方は、納得できるものである。ここには、現実世界の政策判断(ないしは価値判断)が、仮想空間の規律に際しても優先して適用されるという「現実世界優先の原則」が成立していると言うことができよう。

*17 メタバースにおける分人主義を強く主張する見解として、バーチャル美少女ねむ・前掲

メタバースにおける「本当の自分(分人主義)」について『メタバース進化論』引用
総務省学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻
「仮想空間の法律問題に対する基本的な視点―現実世界との「抵触法」的アプローチ」

参考:総務省メタバース研究会への資料提供

総務省「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会(2022年12月2日開催、第5回)」でも、私達の実施した調査「メタバースでのハラスメント(Nem x Mila)」が「諸外国および国内における代表的な取り組み」として取り上げられました。

こちらの研究会第1回でも、画像などの情報提供を行いました。

参考:書籍『メタバース進化論』発売中

拙著『メタバース進化論(技術評論社)』では、誤解されがちなメタバースの定義や、メタバース内で起こるアイデンティティの革命「アイデンティティのコスプレ」について、膨大なデータと私自身の経験を元に詳しく解説しています。ぜひご覧ください。


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