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許し

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カナダでの生活も残り僅かとなり、今までのこと、これからのことを考える日々を送っています。

今年はコロナのことで世界があたふたしている中、ここから客観的に見つめることができたことが一番の収穫かもしれません。

話は3月のステイホーム時期に戻ります。
私はその月が最後の語学学校の予定でしたが、いきなり外に出られなくなり、学校からの連絡を待つ日々で、身寄りがない私は話し相手がシェアメイトのおっさんのみ、という生活になりました。
おっさんは外での仕事を続けることができたので、ほとんどの時間、私は一人で過ごしていました。

これからどうなるのか分からず、人に会えず、仕事も探すことが出来ない、それは不安な日々で、パソコンを一日中眺めることも不安の一因になっていました。
これは多くの人が経験したことで、精神的に参ってしまう人が多いのもとてもよく分かります。

私はおっさんという話し相手がいたことが大きく、もし完全に孤立していたらどうだったろう、と考えると今の状態を保てていたか分かりません。

おっさんは、外に出ることが出来ず家にずっと引きこもって、そりゃあ心が不安定になるだろう、という思いから私の心の状態についてよく質問してきました。
「今日は僕にとってはダメな日。何をやってもムカムカするから散歩して寝る。それで、今日は君はどう?」
おっさんの心の状態についてもまるっと曝け出してくれて、私たちはお互いの心の変化を共有していました。

それから早8ヶ月。先日、大好きなアーティストの記事を読みました。

コートニー・バーネットは今年ひどいパニック発作に襲われました。
「将来について大変に思いが溢れてきた。それはまるで全ての考えが一度に湧き上がってきて、それはいつも以上で、1000程に増幅されたようだった」

彼女は元々繊細な曲を作る繊細な心の持ち主で、感情の起伏はよくあることだったそう。
コンサートの中止など、ミュージシャンに対して絶望的な結果を招いた今年は、多くのミュージシャンが精神的に追い詰められています。
彼女もその一人であり、今はテレビへの露出を断り、メンタルケアを受けて、今は少しづつ快方に向かっている途中だそうです。

私は、こうしてアーティストや著名人たちが自らの状況について語れる場は素晴らしいと思いました。もちろんアーティストが心身的にサポートを受けられる仕組みがあってこそのことですが。
日本では特に精神的にネガティブな面は語られることも聞かれることもタブーであるかのような傾向があると感じます。しかし、このような風潮が当事者や、そして我々を追い詰める原因になりうると思うのです。

もちろんこれを自ら曝け出すことは容易なことではありません。しかし、私は彼女の苦しみやそれと闘う言葉を聞いて、私が苦しんでいることは隠さなくていいし、おかしなことじゃない。と言われたような気がしました。
彼女の言葉は私を支えました。


上記のページに載せたPodcastでも触れられていますが、日本には独自の”同調圧力”と”世間”という概念が存在し、それは見えない形で我々の行動を支配し、時に苦しめていると思います。それは文化といえばよく聞こえますが、世界的にみても多くの人が精神的に追い詰められている日本で、大小に関わらず変化が必要だと、今年改めて背中を押されているのではないでしょうか。

おわり



サポン!で世の中を変えることは難しそうです。しかしやってみる価値にかけてみたいと思います。