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フォーク

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おっさんが昨日去っていった。
ここは一人暮らし用のアパートではないので、空っぽのスペースがとたんに増えて寒さを感じる。

引越しと同時に、今までおっさんに借りていたキッチン道具もなくなってしまった。特に昨日の今日で困ったのはフォーク、スプーン。
私は渡航時の荷物を減らすため、フォークもスプーンも持ってこなかった。

これはドルショップで安いものを買うか、、と思って友人に話したところ、
”それは買う物じゃない、拾うものだ” 
と言われた。どうやって、、とドギマギしていたところ、
”たくさん拾って余っているから何個かあげる”
ということで本当に少し分けてもらった。
その人によると、引越しの際にゴミとして外に出されている不用品から簡単に手に入れられるとのこと。フォークやスプーンだけでなく、家具や電化製品、奇怪な人形等々色々集めているらしかった。

”拾う物” と聞くとちょっと気が引けてしまうが、何でもかんでもはじめから”買う” という私の中の概念をぶちこわした友人が輝いて見えた。
単に袋で隠して全てがゴミになってしまうのではなく、使えそうなものは曝け出しておいてくれる住人たち、素敵だ。


実はお湯を沸かすケトルもなくなってしまい、第一にそれは買おう、と思っていた。
けれどフォークの件で考え直し、一度おっさんの置いていった小さな鍋でお湯を沸かしてみた。これはなんとかなりそうだ。


ニュースで流し見してしっかり覚えていないが、どこかの国のロックダウン中に、地域で無料で持って帰ることができる小さなマーケットがあったと思う。
そういうの、地域でもらったりあげたり、お金意外で繋がれるのはお金以上に価値を生めるかもしれない。

日本でも”あげます”っていう回覧板やサイトがあるけれど、インターネットや広告を通過しなくても、通りがかったら誰かがもらっていった、ていうのがやってみたい。
何度か東京でもみた気がする。古民家の玄関先に段ボールに詰まった陶器が並んでいた。


と言うわけで、今日は鍋でコーヒーを作り、貰ったフォークでケーキを食べた。




サポン!で世の中を変えることは難しそうです。しかしやってみる価値にかけてみたいと思います。