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久しぶりに雪が降って、何だかんだみんな楽しそうだった

九州に雪が降った。久しぶりに雪が積もった。こんなに雪が降ったのは五年ぶりだとかなんとか。私も九州で生きてきて20数年になるけれど、雪が積もったのを見た記憶は三、四回くらいしかない。

そして、昨日、おととい。久しぶりに雪が積もっていた。私はその両日ともバイトだったので、外に出なければならなかった。移動手段に原付も使えないし最悪、と思っていたけれど、悪いことばかりではなかったし、何だかんだみんな楽しそうだった。そんな感じの久しぶりの雪の日の私の周辺と、街の様子を記録しておこうと思う。

家の外に一歩出ると、一面真っ白。白線も分からなかった。歩くたびに足を雪が埋めていく。それがすごく新鮮だった。道路が雪まみれで原付に乗れないので、バス停へ向かっていく。10分少しくらい、屋根の下で待っていると、雪の中から一台のバスがこちらに向かってくる。なんて心強い。まるで救護車のようだと思った。チェーンをつけて、がたがたと音を立てて走るバスに乗ってみる景色は、いつもの見慣れた景色ではなかった。どこもかしこも真っ白で眩しかった。

バイト開始の時刻に間に合うかハラハラしていたけれど、ぎりぎり間に合った。室内の窓際では、暖房の暖かい風に、いかにもな外気が我が物顔して紛れ込んでくる。寒かった。

バイトの休憩時間に何か小腹を満たすものでも買おうと思ってスーパーに寄ったら、大雪のため五時で閉店しますとのこと。近くの他の店も閉まっていた。スーパーの駐車場はだだっ広くて、雪が一面に張っていた。まるでスケートリンクだ。スーパーからバイト先に戻る途中、子供たちが駐車場で追いかけっこをしていた。その光景を何回か見た。元気で、そりゃ子供は風の子元気の子って言われるわなあと感じた。そして、別の駐車場では、端っこに雪だるまが大量発生していた。丁寧に顔までついていた。その10メートル先では、雪で埋もれた地面に「~ちゃん(名前は忘れた)ハピバ」と棒か何かで書かれていた。何でそこに、その文章を書こうと思ったんだ。本人に直接言いなよ、いや、誰が書いたのかを知られずに伝えたかったのか?などと考えた。そんな、皆雪楽しんでるやんエピソードが、この二日間でたくさん見つかった。雪だるまは五、六体発見された。全部こちらを見ていた。道路の方に手を振っていた。そういった場面に出くわすたびに、斜に構えた風に言うと、この世界もまだまだ捨てたもんじゃないなと思った。普通に言うと、元気が出た。もちろん、楽しんでいた人だけじゃなくて、辛かった人、しんどかった人も沢山いるのだろうけど。でも、雪だるまを見るたびに、誰かの遊び心が街中に散らばっているようで私は楽しかった。雪に少しでもワクワクして、作ってみて、その気持ちを損なわないまま雪を転がしていたのかなあなんて思うと、私までワクワクしてきてしまう。今日夕方、街を見てみると小さい雪だるまは消えて、大きな雪だるまは瀕死の状態だった。あんなに大変だったのに、私はそれが少し寂しかった。

けれど今では、雪はもういっとき来なくてもいいぞ、と思っている。

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