家族相談士のNEKOZEでございます。
今回はエヴァンゲリヲン新劇場版の主人公シンジ君のご家庭に対して、家族療法の視点でみていきたいと思います!
目的は家族相談士としての研鑽を積むことです。そのため、正解や指南を提示するものではなく、あくまでとある家族相談士の見立てと思ってお読みください(*'ω'*)
ちなみに私のエヴァ歴は、TVアニメ版~旧劇場~新劇場版まですべて視聴しています。TVや映画で描かれていない部分まで一通り知っています。
冬月「ファンかな?」
NEKOZE「…………あぁ」
これまではイチ視聴者でしたが、
家族カウンセリングをすることになったらどう介入するのか、真面目に取り組んでいきたいと思います!
改めてエヴァンゲリオン新劇場版:序を再視聴しました!エヴァンゲリオン新劇場版:序の気になる会話を文字起こししたので一緒にみてみましょう。
主人公と関係のある登場人物
初めてエヴァに乗るシーン
ここまでのNEKOZEの所感
まずは福祉的にアウトでございます!
児童虐待におけるネグレクト(育児放棄)や心理的虐待の恐れがあります。
カウンセリングにおいても児童虐待が疑われる場合は、関係機関へ情報開示する法的義務が発生します。
初回の面接時には、守秘義務に関するガイドラインについて説明しています。児童虐待や危険な行為が疑われる場合には通告義務が生じることをあらかじめ説明します。
これはクライアントとの信頼関係を維持し、クライアントがさらなる支援を受ける準備ができるようにするためです。
さて、一般的には父親(ゲンドウ)が家族問題の原因と捉えてしまうかもしれません。しかし家族療法の視点ではNGです。家族システムとしてどうなのかを視ていく必要があります。
あくまで仮の話ですが例えば、以下のような仮説が立てられます。
妻の死後、ゲンドウは生きる気力を失ってしまい抑うつ状態となり、子育てに避ける余力がなかった。
妻の死後、精神疾患を患っていた
ゲンドウ自身が子育てに対する責務に恐怖や怯えを感じていた。
仕事と育児の両立が困難になってしまい、結果的に育児放棄のような状態になってしまった。
子の気質と育てやすさ、育てにくさ(機嫌や感情などの反応が強く、柔軟性、適応性、習慣性が不安定な子など、育てにくいとされるタイプがある)
などでしょうか。
家族相談士としての視点では、
ゲンドウさんに対して「困った人」ではなく「困っている人」と捉えます。「そうならざる得なかった人」「たまたまそうなっちゃった人」と言い換えることもできますかね。
あくまで相互の影響がたまたまその人で表面化しちゃっただけで、実は見えない部分でいろんな相互作用があるんだよ~って感じで視ます。
では次のシーンを見てみましょう。
ミサトがシンジ君を引き取るシーン
ここまでのNEKOZEの所感
ミサトさんとシンジ君、いい感じですねぇ。
シンジ君としても表情が穏やかで緩くなり笑顔も見られて、良い影響が起きているのではないかと感じられます。
家族療法では介入方法の一つとしてソリューションフォーカストアプローチ(以下SFA)というものを用います。このSFAで私がとっても気に入っている一句があるんです。それがこちら。
ミサトさんとシンジ君の関係性はシステムに好循環を生み出しそうな気がします。
シンジ君にとって人から受け入れてもらえる環境で何気ない会話とか雑談が心地よい感じなのかな?この関わり方をもっと継続して、シンジ君に情緒的な接触の機会を増やしていくとよさそうです。
シンジ君にとってこの経験や関わりは大事な資源となりそうです。
では次のシーンを見てみましょう。
シンジ君がクラスメイトから殴られるシーン
ここまでのNEKOZEの所感
いい感じだったのに~!!そりゃないって~!(´;ω;`)
と、ここでも家族相談士としての視点で視ていきます。
家族療法では戦略的に質問を使います。質問を活用してまだ言語化できていない感情や想い、本人の希望や望み、本音などを確認していきます。
NEKOZEならこんな風に聞いてみるかなぁ。
シンジ君に対してどう質問するか(お父さんも同席)
「怖くて不安な想いがある中でも、またエヴァに乗ろうと決意した背景にはどんな想いがありますか?」
「シンジ君の大切にしたい価値観は何でしょうか?」
「1年後、どうなっていたら理想的だなって感じますか?」
「このままの状態が今後続くとしたらどう感じますか?」
「いま障害となっている全ての悩みが解決したとしたら、何をしたいですか?何を目指しますか?」
「どのように接してもらったら安心と感じますか?何をして貰えたら嬉しいと感じますか?」
「あなたのチャレンジングな行動を思い出してみてください。過去のあなたに声をかけるとしたら何を伝えますか?」
「何を失ったら不安と感じますか?実際に対処していることがあれば教えてください」
「何を思われると不安に感じますか?実際に対処していることがあれば教えてください」
ゲンドウさんに対してどう質問するか(シンジ君も同席)
「次回、シンジ君が不安や無力感に襲われた場合、家族(組織)でどのように対応するか、今から一緒に決めてみましょうか?」
「もし、次の1週間、労いの言葉をたくさんかけたら、家族(組織)の中で何が変わると思いますか?」
「ゲンドウさんが次に家庭(組織)で指示を出す際、いつもと違う方法を試すとしたら、どのようなアプローチを取りますか?」
「シンジ君とお父さんが意見の不一致を感じたとき、これまでどのように対応していましたか?その対応を変えたとしたら、どんな変化が起こるりそうですか?」
「シンジ君と二人で毎日1時間だけ自由に話せる時間を設けたら、どのような変化が起こるでしょうか?」
「家族が最近上手くいっていることを一つ挙げるとすれば、それは何でしょうか?それが上手くいっている理由は何だと思いますか?」
「あなたのお父さんが子どもだった頃の家族関係はどのようなものでしたか?その影響が今のあなたの家族にどう影響していると思いますか?」
「ゲンドウさんのご両親がどのように子育てをしていたか、ご家庭で話し合ったことはありますか?ゲンドウさんの子育てに影響している部分があればどんなことですか?」
「あなたが困難に直面したとき、どなたになんと声をかけてもらいたいですか?」
といった感じですかね。
ちなみにこの質問例を作ったのは私一人の力ではありません。教科書・質問事例・chatGPTの手を借りて作成しました。おかげ様で知識の補強と復習になりました。
では次のシーンを見てみましょう。
シンジ君が第5使途を倒す&クラスメイトと和解するシーン
ここまでのNEKOZEの所感
まず再生時間38:00のシーン。
命令違反をしたシンジ君ですが、ここでは一体何が起きていたのでしょうか。
普段のシンジ君は表面上従順に従う行動を選択してきた傾向がありますが、
ここでは「逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ」と口にして自分を奮い立たせているように見えます。いつもと違う行動をしていますね~。
そしてミサトさんと衝突します。
ここでNEKOZEが介入するとしたら、ミサトさんとシンジ君の背景・望み・期待・視点・立場について二人が同席しているところでヒアリングします。そして他の家族(関係者)に伝わりやすいようにカウンセラーが翻訳・通訳します。
例えば、以下の会話が展開されたとしましょう。
本人が言語化できていない想いをカウンセラーが言語化します。本人の認知や内面に変化が促されますし、これを聞いている他のご家族にも変化が促されます。
ここで注意が必要な点は、同席しているご家族(ミサトさん)についても常に意識続けることです。カウンセラーが家族の誰かに偏ってしまうと家族療法は成り立ちません。カウンセラーは全員と公平で中立を保たなくてはなりません。(これを”多方面的肩入れ”といいます。)
では、ミサトさんにもカウンセラーが中立的に質問してみましょう。
家族システムを理解するには紐をイメージする
映画も中盤になった所で今回はここまでです。
家族システムを分かりやすく理解するためには、上の画像のように紐で理解します。
家族全員で円を描くように並んで、一本の紐を家族全員で手に持つと紐がぐるりと円の形になります。この紐をシステムだと思ってください。
紐の長さは限られていますから、ひとりが動くて他の家族は引っ張られます。他の家族が反発をすれば、強く抵抗して紐の元に戻そうと引っ張ったりします。
反対に一人が強引に動くことで家族全員が紐で引っ張られて、あらぬ方向へ進んでしまうこともあります。紐があることで、一人の変化は家族全員の変化に繋がるのです。
もちろん私が考えてわけではありません(笑)
家族養成講座の先生方から教わりました。
今回エヴァンゲリオン新劇場版:序の舞台では、シンジ君の実の家族はゲンドウですが、ミサトさんや職場(組織)もシステムの一部となっています。システム理論は家族だけでなく、職場や家庭、集団、コミュニティなどあらゆる場面で活用できます。
前編の感想
今回のアニメで事例検討は非常に濃厚な勉強・復習の機会となりました。王とプットと少しインプットもあり正直ヘトヘトです(笑)
しかし得られたものはとても大きく、質問のバリエーションが増えたことが大収穫です。普段から練習していないと本番で活用できないので、活用していきたいと思います。
アニメで事例検討は面白い試みなのですが、連発できなさそうな所が弱点ですね…。
昔エヴァをみた印象では、シンジ君ってもっと人を避けているイメージだったのでした。
今回再視聴したらそれほど人を遠ざけてないように感じましたね!ミサトさんやリツコさんとも素の状態で話せているし、レイにも接近したい感じが出ていましたし。
それと自己表現できないという印象も今回で覆りました。表現方法はどうあれ、しっかり表現できているじゃ~んって思いましたね。エヴァQのイメージに印象が持っていかれているのかもしれないですね………( ^ω^)
後編は明日アップ予定です!乞うご期待!