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#前編 エヴァ序×家族療法|碇家に家族療法を行ってみた!

家族相談士のNEKOZEでございます。
今回はエヴァンゲリヲン新劇場版の主人公シンジ君のご家庭に対して、家族療法の視点でみていきたいと思います!

※注意:TV版・劇場版含め、エヴァンゲリオンの重大なネタバレを多く含みます。

目的は家族相談士としての研鑽を積むことです。そのため、正解や指南を提示するものではなく、あくまでとある家族相談士の見立てと思ってお読みください(*'ω'*)


ちなみに私のエヴァ歴は、TVアニメ版~旧劇場~新劇場版まですべて視聴しています。TVや映画で描かれていない部分まで一通り知っています。

冬月「ファンかな?」
NEKOZE「…………あぁ」

これまではイチ視聴者でしたが、
家族カウンセリングをすることになったらどう介入するのか、真面目に取り組んでいきたいと思います!

改めてエヴァンゲリオン新劇場版:序を再視聴しました!エヴァンゲリオン新劇場版:序の気になる会話を文字起こししたので一緒にみてみましょう。

主人公と関係のある登場人物

碇シンジ(14歳):
・主人公。幼少期(3~4歳?)に母親が亡くなる。
・以後父親から育児放棄状態で育つ。
・自分に自信がない。
・人を避ける。
・周囲の期待に応えることで自分の居場所を見つけようとする。

碇ゲンドウ(48歳):
組織(ネルフ)の最高司令官。
・シンジの父親。
・妻が亡くなってからシンジを遠ざける。

葛城ミサト(29歳):
・戦闘指揮官及びシンジの上司&保護者。
・リツコと仲が良い。

赤城リツコ(30歳):
エヴァンゲリヲン開発総責任者。
・ミサトと仲が良い。

綾波レイ(14歳):
・エヴァンゲリヲンのパイロット。
・感情が表に出ない。
・無表情が多い。

鈴原トウジ(14歳):
シンジのクラスメイト。
・喧嘩っぱやい。
・実直。

相田ケンスケ(14歳):
シンジのクラスメイト。
・明るい性格。

参考元:エヴァンゲリヲン新劇場版:序

初めてエヴァに乗るシーン

再生時間08:07
ミサト:じゃっ、これ読んでおいてね。
シンジ:ネルフ…父さんの仕事…。何かするんですか僕は?
シンジ:そうですね。用もないのに父が僕に手紙をくれるはずないですよね。
ミサト:そっか苦手なのねお父さんが。

引用元:エヴァンゲリオン新劇場版:序

再生時間10:38
碇ゲンドウ(父親)とシンジが対面。

ゲンドウ:「久しぶりだな」
シンジ:「父さん…」(顔を斜め下にそむける)
ゲンドウ:「出撃」
(~中略~)
リツコ:「碇シンジ君。あなたが乗るのよ」
シンジ:「父さん。なぜ呼んだの?」
ゲンドウ:「お前の考えている通りだ」
シンジ:「じゃあ僕がこれに乗って、さっきのと戦えって言うの?!」
ゲンドウ:「そうだ」
シンジ:「嫌だよそんなの。何を今さらなんだよ。父さんは僕が要らないんじゃなかったの」
ゲンドウ:「必要だから呼んだまでだ」
シンジ:(俯く)「なぜ…僕なの?」
ゲンドウ:「他の人間には無理だからな」
シンジ:「無理だよそんなの。見たことも聞いたことないのに、出来るわけないよ!」
ゲンドウ:「説明を受けろ」
シンジ:「そんな…。できっこないよ!!こんなの乗れるわけないよ!!」
ゲンドウ:「乗るなら早くしろ。でなければ、帰れ!」
(~中略~)
ミサト:「乗りなさい」
シンジ:「嫌だよ…。せっかく来たのに…こんなのないよ!」
ミサト:「シンジ君。何のためにここに来たの?」
(顔を背けるシンジ)
ミサト:「駄目よ逃げちゃ。お父さんから。何よりも自分から」
シンジ:「分かってるよ!!でも、出来る訳ないよ!!!」

その後、代わりのパイロットとして同年齢の怪我をしている少女が招集される。しかし出血して苦悶の表情を浮かべている少女を見てシンジは決心する。

シンジ:(逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ…!逃げちゃだめだ!!)やります。僕が乗ります。

再生時間25:40
シンジは初戦で第四使徒を無事に撃退し、生還する。
戦闘中に気絶したシンジがベッドで目を覚ます。
エレベーターで無表情見下ろし目線のゲンドウとばったり。
会話は一切なし。
シンジは顔をそむける。
エレベーターの扉が閉まる。

引用元:エヴァンゲリオン新劇場版:序

ここまでのNEKOZEの所感

まずは福祉的にアウトでございます!

児童虐待におけるネグレクト(育児放棄)や心理的虐待の恐れがあります。
カウンセリングにおいても児童虐待が疑われる場合は、関係機関へ情報開示する法的義務が発生します。

初回の面接時には、守秘義務に関するガイドラインについて説明しています。児童虐待や危険な行為が疑われる場合には通告義務が生じることをあらかじめ説明します。

これはクライアントとの信頼関係を維持し、クライアントがさらなる支援を受ける準備ができるようにするためです。

さて、一般的には父親(ゲンドウ)が家族問題の原因と捉えてしまうかもしれません。しかし家族療法の視点ではNGです。家族システムとしてどうなのかを視ていく必要があります。

あくまで仮の話ですが例えば、以下のような仮説が立てられます。

  • 妻の死後、ゲンドウは生きる気力を失ってしまい抑うつ状態となり、子育てに避ける余力がなかった。

  • 妻の死後、精神疾患を患っていた

  • ゲンドウ自身が子育てに対する責務に恐怖や怯えを感じていた。

  • 仕事と育児の両立が困難になってしまい、結果的に育児放棄のような状態になってしまった。

  • 子の気質と育てやすさ、育てにくさ(機嫌や感情などの反応が強く、柔軟性、適応性、習慣性が不安定な子など、育てにくいとされるタイプがある)

などでしょうか。

家族相談士としての視点では、
ゲンドウさんに対して「困った人」ではなく「困っている人」と捉えます。「そうならざる得なかった人」「たまたまそうなっちゃった人」と言い換えることもできますかね。

あくまで相互の影響がたまたまその人で表面化しちゃっただけで、実は見えない部分でいろんな相互作用があるんだよ~って感じで視ます。

では次のシーンを見てみましょう。

ミサトがシンジ君を引き取るシーン

再生時間26:42
ミサトはシンジ君を引き取ると決める。同居決定!
自宅に帰るその道中、コンビニで買い物中にミサトとシンジ君は住民の世間話を見聞きする。

住民:
「本当に戦場になるなんて思わなかった」
「転出届が100件を超えた」
「いくら要塞都市だからと言って、ネルフは何ひとつあてにできない」
「昨日の事件、思い出しただけでもゾッとしちゃう」

再生時間28:20
ミサトがシンジを絶景に招待。
ミサト:「私たちの街よ。そして、あなたが守った街」

再生時間28:59
ミサト:「さ、入ってー」
シンジ:「あ、あのー…お邪魔します」(少し照れた表情)
ミサト:「…シンジ君。ここはあなたの家なのよ」
シンジ:「た…ただいま」(照れた表情)
ミサト:「おかえりなさい」(にっこり)

再生時間30:05
ミサト:「食べないのー?結構いけるわよー。インスタントだけど」
シンジ:「あのー…、こういう食事慣れてないので」
ミサト:「だめよー!!好き嫌いしちゃーー!!!」
シンジ:「いえ…!違うんです」
ミサト:「楽しいでしょ?こうしてほかの人と食事するの」
シンジ:(照れた表情)「……はい」

引用元:エヴァンゲリオン新劇場版:序

ここまでのNEKOZEの所感

ミサトさんとシンジ君、いい感じですねぇ。
シンジ君としても表情が穏やかで緩くなり笑顔も見られて、良い影響が起きているのではないかと感じられます。

家族療法では介入方法の一つとしてソリューションフォーカストアプローチ(以下SFA)というものを用います。このSFAで私がとっても気に入っている一句があるんです。それがこちら。

・壊れていないものを直そうとしない
・うまくいっていることを見つけてもっとやる
・うまくいっていないなら違うことをやる

ソリューションフォーカストアプローチの三原則

ミサトさんとシンジ君の関係性はシステムに好循環を生み出しそうな気がします。

シンジ君にとって人から受け入れてもらえる環境で何気ない会話とか雑談が心地よい感じなのかな?この関わり方をもっと継続して、シンジ君に情緒的な接触の機会を増やしていくとよさそうです。

シンジ君にとってこの経験や関わりは大事な資源となりそうです。

では次のシーンを見てみましょう。

シンジ君がクラスメイトから殴られるシーン

再生時間32:38
シンジはテープレコーダーで何かを聞いている

再生時間33:17
シンジ:「なんでここにいるんだろう」(独り言)
使途との戦いがフラッシュバックする。

再生時間33:33
シンジは布団に寝ころび、顔に汗を浮かべ、目を見開き、口を半開きして、どこか不安や恐怖ともとれる表情を浮かべている。

ミサトさんが部屋の戸を開ける。

ミサト:「ひとつ言い忘れたたけど、あなたは人に褒められる立派なことをしたのよ。おやすみ。シンジ君。頑張ってね」

再生時間33:51
校舎でクラスメイト2人(トウジとケンスケ)と対峙して、シンジがトウジから素手で顔面を殴られるシーン

トウジ:「すまんな転校生。わしはお前を殴らないかん。殴っとかな気が済まへんねん」
ケンスケ:「悪いね。この間の騒ぎであいつの妹さんケガしちゃってさ。まっ、そういうことだから」
シンジ:「僕だって…乗りたくて乗ってる訳じゃないのに」

トウジからもう一発殴られる。

シンジ:「どこが人に褒められることなんだろう…。エヴァに乗ってたっていうだけで、なんで殴られるんだろう」

再生時間35:29
シンジ君がコクピットで戦闘訓練をしている場面。
ネルフのオペレーター伊吹マヤとリツコが会話している。

マヤ:「しかし、よく乗る気になってくれましたね。シンジ君」
リツコ:「人の言うことには大人しく従う。それがあの子の、処世術じゃないの」

再生時間35:55
リツコ:「そういえばシンジ君、転校初日からクラスメイトに殴られたそうじゃない。パイロットのセキュリティ大丈夫なの?」
ミサト:「諜報部の監視システムに問題ないわ。大したケガじゃないし。それにプライバシーには極力干渉しない方がいいのよ」
リツコ:「一緒に住んでるのに?彼のメンテナンスもあなたの仕事でしょ」
ミサト:「だからこそよ。彼、思ったよりナイーブで難しい」(拗ねた口調)
リツコ:「もう泣き言?自分から引き取るって大見栄きったんじゃない。」
ミサト:「うっさいわねぇ~」
リツコ:「・・・そうねぇ。たしかにシンジ君てどうも友達を作るに不向きな性格かもしれないわね」
リツコ:「ヤマアラシのジレンマって知ってる?」
ミサト:「ヤマアラシ?あのトゲトゲの?」
リツコ:「ヤマアラシの場合、相手に自分のぬくもりを伝えたいと思っても、身を寄せれば寄せるほど、体中のトゲでお互いを傷つけてしまう。人間にも同じことが言えるわ」
リツコ:「今のシンジ君は、心のどこかでその痛みに怯えて、臆病になっているんでしょうね」
ミサト:「まっ、そのうち気付くわよ。大人になるってことは、近づいたり離れたりを繰り返して、お互いがあまり傷つかずに済む距離を見つけ出すってことに」

引用元:エヴァンゲリオン新劇場版:序

ここまでのNEKOZEの所感

いい感じだったのに~!!そりゃないって~!(´;ω;`)

と、ここでも家族相談士としての視点で視ていきます。

家族療法では戦略的に質問を使います。質問を活用してまだ言語化できていない感情や想い、本人の希望や望み、本音などを確認していきます。

NEKOZEならこんな風に聞いてみるかなぁ。

シンジ君に対してどう質問するか(お父さんも同席)

  • 「怖くて不安な想いがある中でも、またエヴァに乗ろうと決意した背景にはどんな想いがありますか?」

  • 「シンジ君の大切にしたい価値観は何でしょうか?」

  • 「1年後、どうなっていたら理想的だなって感じますか?」

  • 「このままの状態が今後続くとしたらどう感じますか?」

  • 「いま障害となっている全ての悩みが解決したとしたら、何をしたいですか?何を目指しますか?」

  • 「どのように接してもらったら安心と感じますか?何をして貰えたら嬉しいと感じますか?」

  • 「あなたのチャレンジングな行動を思い出してみてください。過去のあなたに声をかけるとしたら何を伝えますか?」

  • 「何を失ったら不安と感じますか?実際に対処していることがあれば教えてください」

  • 「何を思われると不安に感じますか?実際に対処していることがあれば教えてください」

ゲンドウさんに対してどう質問するか(シンジ君も同席)

  • 「次回、シンジ君が不安や無力感に襲われた場合、家族(組織)でどのように対応するか、今から一緒に決めてみましょうか?」

  • 「もし、次の1週間、労いの言葉をたくさんかけたら、家族(組織)の中で何が変わると思いますか?」

  •  「ゲンドウさんが次に家庭(組織)で指示を出す際、いつもと違う方法を試すとしたら、どのようなアプローチを取りますか?」

  • 「シンジ君とお父さんが意見の不一致を感じたとき、これまでどのように対応していましたか?その対応を変えたとしたら、どんな変化が起こるりそうですか?」

  • 「シンジ君と二人で毎日1時間だけ自由に話せる時間を設けたら、どのような変化が起こるでしょうか?」

  • 「家族が最近上手くいっていることを一つ挙げるとすれば、それは何でしょうか?それが上手くいっている理由は何だと思いますか?」

  • 「あなたのお父さんが子どもだった頃の家族関係はどのようなものでしたか?その影響が今のあなたの家族にどう影響していると思いますか?」

  • 「ゲンドウさんのご両親がどのように子育てをしていたか、ご家庭で話し合ったことはありますか?ゲンドウさんの子育てに影響している部分があればどんなことですか?」

  • 「あなたが困難に直面したとき、どなたになんと声をかけてもらいたいですか?」

といった感じですかね。

ちなみにこの質問例を作ったのは私一人の力ではありません。教科書・質問事例・chatGPTの手を借りて作成しました。おかげ様で知識の補強と復習になりました。

では次のシーンを見てみましょう。

シンジ君が第5使途を倒す&クラスメイトと和解するシーン

再生時間37:46
(学校の屋上にて)

綾波レイ:「非常招集、先、行くから」

(シンジが驚いた顔でレイの後ろ姿を見ている)

再生時間38:00
第5使徒が現れる。シンジがエヴァンゲリヲンで出撃。
クラスメイトのトウジ・ケンスケが使徒を見るため危険区域に無断侵入。
クラスメイト2人が戦闘に巻き込まれてしまい、エヴァンゲリヲンのコクピットに乗せることになる。
ミサトより退却命令が出ているにも関わず、シンジは命令を無視。

シンジ:「逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ」

命令違反をして敵を撃退。
不安・恐怖に怯えながらも戦うシンジを間近で見守るクラスメイト2人。

再生時間46:43
ミサト:「どうして私の命令を無視したの?」
シンジ:「…すみません」
(~中略~)
ミサト:「あなたは私の命令に従う義務があるの。分かるわね?」
シンジ:「…はい」
ミサト:「今後こういうことのないように」
シンジ:「はい」
ミサト:「あんた本当に分かってんでしょうね!!」
シンジ:「ええ。分かってますよミサトさん。もういいじゃないですか勝ったんだから。言われれば乗りますよ。乗ればいいんでしょ」

ミサトが乱暴にシンジの胸倉を掴む。

ミサト:「もういいわ…。先に帰って休んでなさい」

シンジが無言で部屋を出る。
ミサトは自分で自分の頬をビンタする。

再生時間47:58
テープレコーダーを聴きながら電車に乗車し続ける。
ミサト宅に帰らず、街で野宿する。
翌日、学校を無断欠席。
ネルフ職員に連れ戻される。

再生時間50:55
ネルフにて

ミサト:「歩き回って気が済んだ?碇シンジ君」
シンジ:「…別に。どうでも良くなりました。何もかも。もう僕に自由なんてないんだ」
シンジ:「どうせ僕はエヴァに乗るしかないんですよね。そのためだけに父さんに呼ばれたんだから。いいですよ。乗りますよ。それでみんながいいんだったら、僕はいいですよ」
ミサト:「みんなって…、あなたはどうなの?」
シンジ:「僕には無理だってこと分かってるんですよ…。みんなも分かってるんだきっと。それでも怪我してる綾波(同級生パイロット)や、ミサトさんや父さんがっ」
ミサト:「いい加減にしなさい!!人のことなんか関係ないでしょっ!?エヴァのパイロットを続けるかどうか、あなた自身が決めなさい。嫌ならここを出て行ってもいい。全てあなたの自由よ。好きにすればいいわ」

引用元:エヴァンゲリオン新劇場版:序

ここまでのNEKOZEの所感

まず再生時間38:00のシーン。
命令違反をしたシンジ君ですが、ここでは一体何が起きていたのでしょうか。

普段のシンジ君は表面上従順に従う行動を選択してきた傾向がありますが、
ここでは「逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ」と口にして自分を奮い立たせているように見えます。いつもと違う行動をしていますね~。

そしてミサトさんと衝突します。

ここでNEKOZEが介入するとしたら、ミサトさんとシンジ君の背景・望み・期待・視点・立場について二人が同席しているところでヒアリングします。そして他の家族(関係者)に伝わりやすいようにカウンセラーが翻訳・通訳します。

例えば、以下の会話が展開されたとしましょう。

シンジ君:「ミサトさんは話を聞いてくれない!上司としての考えを押し付けて僕を知ろうとしない!説教なんて聞きたくない!」とカウンセラーに言ったとしましょう。

NEKOZE:「そのような強いご不満や想いがおありなんですね。その言葉の背景には、もっと話を聞いてほしい。理解してほしい。戦ってるのはの僕なのに。怖い思いをしているのは僕なのに。逃げずに戦ったのに。という想いがあるように感じましたがいかがですか?」

シンジ君:「……わかりません。でもそうかもしれません。」

NEKOZE:「もっと労ってほしい、評価してほしい、認めてほしいという想いも背景に感じられましたがいかがですか?」

シンジ君」「……そうです」

NEKOZE「そのような期待や望みがあるのに、それが叶えられそうにないという無力感や寂しい想いがあって、強い言葉が口をついて出てしまった。というような感じでしょうか?」

NEKOZEの妄想シミュレーション

本人が言語化できていない想いをカウンセラーが言語化します。本人の認知や内面に変化が促されますし、これを聞いている他のご家族にも変化が促されます。

ここで注意が必要な点は、同席しているご家族(ミサトさん)についても常に意識続けることです。カウンセラーが家族の誰かに偏ってしまうと家族療法は成り立ちません。カウンセラーは全員と公平で中立を保たなくてはなりません。(これを”多方面的肩入れ”といいます。)

では、ミサトさんにもカウンセラーが中立的に質問してみましょう。

NEKOZE「一方でミサトさんにはミサトさんのご事情やお立場などの背景があったかと思われますが、いかがでしょうか?」

ミサト「……えぇ。任務を果たすという思いはもちろんありましたが、それ以上にシンジ君やクラスメイトの人命を何より優先したかったと思いました。命令違反があっては想定外の出来事が増えてしまい、今後任務失敗、負傷に繋がることが想定できるため、責任者として厳しく対応する必要がありました。」

NEKOZE「シンジ君やクラスメイトを心から心配している強い想いがあった。一方で責任者としての立場も全うしなければならず、そのバランスを取ることに非常に苦悩されている。そのように感じましたがいかがでしょうか?」

ミサト「…はい。保護者と責任者としての立場で矛盾することがあって悩んでいます」

NEKOZEの妄想シミュレーション

家族システムを理解するには紐をイメージする

紐を家族システムと見立てる

映画も中盤になった所で今回はここまでです。

家族システムを分かりやすく理解するためには、上の画像のように紐で理解します。

家族全員で円を描くように並んで、一本の紐を家族全員で手に持つと紐がぐるりと円の形になります。この紐をシステムだと思ってください。

紐の長さは限られていますから、ひとりが動くて他の家族は引っ張られます。他の家族が反発をすれば、強く抵抗して紐の元に戻そうと引っ張ったりします。

反対に一人が強引に動くことで家族全員が紐で引っ張られて、あらぬ方向へ進んでしまうこともあります。紐があることで、一人の変化は家族全員の変化に繋がるのです。

もちろん私が考えてわけではありません(笑)
家族養成講座の先生方から教わりました。

今回エヴァンゲリオン新劇場版:序の舞台では、シンジ君の実の家族はゲンドウですが、ミサトさんや職場(組織)もシステムの一部となっています。システム理論は家族だけでなく、職場や家庭、集団、コミュニティなどあらゆる場面で活用できます。

前編の感想

今回のアニメで事例検討は非常に濃厚な勉強・復習の機会となりました。王とプットと少しインプットもあり正直ヘトヘトです(笑)

しかし得られたものはとても大きく、質問のバリエーションが増えたことが大収穫です。普段から練習していないと本番で活用できないので、活用していきたいと思います。

アニメで事例検討は面白い試みなのですが、連発できなさそうな所が弱点ですね…。

昔エヴァをみた印象では、シンジ君ってもっと人を避けているイメージだったのでした。

今回再視聴したらそれほど人を遠ざけてないように感じましたね!ミサトさんやリツコさんとも素の状態で話せているし、レイにも接近したい感じが出ていましたし。

それと自己表現できないという印象も今回で覆りました。表現方法はどうあれ、しっかり表現できているじゃ~んって思いましたね。エヴァQのイメージに印象が持っていかれているのかもしれないですね………( ^ω^)

後編は明日アップ予定です!乞うご期待!

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