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暇な時に読んで欲しいお話

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懐かしい日々を綴ったやつ
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初めて大人が怖いと思った日

先生なんて怖くない。 子供の頃、やたら強がっていた。 大人でもなんでも、かかってこいと。 『自分は特別なんじゃないか。』 そんな良くある、謎の無双感。 でもその強がりも、あるお爺さんに砕かれた。 公文式帰りに起きた、本当のお話。 少しお話をさせていただきたい。 小学校低学年の頃の、ちょっとしたお話を。 学校で禁止された自動販売機 あの自動販売機はダメです。 小学校の頃、先生が「終わりの会」でそう言った。あの自動販売機には、近づかないようにと。 その自動販売機と

落ち着きのない犬

犬が好きだ。 特に落ち着きのない、元気な犬が。 これは私が高校生だった頃の、愛犬のお話。 良かったら、お読みいただけるだろうか。 逃走癖のある愛犬 高校時代、犬を飼っていた。 名前は『きちたろう』。命名直後にメスだと気付いた、ボーイッシュな名前の雑種である。 きちたろうは、お世辞にも賢い犬ではなかった。自分のいびきで夜中に飛び起きるわ、ご飯を前足でひっくり返すわ、あまり偏差値は高くない。 ただそういったワンちゃんの話は、決して珍しくない。そして愛らしい。 友人の

慣れって最強だと感じた日

小学生の頃のお話を、少しだけ。 皆様は、いつ自転車に乗れるようになっただろう。私は誰よりも、自転車の習得が遅かった。 こんな細い車輪に、乗れるわけない。 初めて自転車にまたがった時、自分には無理だと悟った。開始3秒でバランスを崩し、地面で顔面を強打した。 鬼ごっこでコケた時より数倍辛い、鼻がもげたと確信する鈍い痛み。大人になって忘れていた、無力感に似た敗北の味である。 そしてあの痛みは、私の自転車練習を妨げた。クラスの女子すら自転車で遊びに行く中、私は自転車と距離を

とても割に合わない仕事

深夜のサービス残業。 研修中のレジ打ちバイト。 世の中には、割に合わない仕事が沢山ある。拘束時間とお給料が、正しく比例しないお仕事だ。 それらを時給換算すると、時に時給500円を下回る。中には時給が300円にも及ばない、納得できない仕事もあるだろう。 やってられません。 思わず文句が溢れ出す、最高に割に合わない仕事。ただそれはお金だけでなく、多数の刺激を貰える時間だった。 これは通算二回目の、塾講師時代のお話。 少しだけ、小話をさせていただけるだろうか。 聞く耳を

1時間10000円にもかかわらず。

1時間で10000円。 バイト代だったら嬉しいが、それが一回の授業料だとしたら。そんな高額の塾で、過去に私は働いていた。 上は浪人生から、下は御三家狙いの幼稚園児まで。生徒の幅は非常に広く、あらゆる教科を扱う塾。 その塾で毎週火曜日の18時10分から行われる、とある授業。私はこの授業が、いつも憂鬱だった。 隣のブースでは、現役大学生も頭を抱えるような指数関数。東大在学中の先生が、同じく東大が第一志望の生徒に教えている。 大学ではどんな生活なのか、どんな研究室があるの