【質問回答回】『思考停止して待つ』ことが正解な地獄もある
こんなご質問をいただいていました。
ご質問者さんは28歳の会社員で、婚約者がいらっしゃるとのこと。とても素敵だなと思い読み進めましたが、相当に重い現状が彼を包んでいるようです。
正直言って、とても答えられないと思いました。「お力になれない」と返信して終わりにしようかとも思いましたが、それもできませんでした。
私ではストライクな回答はできないと思います。が、わずかでも彼のためになるよう書いてみることにしました。
八方塞がりに見える現状に、光は差すのでしょうか?
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ご質問ありがとうございます。ご回答が遅くなり申し訳ございません。
正直、あなたからの質問の内容に言葉を失いました。とても私では有益な回答はできないと感じたからです。
これまでいくつかの質問にそれなりに回答してきましたが、あなたの質問はあまりにも異彩を放ち過ぎていました。
まず、ビジネスに関係ない。そして、私自身があなたの状況を全く経験したことがないのです。
全く経験もしたことがない事に対してアドバイスするのは、禁止されているわけではありませんが、あまり有効性はないと思います。
なので、「回答できません」との返事だけで受信箱から消そうとも考えました。
でも、それはできませんでした。
なぜなら、あなたの文章がとても素晴らしかったから。
あなたの文章からは、あなたを取り巻く現状が痛いほどに伝わってきました。そして、登場人物を誰一人悪役にすることなく、相手を嫌うことがないように配慮していることが伝わってきます。
しかし、自分がすり減っていることを最後に添えられている。
事態を正確に俯瞰し、悪役を作らずに認識しようとする知性の高さと、最後にわずかに漏れ出る人間臭さ。
脱帽です。
何も解答をしないことなど、できるわけがない。
全力でご回答しますが、先ほども申し上げた通り私には同様の経験がありません。ですので、あまりご参考にならないかもしれません。その点だけ、ご容赦ください。
お相手のご両親から結婚を反対されている。とてもお辛い状況かと思います。
普通は、相手の両親の片方から反対されるのが多いと思います。その場合は片方が調停役になって「まあまあ」といった形で収まると考えますが、両親揃って反対となると相当ハードルは高いと思われます。もはや無理ゲーに見えるほどに。
あなたの見立てでは、ご両親が結婚に反対される理由として以下の二つがあるとのこと。
反対の理由を婚約者である彼女さんに聞いてもイマイチはっきりした返答がないと言うことは、その理由があなたやあなたのご家族を傷つけるものであるからなのかもしれません。
そんなことを、彼女さんはあなたに伝えたくないのではないでしょうか。素晴らしい方だと想像いたします。
あなたは聡明な方でしょうから、そんな彼女さんの言動を見てある程度察しておられる。その上で上記2点が理由であると推察されています。おそらくは正解だと思います。
まずは、②についてお話しさせてください。
内容から、あなたよりも彼女さんの学歴、およびそのご両親の学歴が上であることは間違い無いようです。また、ご自身で「平凡な家庭」と言われているように、家柄的なものがハードルとなっていることを感じておられる。
学歴や家柄で人を判断するのははっきり言って古い考え方です。そんなもので人の能力や人間性を査定することは不可能です。
しかし、得体の知れない誰かを査定する時に、学歴や家柄を用いるしか無い側面はあります。
少し、私の娘の話をしましょう。
私の長女は公立の中学校に通っていました。公立中なので構成員は相当にカラフルです。成績のばらつきはかなりあり、世界にあるすべての性格のモデルケースがあるような混沌とした世界です。
そんな彼女は、地域で上位の進学校に進学しました。
入学して2ヶ月経った頃でしょうか、長女は興奮して私にこう言ったのです。
学力と人間性は相関する。とは断言できませんしソースもご提示できません。しかし、我々は実感としてそれを理解できます。
高い知能のレベルで過ごした人たちは、より穏やかな環境の中、信頼を構築してより高いレベルを相互に目指していきます。
一方で、低いレベルで過ごした人たちは、利己的思考と他者への不信に包まれ、連帯することができず階層が固定されがちです。
学歴が全てではありません。しかし、学歴が人間性の形成に影響があることは自分の経験を振り返れば誰でもわかることです。
それを、得体の知れない新参者に当てはめて査定するのは、仕方のない話です。
自分達の世界に入るにあたり、「作法」をわかっているのか。「言語」は理解できるのか。
それらは媚びへつらうとか上品に振る舞うとかではありません。
相互に信頼し、その信頼を裏切らない。
相互に恵みを与えあい、それに深く感謝できる。
そういった人間として当たり前のことを至上の概念として共有できるか? ということが「作法」なのです。
そんな信頼をベースとした世界に入ろうとする人間が、これまでどんな世界に包まれて生きてきたかどうか。それを測る基準として、学歴や家柄が有効なのです。
ですので、ご両親が学歴等を重視するのはよく分かりますし、無理もないことです。
特に、彼女のお父上は元銀行員とのことで、人に対する査定の意識はより強いかも知れません。厳格と感じておられるなら尚更でしょう。
「人を見て貸す」は闇金の仕事で、銀行員は人を見て貸してはいけません。「あなたの人間性では貸せない」と言ったら完全に差別になり、大問題になるからです。
しかし実際は、相当人を見て融資判断をしています。
面談して、会話して、身なりをみて、身振り手振りをみて、使用する単語や喋り方などで「人となり」を査定しています。
あなたは1度ご両親と面談されているそうですね。その上で反対されている。
もしかしたら、その時に「彼と私たちの世界には許容できないズレがある」と査定されたのかも知れません。
わずか一回で、とあなたは思うかも知れません。しかし、バンカーとはそう言う存在です。一回の面談で「人物の査定」はほぼ終わります。
もちろんそれが正解かどうかは事後的にしか分かりません。しかし、そんなことはどうでもいいことです。あなたが欲しいのは承認であり、決裁者の判断が絶対であるならば、決裁者の基準にアジャストできるかどうかだけなのです。
また、娘が嫁いでしまう悲しさから反対している面があるとのことですね。その気持ちは私にも娘がいますのでわからないでもありません。
書かれた内容がそのままだとするならば、彼女さんの母親は娘が結婚するのが寂しいから「考え直してほしい」と言っており、結婚の話すらできない状態であるとのこと。
これはちょっと異常だと感じます。あまりにも彼女さんに依存し過ぎている。
結婚の最大の障害は、彼女さんの母親なのでしょう。
だからこそあなたは「父親との話の場だけでもセッティングしてくれないかとお願い」したのですね。父親から攻略の活路を見出そうとしたのでしょう。
しかし、その願いも叶わなかった。彼女さんは父親との会話を号泣するほど拒否されたとのこと。
おそらく、これまでも父親とはうまくいっていなかったのだと想像します。「お母さんを説得して欲しい」と娘が依頼できない関係性であることは明らかで、そもそも言葉を交わすことすらできない間柄だと感じます。もしかしたら、断絶状態なのかも知れませんね。
ですが、そうなると少し矛盾を感じます。
あなたは結婚反対の理由として学歴・家柄を挙げられましたが、そもそもどんな相手であってもその母親からはイエスの言葉は出ないのではないでしょうか?
もし、あなたが目もくらむような学歴とキャリアがあったとしても、二つ返事で許可が出るとは思えません。
母親は娘を取られたくないと強烈に思っている。回避したいのは娘を取られることであり、納得の行かないステータスの男に娘を嫁がせることではない。
あなたは、「反対されていることで自己肯定感がすり減っていくような感覚」と仰られていますが、否定されているのはあなたではなく、「娘が嫁ぐ」という事実が否定されているに過ぎないのではないでしょうか?
悪い言い方をすれば、あなたは自意識が過剰なのかも知れません。
彼女のご両親にとって、あなたの学歴や家柄は実は全く関係がなく、「娘を奪いにきた存在」を否定するためのそれっぽい理由として、学歴や家柄を持ち出した。
つまり、あなたでなくとも結果は同じということです。
ですから、落ち込むだけ無駄です。
あなたは、相手の親の身勝手な自己愛に巻き込まれているだけの被害者なのです。
娘を持つ親の気持ちは分かります。私もそうですから。
私の妻は娘と仲はいいですが「ともだち親子」とまでは行かず、「好きに生きて、好きに死ね」と言ったある種達観した親子観の持ち主であるため、結婚に対して考え直して欲しいと思うことはなさそうです。まあ私もおおむね同じ意見です。
ですが、やはり結婚となると身構えてしまうものです。
男女平等が叫ばれ、ポリコレが強化されていく中で、日本においても男女間の賃金格差は縮まっていくかも知れませんが、おそらく今後しばらくは、家庭の安定は男性の所得水準に左右されざるを得ないでしょう。これは事実です。
であれば、娘の結婚相手について厳しい目を向けるのは当然です。娘が不幸になる可能性が高い相手に「どうぞ」とは言い難い。どうしても「もっといい人がいるのでは?」と考えてしまいます。
そんな、親としての基本的な考え方に、子供への依存心がオンされて、強烈な反対意識が醸成されているのでしょう。わからなくもありません。
子が、手元を離れるのは大変寂しいものです。
手元を離れた瞬間から、これまでの全てが「思い出」に変わる。
あなたに、その意味と寂しさはまだわからないと思います。
彼女さんのご両親は、あなたではわからない寂しさの中にいます。
縁が切れるわけでもなく、もう会えなくなるわけでもない。でも、寂しい。
ご両親はそれなりの年齢でしょうが、おそらくは初体験の感情が渦巻いているはずです。
彼らはいま、混乱の中にいるのです。
私からのアドバイスはシンプルなものになります。
『十分に時間をかけましょう』
年明けに婚約したとのことで、まだ2ヶ月も経っていません。あなた方はこれまで時間をかけて愛を確認し合い、納得の上で婚約されたと思いますが、ご両親は決してそうではありません。
娘の結婚など、考えたくもないのです。ですから、その時が来てからじゃないと真剣に考え始めないのです。
つまり、あなたがたの婚約報告をもって初めて、真剣に「娘の結婚」について考え始めた可能性があるということです。
あなた方二人とは、1周遅れどころか3周くらい遅れていると考えた方がいい。
あなた方は十分な時間を持って、納得して婚約したかもしませんが、ご両親は婚約報告からやっとスタートを切ったのです。
それなのに「すぐに許可をください」というのは酷な話です。
彼女さんのご両親に時間を与えてください。でないとアンフェアです。
あなた方が納得に至った時間までとは言いませんが、せめて半年、1年は見てもいいのではないでしょうか。
時間は多くのものを解決してくれます。家族を持てば、その意味がよくわかるでしょう。
あなたにいま必要なのは、忍耐です。
時間をかけ、ご両親の心が整理されていくのを待ちましょう。
その行為こそが、血の繋がっていない家族と付き合っていくことの真髄であり、絶対の正解です。
結婚は縁が広がる素晴らしいものです。ですが、そこで躓くと後に響きます。
あなたも、あなたの彼女さんも、祝福のなかで夫婦になる権利があります。
しかし、その権利は無条件に付与されるものではありません。
家族における幸せな状態は、各人の忍耐と優しさで獲得され維持されるものです。
今、あなたは我慢する必要がある。混乱の中にある彼女さんのご両親が混乱から脱出するまで。
あなたは、家族を持つことを試されています。この経験はきっとこの先の人生で活きることになるでしょう。
時間をかけていこうね。
彼女さんにはそんな声をかけてあげてください。
いくらでも待つ、という度量はパートナーを安心させるものです。
結果を急ぐのはやめましょう。それは自分勝手なことです。
思考停止して時間に任せる。
ビジネスでは御法度ですが、家族・家庭においては有効なソリューションです。
理屈じゃない混乱の中で、未来の家族はいま悩んでいます。
待ちましょう。愛すべき家族のために。
あなたの「待とう」の一言が、最も苦しんでおり、最も幸せにすべき彼女さんを救うことになります。
アドバイスになったかどうか分かりませんが、あなたのこれからが良き方向に向かうことを祈念しております。
どうかお幸せに。
どうか、輝かしいご家庭を。
猫山課長
【念話】
(子供を作ってしまう、という飛び道具があります。
孫のパワーは絶大です。孫は、全てを変えるゲームチェンジャーなのです。
少々乱暴な手法ですのでおすすめはしませんが、割と悪くない手法かも知れませんね。)
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