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旅行記 / 日光・只見 内陸の鉄路と復旧した秘境路線 (2023/01)

復活したもの、消えゆくものに乗りに新春の北日本へ。


メインは2022年10月、11年ぶりに全線再開したJR只見線。高校の卒業旅行の時に買った時刻表を見返しても、既にバス代行の案内がなされていました。今回はその復旧を祝し、初めて訪れる日光方面と併せて旅程を組むことに。果たしてどんな景色が待っているのでしょうか…?


何に乗って、どこへ行ったか

● 主なJR路線:只見線、上越線、信越本線、篠ノ井線、中央本線、東海道新幹線
● 主な私鉄路線:東京メトロ、都営地下鉄、東武鉄道、野岩鉄道、会津鉄道、北越急行、えちごトキめき鉄道、しなの鉄道
● 主に行った場所:華厳の滝、中禅寺湖、二荒山神社
● バランス:[観光] ・・・・★[鉄道]

◆Day 1◆ 東京の地下をぐるぐる

夜行バスは珍しく20分遅れで到着。今回は地下鉄の乗りつぶしという時間に制約のないバッファがあるから問題ないものの、続きで羽田から飛ぶ旅程を組んでいる場合もあるのでちょっと心配です。

地下鉄乗りつぶしといえど完乗はまだ先かと思いますが、とりあえず出発。せっかく来たしスカイツリーにも上ってみようかしら?

赤坂見附や表参道で別路線と対面乗換できるのが便利です。大阪では大国町ぐらいでしょうか。

東京メトロも都営地下鉄も乗り放題のきっぷなので、普段絶対に行くことのない方南町や光が丘方面も乗ってみました。そして押上で地上に出てみると…!

残念ながら雲の中でした…。さすがに雲中散歩を楽しむ気概はなかったので今回はお預け。2月3月にも首都圏に来る予定があるし、また今度にします。
※とは言いつつ結局、記事執筆時点でもまだ訪問できていません…。

雷門に来るのはおそらく人生2回目です。観光客ばっかりで人が多い。

近くにある東武浅草駅は、隅田川を渡って駅を無理矢理とり付けた感がありますね。駅を出てすぐのカーブがきつくて驚きました。

東武特急けごん号で日光観光へ

さて本日のメインは、栃木県の日光方面です。東武伊勢崎線の北の方は前年11月に乗りましたが首都圏の方は乗ったことがなく、今回乗ってみることにしました。

スカイツリーを訪れてから先へ進む予定にしていたので、とうきょうスカイツリー駅から特急券を買っていました。駅は工事中でややこしい。線路切換工事が近々あるとのこと。今はもう終わっているのでしょうか?

北千住まではゆっくり運転。北千住の配線も大概ややこしそうです。特急は外側が通過線の複々線へ!駅をどんどん飛ばしていく優越感に浸れます。

車窓の風景で特筆すべきものはあまりなかったのですが、利根川を渡る橋の手前の、大きなカーブからの眺めが印象に残りました。

栗橋にはJRとの渡り線。ここから乗り入れができるんですね。新宿発着のJRとの直通特急にも乗ってみたいです。

列車は終点の東武日光に到着!時折青空が見えるまずまずの天気。駅前にはかつて走っていた路面電車の車両が保存されていました。

ここからはバスでさらに山の方へ入っていきます。駅前にあった保存車両の行先表示と同じ「馬返」も通過。この辺りまで走っていたとのでしょうか?

続いて蛇行する坂道に入りました。これが有名な「いろは坂」ですね!一つひとつのカーブにいろは仮名が充てられていて面白い。この道が一方通行だということは初めて知りました。


それでは華厳の滝へ!観瀑台まで下りられる有料エレベーターがあり、ここまで来たからにはせっかくなので乗ってみました。

冬なので水量は少なめながら迫力がありました!落差100mはダテではありません。つららがもっと成長していれば、とも思いましたがここ数日は高温傾向だったので仕方ないですね。

写真は載せませんが、もう一つ注目すべきは右側に見える壮大な柱状節理。これだけでジオみを感じられます。一度ぜひ間近でご覧になってください。


近くにある中禅寺湖は穏やかな湖。ちょっとだけ晴れてきました。柔らかな陽光と相まって落ち着きます。

バスに乗り東武日光方面に戻りました。でも真っすぐ帰るわけではなく途中下車。参拝してみたかった日光東照宮へ行ってみます!

…だったのですが、まさかの15時半で受付終了でした!これは痛恨のミス。参拝時間の長い京都と同じノリで調べずに行こうとしてしまったのが敗因。また今度来ます。

代わりに「金のウサギ」がいる二荒山神社へ。そういえば今年は卯年でしたね!ということは来年は金の辰が…?

念願の鬼怒川温泉で宿泊

今度こそ駅までバスで戻って、下今市まで普通列車で出ます。下今市からは鬼怒川線で鬼怒川温泉まで行きました。

鬼怒川線内では列車はゆっくり進みました。そして大桑駅でSL大樹と交換!優先順位は高くないですが、そのうち乗ってみたいとは思っています。

外がすっかり暗くなったところで鬼怒川温泉駅に到着!いかにもな雰囲気の駅舎と内装でした。

駅前のライトアップが綺麗!かつての転車台もイルミネーションされていました。さらには鬼怒太(きぬた)なる鬼の石像が。夜に見るとちょっと怖いかも。

この日はもちろん鬼怒川温泉のお宿に泊まったのですが、大浴場でまさかの事件がありまして…。風呂から出て部屋に戻ろうとするとなぜかスリッパがない!しかもまだ何人か入っているのにその人たちの分もない!何でや??誰かスリッパの収集癖でもあるのでしょうか。

◆Day 2◆ 野岩鉄道と会津鉄道を乗り通す

2日目は鬼怒川温泉から北へ進みます。快速AIZUマウントエクスプレス号で快適移動!東武から野岩(やがん)鉄道、さらには会津鉄道にまで直通する便利な列車です。

車体は第三セクター路線でよく見るタイプですが、座席が豪華で足元が広く窓割りが単純ではありません。ただ始発の鬼怒川温泉なら座席は選び放題。眺めの良い座席をチョイスしました。

浅草からやってくる特急リバティ号の到着を待って発車しました。ガラガラだった座席は乗り換え客で埋まりました。早めに乗っておいて良かった。


新藤原駅からは野岩鉄道に入ります。こちらは早速トンネルの連続!電波が入りません…。「温泉」駅とトンネルばかりで、湯西川温泉駅にいたってはトンネル内に駅があります。筒石駅もびっくり。

ちなみに龍王峡駅はホームの半分だけトンネルです。西宮名塩駅や武田尾駅みたいですね。

湯西川温泉から先は雪がよく残っており、晴れてきたこともあって景色が良かったです。所々で川も渡ります。高い鉄橋を走るので眺めは抜群!

ほぼ高架とトンネルで快走した野岩鉄道は呆気なく終わってしまいました。先に続く会津鉄道はうって変わって集落沿いをゆったり走ります。雰囲気が全く異なっていて、一列車で乗り通すと面白いです。


ターミナル駅の会津田島では浅草行きリバティ号が発車待ちをしていました。ここからでも一本で帰れるのは便利ですね。

湯野上温泉駅は珍しい茅葺きの駅舎!駅には囲炉裏もあるそう。観光名所の大内宿はこの駅が最寄りとのことです。一度行ってみたい。

山を越えると積雪はだいぶ少なくなり、ほとんど地面が見えるようになりました。会津鉄道は車両もそうですが、どことなく秋田内陸線と雰囲気が似ていると感じました。

会津若松から只見線に乗る

列車は会津若松に到着、ついに念願の只見線に乗り換えます!豪雨災害から11年ぶりに全線再開した只見線がめちゃくちゃ楽しみでした。もちろん今回のメインディッシュです。列車は1時間待ち。でも混みそうなのでホームで先頭に並んで待つことにしました。

予想は当たり、列車が入ってくる頃には青春18きっぷシーズン外というのにホームは大混雑!1時間粘ったのが功を奏しました。乗り込んだらボックスシートの窓側を確保。ちなみに進行方向右側にしました。

小出行きはキハE130系とキハ110系の2両編成でした。写真で前に写っているキハE130の方が新しく窓自体は綺麗ですが、UVカットガラスで青味がかっていて風景も青く見えてしまうのが嫌だったので、キハ110に乗りました。

会津坂下までは広大な会津盆地を走り、その先はキツい上り勾配。盆地を見下ろせる良い眺めです。


近くを走っている国道252号は「魚沼方面通り抜け不可」の文字が!冬季は通行止めになってしまうため、唯一の交通手段である只見線の復旧の機運も高まったと聞きました。

郷戸駅では地元の方々が何やら準備をされていました。別の駅で撮った下の写真のような藁の塔を燃やす…らしい?沿線には既に燃えた後のものもありました。

そして車内にはいつの間にか只見線促進会の方々が乗車していました!沿線案内に加えてグッズ販売もされていました。私は4店舗が一つずつ作った、縁起物の粟まんじゅうセットを購入。

撮影スポットとして有名な第一只見川橋梁をはじめ、川を何度も渡ります!どの橋も減速して渡っていました。景色を楽しめて嬉しいですね。

今年は雪が少なめのよう。もっと雪深い風景も見たいですが、こればかりは仕方ありません。まあ、3年前の記録的少雪よりはましでしょう。

11年ぶりに復旧した区間へ

只見線は全線で止まっていたわけではなく、会津川口から只見までの区間が11年間不通でした。列車は会津川口で30分ほど停まった後、ついに復旧した区間に入ります。この11年間ほぼ誰も列車から見たことのない景色が広がります!

会津川口からは別のガイドの方々にバトンタッチ。同じく沿線案内をされていました。復旧区間の駅名標はどこも錆び錆びでしたが、所々で沿線の方々お手製の「祝・復旧」掲示があってほっこりしました。

橋桁が流出する被害に遭った第六只見川橋梁を渡ります。黄色い橋が新しくなって復活です。めちゃ綺麗。

写真の真ん中右に見えるツンと尖っている山は蒲生岳(がもうだけ)です。車内から寂しい冬の景色を眺めました。雪とはほぼ無縁の地域に住んでいるので(?)こういうのに惹かれるんですよね。

これまた写真で有名な第八只見川橋梁も渡ります。通過後のカーブから橋がよく見えるということで、ガイドの方に教えていただきました。写真はブレブレになりましたが、代わりにしっかりこの目で見ておきました。

復旧区間も終わって只見に到着する頃にちょうど暮れてきました。只見駅で時間があったので一枚。「おかえりなさい ようこそ ただみへ」。改めて復旧おめでとうございます!

只見の次は県境を跨いで新潟県の大白川。ゆっくり30分ほどかけてこの電波圏外区間を走りました。トンネルもあってこれがなかなかに長い。並走している道路にスノーシェードがありましたが車は一台も見当たりません。先に書いた国道252号の不通区間ですね。

やっと辿り着いた大白川で会津若松行きと交換しました。これから会津若松まで行くのは時間的にもなかなか大変…。大白川を越えると惰性走行に入り圏外も脱出しました。あとは魚沼盆地に下りていくだけです。


そして終点の小出に到着。長かった!只見線はものすごい場所を走っている路線だと改めて実感できました。列車を待つ夜の小出は雨で、九州の吉松の一件を少し思い出しました…。上越線で浦佐まで出て今日はおしまいです。駅前には田中角栄の銅像が建っていてびっくり。

◆Day 3◆ 超快速スノーラビット乗り納め

最終日は平日だったため車内は通学ラッシュ。越後湯沢まで乗って、ここでほくほく線に乗り換えます。今回乗りたかったのは超快速スノーラビット!2023年3月のダイヤ変更で快速とともに消滅してしまうことになったので、最後に乗り納めしておくことにしました。

1時間ちょっと待って念願の超快速に乗車!「ゆめぞら」車両も組んでの2両編成でした。ゆめぞらは転換クロスシートなので快適です。ちなみに写真は一般車両です。この独特の種別幕も見納め。

加速が相変わらず気持ちいい。そして110km/h運転!実はダイヤ変更でこの高速運転ともお別れになってしまいました…。ちょっと寂しいですね。魚沼丘陵と美佐島の間で110km/h近く出しているよ!の図も撮っておきました。

野岩鉄道よろしくトンネルだらけで車窓もへったくれもありませんが、時々見える地上の雪景色が美しい。トンネルの合間に川も渡りますよ。

頸城平野に入って大池いこいの森あたりからは雪がほとんど残っていませんでした。そして越後湯沢から1時間で直江津に到着。速い!

超快速は続けて妙高はねうまラインに入ります。ほくほく線からこちら側に直通する列車も同じく消滅してしまったので、越後湯沢発の新井行き列車も地味に乗り納めです。

今回は終点の新井までは乗らずに高田で下車。かつてよりも停車駅が増えたとはいえ、超快速に乗れて大満足!楽しかったです。またいつか、復活する日が来ると良いですね。

高田でプチ歩きをしてから長野経由で帰路へ

高田駅は何やらオシャレな外観。駅周辺を観光する時間を取ったので歩いてみましょう。

…と、いきたいところですが外は大雨で悲しい。折り畳み傘は役に立たず、少し歩いただけで全身ボトボトになりました。観光は諦め適当に雁木通りを歩く。大した観光でもなく写真もブレブレだったので詳細には書きません。

まあ一つぐらいは楽しみを、と思って駅近くの酒屋さんで日本酒「吟田川(ちびたがわ)」をお土産に購入。4合瓶を飲みきるよりも買って帰る方が高頻度なので家は日本酒だらけです。


さて後は長野経由で帰るのみ。南高田からは雨が雪に変わりました。写真のような二本木駅のスイッチバックの配線をちゃんと見たのは初めてかもしれません。写真は引き上げ線から駅の方を見たもので、斜め右が高田方です。

妙高高原からはしなの鉄道に乗り換え。長野まで山を下りてくるともう雪はありませんでした。

お昼には長野電鉄長野駅の近くにある立ち食いそば「しなの」で「チートロそば」をいただきました。そばにチーズと卵とネギのトッピング。七味ではなくコショウをふります。食べてみると洋風…?何やら不思議な感じですがこれが美味しい!気になっていたので食べに来られて良かったです。

長野からは特急しなので一気に名古屋へ。先日、新幹線との乗継割引が全廃される予定とニュースリリースが出ていましたね。在来線を特急料金半額で乗れるのはありがたかったのですが残念。乗継割引の利用も乗り納め(?)かもしれません。

おやつに昨日の粟まんじゅうをいただきました。お店によってちょっとずつ味や食感が違って、それぞれの個性を楽しめます。美味しかったです!

洗馬付近では一定の標高以上だけが雪化粧している面白い風景を見ました。これぐらいの低い山でもくっきりと境目が出る瞬間があるんですね。

沿線の景勝地「寝覚の床」は一瞬で通過してしまったのであまりよく分かりませんでしたが、渡良瀬川みたいな白い岩が印象に残りました。名古屋行きだと進行方向右側に見えます。途中の5分の遅れはいつの間にか回復して、終点の名古屋に到着。

ここからはもう新幹線ですぐ帰れます。無事に帰宅…する前に、京阪電車の橋本駅へ。この一週間後ぐらいに、きっぷを発売する代わりに乗車駅証明書システムに変更となるため券売機の最後の雄姿を見ておきました。まあ言われてみれば、乗降客が少なくIC定期客の比率が高いのならこのシステムでも問題なさそうな気はします。この先のきっぷ事情の進展に注目ですね。


今回は11年ぶりに全線再開した只見線をメインに、栃木・福島・新潟を訪問してみました。只見線は復旧しましたが逆に、近年の乗客減少や人手不足で消えていく列車や路線もあります。乗りたいと思った頃にはもうなくなっていることもあるので、特に怪しい路線には早めに行っておきたいです。

次は、真冬に鳥海山と八甲田山の麓に行った話を書きます。

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