旅行記 / 道南・道東 真夏の北海道の名所を巡る [前篇] (2022/07)
真夏の北海道、美しい風景を堪能したい。
1年半前には真冬の北海道を訪れましたが今回は真逆の季節です。夏だからこそ見られる景色を眺めつつ、まだ乗れていない路線にもいろいろと乗ってみました。
連続7日間乗り放題で指定席も6回まで使える「北海道フリーパス」を購入。27,000円程度とそこそこのお値段ですが、普通のきっぷだともっと高くつくので余裕で元は取れました。それでは早速スタート!
何に乗って、どこへ行ったか
● 主なJR路線:函館本線、室蘭本線、日高本線、根室本線、富良野線
● 主な私鉄路線:函館市電、道南いさりび鉄道
● 主に行った場所:湯ノ岱温泉、ぷらっとみなと食堂、大雪地ビール館、美瑛町
● バランス:[観光] ・・・・★[鉄道]
◆Day 1◆ 湯倉神社と函館市電
今回は伊丹空港から函館空港まで一気に飛びます。大阪モノレールはいつも通りの前面展望でスタート!
空港で搭乗を待つ間に他の飛行機の写真を。離陸する瞬間も撮ろうと思って構えていましたが、待っていると長くて飽きてしまいます。そしてカメラを下げてしまった時にちょうど離陸していくという痛恨のミス…。
それでは函館に向けて飛び立ちましょう!離陸する時の身体がフワッとなる感じにはいつまで経っても慣れませんね。
積雲の間を抜けて上空へ。東に進むにつれて雲が厚くなってきて、富士山は見えませんでした。機内ではルートマップと飴ちゃんが配られていました。
前の方を見ると、前線か何かのデカい雲の連なりが。果たして函館の天気やいかに?
機内放送があり、函館は気温22℃で曇りとのこと。これは涼しい!関西民にとってはオアシスのような気温です。そして前回とは真逆の季節なのでまた違う楽しみがあります。
函館空港に到着して快速バスに飛び乗りました。まずは函館市電の未乗分を乗りつぶしに行きます!…とその前に湯倉神社で旅の安全祈願をしました。今回も良い旅行になりますように。
それでは湯の川電停から出発です。ここから函館駅前を通って谷地頭方面へ行ってみました。それにしてもやっぱり涼しい。
谷地頭電停に到着して全線の乗りつぶしが完了!続いては、函館駅の近くに取っていたお宿に先に荷物を置いて道南いさりび鉄道に乗りに行きます。
写真は駅前の様子。改めまして…はァ~るばる~来たぜ函館へ~~~!
道南いさりび鉄道で「みそぎの郷」木古内へ
さて道南いさりび鉄道ですが、ここはかつてのJR江差線の一部です。北海道新幹線が延伸開業した時に、津軽海峡を通って本州と往来する在来線列車がなくなってしまったため第三セクター鉄道となりました。
貨物の往来はあるのでそれで少しは稼いでいるようですが、今後の函館本線廃止動向によっては将来が危うい…といったところです。
車両は元JR北海道のキハ40。車体色は今回乗った紺色のほかに、黄色や深緑などのものがあります。
そして「いさりび1日きっぷ」なるものが発売されているという情報を今更ながらキャッチ。道南エリア対象のオンラインチケットサービス「Dohna!!」で700円でゲット。これはかなりお得でラッキー!
上磯駅を出てしばらくすると海が!そして向こうに見えるのは函館山です。もうちょっと晴れてたらな…。
列車走行中に窓を開けているだけで涼しい風が顔に当たります。関西で同じことをすると熱風が入ってくるだけなので、もうだいぶ異世界です。快適。
線路は直線部分も多く、ホームの有効長は貨物の待避もあるため長いです。かつての主要路線ということが随所に見て取れます。さすがに線路の規格は分かりませんが、何となくあまり揺れない感じがしました。
終点の木古内駅に到着。駅構内は人が少なくひっそり。駅前にある道の駅もひっそり。新幹線の駅とはいえど、停車列車のない時間帯だとひと気がないようです。
木古内は「みそぎの郷」とのことで、道の駅の中にはなかなかインパクトのある顔出しパネルが!
さすがに一人で顔を出す勇気はないな…。
旧江差線の廃線跡と湯ノ岱温泉を訪ねる
ここから旧JR江差線の中でも既に廃止されてしまった区間を訪ねてみます。北海道新幹線の開業前に木古内~江差が廃止され、現在はバスが運行されています。
今回はそのバスに乗って江差方面を目指しました。バスは貸し切り状態。
バスは江差線の廃線跡と並走しました。写真は旧吉堀駅舎。駅舎だけでなく鉄橋もまだ残っている場所があり、余計に寂しさがあります。
分岐のない一本道の道路を走っていく。周りを見渡しても何もない。圏外の区間もある。そりゃ廃線にもなるか…。
江差まで行ってみても良かったのですが、特にやることもなさそうなので、予定を変更して湯ノ岱(ゆのたい)温泉に行くことにしました。
バスを降りてまずは旧湯ノ岱駅付近を散策。写真はかつての踏切跡。手前に停止線が見えますね。
湯ノ岱駅跡には役場関係の建物が新設されていましたが、旧駅に関する展示などはありませんでした。ちょっと残念。
それでは湯ノ岱温泉に入りましょう!日帰り入浴は350円、安い。ちなみにフェイスタオルを忘れてしまったので250円で買いました。高い。
温泉は鉄分豊富のためお湯がだいぶ茶色かったです。身体を拭くと250円が茶色くなりました。35℃や38℃の、温度低めの源泉が気持ち良かったです。帰りのバスまで時間があったのでダラダラしていました。
だんだんと日が暮れていき、帰りのバスが到着。またしても乗客は私一人。温まった気持ち良さもあって寝ていました。
木古内でバスを降りたら外はかなり涼しかったです。その代わりにいさりび鉄道の車内は謎の暖かさ。これは暖房でしょうか?関西で同じことをしたら茹でダコまっしぐら、想像するだけで地獄です。
外が涼しいので暖房はありがたいですが、効きすぎてるのかわりと暑い…。窓の外を凝視するとうっすらと函館山が見えました。残念ながら漁火らしきものは見えなかったです。
函館に到着すると、キハ40…を改造した?検測車らしき編成が停まっていました。ちょっと珍しかったので一通り写真を撮ってからお宿に向かいます。
◆Day 2◆ 特急北斗から室蘭支線に乗る
…どうやら寝落ちしていたようです。よく途中で目が覚めて良かった。
寝なおしたものの列車の都合で5時過ぎに起きたので、もはや寝ていたのか何なのか分かりません。多分寝不足ですがとりあえず出発しましょう。
朝は特に涼しい。関西もこれぐらいやと嬉しいなあと思いつつ、特急北斗に乗りこみました。北海道フリーパスなので指定席です!
6時過ぎの列車ということもあり車内はガラガラ。ここから2時間半かけて東室蘭まで移動します。
これは何ともない写真ですが、中央の高架部分に注目。函館本線の藤城支線で、新幹線接続駅である新函館北斗を経由しない経路になっています。この線路を通る列車に一度乗ってみたいと思いつつもまだ行けていません。
前回はどこもかしこも大雪原で真っ白だったので、やっと緑地の状態を見ることができました。でも駒ヶ岳は雲に覆われて見えませんでした。
ひたすら続く山と海と平原。車窓を見てどこを走っているのか見分けるのは至難の業です。
長万部から室蘭本線に入ります。2駅先は秘境駅で有名な小幌駅!駅名標の撮影を試みてみましたが高速で通過したのであえなく失敗。特急では厳しいですね…。
室蘭本線の方が沿線人口が多そうな感じがしました。東室蘭付近では大きな工場がたくさん。さすがは鉄鋼の街!「室蘭スティーラーズ」なるチームがあるみたいです。
東室蘭で下車して乗り換え、室蘭支線で室蘭へ。列車はゆったり進んでいきました。
時間があれば地球岬なども行ってみたかったですが、今回はすぐに折り返しました。またの機会に観光してみたいですね。
さて東室蘭に戻って特急すずらんに乗ります。予約した車両は一列ずつの窓割りで床はカーペットのuシート!ちょっと上等な感じ。
週間予報では雨でしたがよく晴れていました。これは日頃の行いが良かったのでしょうか?
短くなった日高本線でエゾシカに出会う
苫小牧で日高本線に乗り換えます。車両はカムイサウルスのラッピング!
苫小牧を出てしばらくは室蘭本線と並走しますが、離れると原野のゾーンに入っていきます。このスケールのデカさが北海道です!
列車は途中で急に減速し、原野に警笛が響き渡ります。もしかして鹿か?と思って窓の外を眺めていると…。
写真にバッチリと(?)写っていました!
苫小牧から30分ほど走ると列車は終点の鵡川(むかわ)に到着です。
今やめちゃくちゃ短くなってしまった日高本線。かつて鵡川から先も線路が続いていましたが、2015年の低気圧と翌年の台風の被害で不通になったまま2021年に鵡川~様似が廃線となりました。海が近くて絶景だったそうです。でもそれがあだとなってしまったわけですが…。走ってるうちに乗ってみたかったなあ。
災害が激甚化している昨今、今後もこのような理由で廃線となる路線が出てきそうな気がします。こうなってしまう前に乗れる路線にはどんどん乗っておきたい、これも私の乗り鉄の一つの理由です。
鵡川から苫小牧に戻ります。次の列車までの間に「ぷらっとみなと食堂」で昼食をいただくことにしました。ただ、ぷらっと歩いて立ち寄るにはわりと気合いが必要。片道30分かかります…。
いただいたのは自分でネタを選ぶ三色丼!せっかくなので名産のホッキ貝を食べたかったのですが、そもそもホッキ貝は選べませんでした。残念。
代わりにめちゃオーソドックスな三色になりました。もちろんどれもめちゃ美味しかったです!
室蘭本線から函館本線を経由して根室本線へ
続いて苫小牧から岩見沢まで、室蘭本線を制覇します!
上でも書きましたが苫小牧を出てからは日高本線と並走。驚くほど長い直線でした。さっき乗ったカムイサウルストレインともすれ違います。
日高本線と離れてからも室蘭本線は非電化複線で長い直線!清々しい。でもどこか宝の持ち腐れ感がありますね…。苫小牧と岩見沢を短絡するので一見するとある程度需要がありそうにも思えますが。
途中駅の由仁、栗山からはそこそこの乗車がありました。広大な平原を走り抜けて終点の岩見沢に到着です。
ちなみに前回の北海道の記事で紹介した岩見沢駅構内の馬の像は、どうやら農業用の馬らしいです。ばんえい競馬じゃないの…?下の写真にもこっそり写っています。
岩見沢から特急ライラックで滝川へ向かいます。指定席の時は窓割りを毎回事前に調べていて、2列で窓が一枚の時は後列に座るようにしているのですが、今回は失敗しました。あれま。
天気も微妙になり、しばらくして降ってきてしまいました。
滝川に到着して乗り換えの間にひと休み。運賃表を撮っておきます。写真の中で言えば、留萌本線のうち石狩沼田~留萌が(記事執筆時点で)もうすぐ廃線に。記録に残しておく意味でも撮るようにしています。なお根室本線の富良野~新得もバス転換が容認されてしまいました。
それでは根室本線に乗りましょう。…この色は!北近畿にもおる!せっかくならJR北海道カラーが来てほしかったなぁとも思いつつ。
線路は空知川とほぼ並走していました。富良野までは赤平市や芦別市など、意外と都市を貫いているんですね。
野花南~富良野の間にあるトンネルがめちゃ長くて直線。走っているうちに車内に冷涼な空気が入ってきました。トンネルを出ると窓の外が結露!
旭川でジンギスカンをいただく
列車は富良野に到着。この日はただ経由するのみで、本格的な観光は翌日のお楽しみ。
こうような発車案内も撮っておくと旅の思い出になります。まあどっちにも乗ってないんですけどね…。臨時特急のフラノラベンダーエクスプレスと、そのうち消えてしまうであろう快速狩勝です。
ホームではちょうどフラノラベンダーエクスプレスが出発待ち。写真を撮りまくりました。色鮮やかな車両ですね!
一通り撮ってから富良野線に乗って旭川に向かいました。途中の学田駅は、2両編成ではホームに収まりきらず、後ろの車両が踏切と重なって停車するという状態でびっくり!鹿討駅と西中駅も同じでした。
美馬牛あたりからは林の中を快走。美瑛では丘のような景色も見えました。これは明日が楽しみです!
日が暮れる前に旭川に到着。半袖では肌寒い。前回は雪に埋もれて見に行けなかった川辺までやっと歩いて行くことができました。長閑な風景です。
さて本日の晩御飯は…。
大雪地ビール館に行ってみました!ここで食べて飲みますよ!
混んでいたので30分ほど待ってから着席。オーダーして早速焼きまくり!
ジンギスカンは旨いし店内の雰囲気も良い。最高でした。食レポは下手くそなのでこれぐらいしか書けることはありません。気になる方は実際に行って食べてください!
外の気温は何と18℃。お宿の部屋が思いのほか肌寒く、まさかの暖房オン。猛暑で寝苦しい関西では絶対にあり得ませんね…。
◆Day 3◆ 早朝の富良野線を南下する
普段とはうって変わって清々しい月曜の朝。昨日も乗った富良野線の列車に乗り込みます。混むかな?と思っていましたがここには朝ラッシュの概念はなさそうな様子。
…と思ったら、対向の旭川行きは混んでいました。反対方向で良かった。
今日の天気は上々!車窓に広がる広大な緑がワクワク感を高めてくれます。
この日最初の目的地、美瑛で途中下車しました。一大観光地とあって駅舎もオシャレな装い。
まだ朝の7時半で、さすがに観光客も少なくゆったりと見て回れそうです。
丘のまち・美瑛
美瑛は広大な丘陵の風景が有名なのですが、駅からはそこそこ遠め。歩いて行くのはまず無理なのでレンタサイクルを利用しましょう!
一軒だけ朝7時から営業しているお店があり、そこで借りました。悪いこと言わないので電動アシスト自転車にしましょう。
それでは出発です!さすが丘のまちだけあって早速上り坂が出てきますが、電動アシストのおかげで楽々です。
坂を登りきって前を見渡すと一直線に伸びる道路!いかにも「北海道感」があって良いですね。
この記事のヘッダーが像に入れてあるマイルドセブンの丘やセブンスターの木など、有名な所を中心に見て回りました。各地点は思いのほか距離があります。
…涼しい風!広い大地!美しい丘!
ここに書ききれないほどの美しい風景にひたすら嘆息していました。本当は撮った写真を全部載せたい勢い。移動中に眼前に広がる景色も圧巻でした。
最後はケンとメリーの木。とは言うものの、元ネタが分からん世代です…。
行ってみたかった美瑛の丘陵地を、自転車で心地よい風を受けながら巡れたのは最高でした。他の季節ならどんな表情を見せてくれるのでしょうか。
余韻に浸りながら富良野線に戻って、次は富良野を巡ります。実はこの時点ではどこへ行くかまだ何も決めていませんでした。とりあえず自転車借りて行き当たりばったりするかな…といったところ。果たしてどんな景色を見られるのでしょうか?
後篇につづく…。
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