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肝試し美人化 / 毎週ショートショートnote

墓地の裏にある小屋の扉をそっと開けるとギギィと大きく軋む音が月夜に響いた。
「本当に出るのかなぁ…美人の幽霊。」
「絶世の美女だけど、怖すぎて二度と行きたくないって心霊マニアに有名なスポットらしいぞ。」
怖いもの見たさと美女見たさでドキドキしながら小屋に入る。
どこからか冷やりと風が吹いてきた。
「…ここで何をしているの?」
耳元で突然話しかけられて飛び上がる。振り向くと、儚げながらも色気の漂う美女が立っていた。
「すげぇ美人。」
「幽霊でもいいから毎日会いたいくらいだなぁ。」
ニヤニヤしながら話す僕達を見て、幽霊は眉間に皺を寄せた。
「またなの?美人だなんだってこの時代に見た目をどうこう言うなんて!女性の気持ちがちっとも分かっちゃいない。二人とも正座なさい!」
幽霊の説教は延々と続いた。
足の痺れが治るのを待って小屋を出ると朝日がすっかり昇っていた。
「…怖かったな。」
「あぁ。幽霊に怒られるなんて…もう二度と来たくない。」

#毎週ショートショートnote
#肝試し美人化

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