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唐揚げの魅力 / 本日限定企画『唐揚げ祭り』

「誕生日、何食べたい?」
「唐揚げとー」
年に三回我が家で繰り返される会話。
誕生日は主役の好きなものを、と思って聞くのだけれど、三人の子供達は必ず最初に「唐揚げ」をあげる。
お寿司とかピザとかで家事をサボろうなんて考えていた私はひたすら鶏モモを揚げる。

「運動会のお弁当、何か入れて欲しいものある?」
「今日なに食べたい?」
などの質問にも必ず最初に言うのは「唐揚げ!」だし、夕食に揚げていると
「やったぁ!今日唐揚げだ!」
と全員がはしゃぐ。

何故そんなに好きなのだろう。

正直に言うと作り方は適当だ。
大きめの一口大に切った鶏肉に酒・醤油・生姜・にんにくを混ぜる。量は目分量だし時々にんにくは忘れる。小麦粉だっけ片栗粉だっけと思いながら粉を入れて混ぜる。片栗粉の方がカリッと揚がる気がするが硬過ぎるので結局両方入れる。あとはひたすら油にぶち込んで音や気泡の状態を見ながら揚げていく。
そのうち、揚げている音と匂いに誘われて子供達は一人づつ様子を見にやってくる。一人づつ来るのは、他の兄弟に悟られずにつまみ食いするためだ。
熱々揚げたてを一つ、はふはふ言いながら口に放り込む。なんとも幸せそうな顔で美味しそうに食べる。
「やっぱり家の唐揚げが一番美味しい!」
実はもっと正直に言うと、市販の唐揚粉でチャチャッと作る時もあるけれど毎回こう言われる。

…とすると、唐揚げの魅力は下味や粉のこだわりでは無いようだ。お弁当にも喜ばれるから、揚げたてのジュワッとジューシー感でも無いらしい。(揚げたて美味しいけどね)

では唐揚げの魅力とは何なのか。
もしかすると記憶にあるのかも?と私は考える。

唐揚げを食べるとき。それはいつも笑顔だ。
夕食、遠足、運動会、誕生日、ピクニック…。
大人にも言えると思う。
友人達と集まった居酒屋のテーブルに必ず登場して早々に食べられる唐揚げは特別感を出して食べる側に遠慮させたりしない。老若男女に好かれながらも決して気取らず飾らず茶色一色の気さくな存在。揚げたて熱々はもちろん、冷めても旨味を忘れないその心遣い。

酷く落ち込んだ時に唐揚げ食べたい、とか思うだろうか。何も食べたくない、お酒を飲んで忘れたい、ではないか。お酒は飲まずやけ食いする人も涙をこぼしながら唐揚げ食べたりしないのではないだろうか。

唐揚げの魅力は美味しさと幸せの記憶である。
と言い切ってみると、悲しい時こそ唐揚げを食べるべきだろう。
きっと口いっぱいに幸せの記憶が広がって少し救われるに違いない。

いつか大きくなった子供達が「食欲ない」とか言って落ち込んだ様子で帰ってきたら。
とりあえず唐揚げを出してみようと思うのです。
私の作る適当な唐揚げの味に紐づいた幸せの記憶で元気になれるように。


↑ 12月19日限定のこちらの企画に乗っかっております。

#オニギリ講座
#唐揚げ祭り

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