昭和ライダーを支えた人たちの赤い表紙の本

昭和の仮面ライダーのテーマ曲が流れるなか出てくる”大野剣友会”。先日、図書館でこの会の名前がつく本を見つけて、借りてきた。
大野剣友会とは、ヒーローもののアクションの部分を担うプロの方たちだと思っていたが、時代劇やサスペンスものなどでも大活躍していることをこの本で知った。巻末にリストがあり、あのドラマにも出ていたのか! と驚く。

大野剣友会伝 
 特撮ヒーロードラマを支えた達人たち 増補新版 
岡田勝(編著) 彩流社刊
 

1章は会の略史。
昭和40年代にメンバーが暮らしていたアパートの当時のおおよその間取りや、集合写真などの資料がある。西武新宿線の急行で高田馬場の次に止まる駅、鷺宮の近くの線路沿いにアパートがあったという。地方から上京してきたメンバーも大勢いて、大勢の若者たちがアルバイトもしながら共同生活をしていたようだ。 

2章のメンバー談話も興味深かった。
生い立ち、上京物語、入会まで・作品ごとのエピソード・近況をインタビューしたような構成になっている。
出来上がった作品を見て後からいろいろ推測することはできても、実際に撮影にかかわった複数の人たちの証言と作品とを照らし合わせることができる機会はあまりない。

昭和の仮面ライダーについても、メンバーがそれぞれが印象に残っているエピソードを語っている。同じ作品でも違った角度から証言があって、興味深い。

複数の人が、衣装をつけた状態で水に落ちるときの恐怖について語っている。水おちは、その日の撮影の最後で行うそうだ。理由は衣装がだめになってしまうからだ。
ヒーローでも、悪役でも、衣装をつけたまま水の中に落ちるのは怖い。泳げる人でも、衣装が重くなると大変だ。飛び込む前にあらかじめ、マスクを外しやすくしておかなくてはならない。
水中から飛び出すシーンの撮影では、衣装をつけた役者さんは、静かに潜んでいなければならない。水面が泡が立ったり、波がおきたりしてもいけない。
爆発、高所からの飛び降りなども危険と背中合わせだ。

そして、私が現在進行形で毎週再放送を追いかけている仮面ライダーアマゾンについても複数の人が語っている。とくに印象に残ったのがあの十面鬼についての記述だ。

十面鬼は、顔真っ赤に塗ってやってても、自分の顔がでてるってのは、役者やりたかった人間にしてみると、ああいうのでも顔が出ていたいもんよ。

大野剣友会伝(1)中屋敷哲也(旧名・鉄也)P250より

たしかに、鬼たちが話す場面では、短いセリフごとに一人づつ役者さんがクローズアップされていて、表情も生き生きと映っている。
大きな鬼の裏側がどうなっていたかも詳しく述べられている。配列が微妙に変わっている気がしたのも本当で、理由があった。気のせいではなかった。

週末は後楽園や、地方の遊園地でのショーとの両立もあって厳しいスケジュールだったようだ。
ただし、まだ見ていない作品のコメントもあるため、後半は読まずに保留することにした。

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