夜の芽
日曜の夜の芽。
その日の午後、外出先で降りしきる雨を見ながら「ああ、覆いを外してきたけど、コスモスの芽は大丈夫だろうかな…」と考えていた。
昼過ぎまで雨が降らなかったから、覆いをせずに出掛けてしまった。
こんなに降るとは。まあ、仕方ないか。これもまた、あれらの芽の運命。
しかし帰宅すると、芽は無事だった。
ヒョロヒョロの弱々しい見た目だけれど、こちらが思うより強いのだろうと思った。
しかし、一番早く出た芽が一番小さかったり、5日後に埋めた種が先に芽を出したり。
音沙汰なしの種はさすがにもうダメなのだろうね。
伸びた芽も、このまま大きくなるとは限らない。
途中で伸びなくなるかも。枯れるかも。でも、花が咲いたって、いつかは枯れる。
同じ種類のコスモスの種を、同じように蒔いたのに。
葉っぱの形も、茎の伸び具合もみんな違う。
みんな違って当たり前。
「みんな同じじゃなきゃいけない」を、押し付ける人間の考え方はおかしいね。
と、芽に学ぶ日々。
種から芽を育てたことがない人は、やってみれば良いなと思った。
そうしたら、人間にとって大事なことが、少しは分かる気がする。
スマホを見つめて、無味乾燥な人生と感じている人こそ。
そんな暇ないわと思う人こそ。
私に種からなど育てられないと思う人こそ。
そう思い込んでいる人こそ。
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