見出し画像

私と同人イベント

実は高校生くらいから本を出している。
結果的に言えばそこまでの部数が売れているわけではないが、印刷費を回収するくらいにはちょっと黒を出している程度だ。
別に印刷費がどうこうというわけではないが、こういえば嬉しいものだ。
『全部の本が売れた。完売した』

以前私は部数が比較的少ないと言ったがそれなのだ。
あんまり学生時代はとにかく本を作るのに苦労し、本を作ることに対しての金銭はあまり割けなかった。
高校生の時はアルバイトが禁止だったし、大学生の時はそちらにかまけていると単位を落として留年しかけるということになる。不器用だ。

私は今まで何度かイベントに足を赴いたがその理由はかなり不順で
ほしい本があるが一般だと売り切れるかもしれない。
だから事前に入ることが出来るサークルで参加して買おうという気持ちしかなかった。
なお、今でも本を作ることに対しての苦痛はあるのだがそれはおいおい話そう。
本は幾つだしても本なので本を出したところで全ての任務が達成できる。
例え1冊でも2冊でもどうでもよいのだ。
部数が少なくとも誰にも何も言われない。むしろ少ない方がダンボールが少なくて済む。
別に悔しいわけではない、あとお金がなかった。

当時私のPCはポンコツノートPCだった故に大きなファイルを開くとフリーズしてしまうのだ。
ペンタブはほぼ反応を示さないので難儀しながら本を作った。そもそも手振れとか筆圧とか皆無だったので曲線を引いて描いていた。
私の持ち味を逆に生かした本を作るが、そもそもフルカラーにしないと印刷すらできない状態だ。
先ほど言った大きなファイルを開くとフリーズする為、クリスタを開くことは出来ずSaiが限界だった。
それでもSaiで原稿をしようとすればトーンを貼るところでPCがフリーズ、落ちる。
私のPCがトーンに耐え切れない為フルカラーで作るしかない。
不器用な大学時代にアルバイトが出来るわけもなく、イベントスタッフという不定期のアルバイトに出てお金を稼いで本を出していたわけだが、大学での教材や、芸術系のゼミにいたのでその費用などを差し引いても本を印刷するのは難しい。
あとオタク活動が活発だった。色々買ってた。
あとフルカラーは高い、凡そ2倍の値段で印刷してもらえる。
本来なら白黒の印刷の方がいいのだが、先ほども言った通りトーンを付けると死ぬ。
グレースケールだとどうしてもうまく表現が難しかったりするのでグレスケのことはあまり考えたくなかった。見栄えもあまり好きじゃない。
紆余曲折考えを纏めて結果的にフルカラー10冊というのが当時の私の限界だった。
当時の入り浸ってたジャンルではキャラが多い為、その特定のCPを探すのは難しかったのでほぼオンリーサークルとして活動をしていたがそのおかげか様々な人の手に取ってもらえて感動を覚えた。
私の本が目の前で「ください」と言われる感動は今でもわかる。
ちょっとドキドキして「本当にいいのかな」と思う気持ちと「手に取ってもらえた」という気持ちがせめぎ合うのは何処かしら恥ずかしさをもたらすものだ。
今はコロナのせいでインターネット上のでのイベントしかないがやはりリアルイベントという魅力には大きく勝てないと思う。
本を全て売り切れば私の仕事は終わり、他の人と話したりアフターをしたりと過ごしていた。

次第にジャンルが変わって、別のジャンルで友達と一緒に飛び込んだ。
友達も本を作ってみたいと言ってきたので本を作る手伝いをあれやこれやとした。
2人で作った本を並べてそれが売れるととにかく喜んだ。
「友人の本を買いに来た」という人がいた時は私もとても嬉しかった。
当の本人は買い出しに出かけていたのでその時の言葉を全て録音して聞かせたいほどだった。
とにかくあの時は充実していた、人と接するのは好きだった。
それが次第にだが、コロナの影響でイベントに出られなくなり、100回目を迎えるコミケすら開催が不可能になる始末だった。
そして、同人イベントがインターネットに浸食した時に色々な事が起きる。

本を作らなくなったのだ。
同人イベントに参加する理由として、本が欲しかったのだが今じゃインターネットで予約注文、直接注文が出来る。
私が本を作ることはなくなり、イベントに参加することもなくなった。
次第に自分が「したいな」と思うこともなくなり、オタク活動からゆるゆると手を引きつつある。

やはりというか同人イベントの醍醐味は人に会う事だ。
その場の臨場感は計り知れない。
人と直接会ってまだ見ぬ本に出会ってこその同人イベントだ。
今ではそれも緩和されてきている。
いつか私もその場に赴きたい。
でも本を作るのはもうこりごりなので今度からは一般参戦か誰かについていきたいものだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?