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米国上場企業分析|Okta, Inc.(OKTA)

 本日は8/28の朝(日本時間)に決算のあったOkta, Inc.(OKTA)について調べてみたいと思います。IDaaS(Identity as a Service)などとも呼ばれますが、従業員や顧客のUser IDの管理を行うセキュリティ関連のクラウドサービスで、SSO(Single Sigh On)やMFA(多要素認証)、アクセス管理などを行うことができるプロダクトです。
 リモートワークが進んでセキュリティをよりしっかり対策する必要があったり、クラウドサービスが増えたことによりアカウントの管理が大変になったりといった課題に対応することができるプロダクトになっています。コロナの影響もPositiveに受け5月ごろから株価がグイグイ上昇している銘柄でもあります。
 2017年に上場した会社ですが、すでに時価総額は$26Bnほどに達しており、NTMベースのPSRは約28xですが、四半期売上高のYoY成長率は44%でありギリギリ正当化できるような気もするものの、コンセンサス予想の売上高成長率は長期的には30%ほどですので、やや迷うなという水準感です。

1.企業概要

 さて、Okta, Inc.は主にアクセス管理に関するセキュリティプロダクトを提供している企業です。Oktaの領域はIAM(Identity and Access Manegement)などとも呼ばれます。
 2009年に米国で創業された企業ですが、創業当初はSaasure Inc.という社名でした。(語源はSaaS Asureとかですかね、良く分からないですが…)
 その後2010年にOkta, Inc.という社名に社名変更をしています。この"okta"という単語は、実は気象学における雲の量を表す単位として使われている言葉だそうで、この当初からクラウドサービス向けのセキュリティプロダクトを提供することを想定していた様です。
 創業者はTodd Mckinnon氏(現CEO)とFrederic Kerrest氏(現COO)の2人なのですが、LinkedInの経歴を見る限り、2人は共に2003年~2008年ごろにSalesforce.comで営業や事業開発の仕事をしていた様です。ちょっと詳しくは見ていないのですが、時間軸から言っても同時期にSalesforceで一緒に仕事をしていて意気投合、共にSaaSの未来を感じてSaaS向けのセキュリティプロダクトを作ろうというきっかけだったんじゃないかなと思います。

 OktaがこのID管理の領域でどの様な位置づけにいるのかについては、毎度お馴染み調査会社GartnerのMagic Quadrantで見てみると、昨年のものではありますが、ぶっちぎりの業界リーダーとして評価されている事が分かりますね。ここまで他社を圧倒しているのは中々見た事が無いので凄いなと思います。二番手につけているMicrosoftは要はActive Directoryですので、独立系(IAM以外のプロダクトを持たないという意味合い)のベンダーの中で行くと二位のPing Identityに大差をつけているという事になります。

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 Oktaがどんなプロダクトで、どんな所に強みがあるのかについてざっと調べてみたいと思います。

2.プロダクト

 プロダクトについてはHPこちらの海外ブロガーの方のブログを参考にしつつまとめてみたいと思います。

 OktaはOkta Identity Cloudという名称でプロダクトを提供しており、主要なユースケースとして従業員のセキュリティ(Workforce Identity)と顧客のセキュリティ(Customer Identity)の2つを想定してパッケージングがされている様です。

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プロダクトライン
 Oktaは元々は従業員のアクセス管理(主にSSO)を主軸にして事業を展開していたのですが、徐々にプロダクトラインを広げ上記の様なラインナップになっています。Workforce IdentityとCustomer Identityは一部内包される機能が被っており、以下の様な関係性になっています。MFA(多要素認証)やライフサイクル管理(アクセス権付与/削除の自動化)やアクセス管理機能は両方で必要になる機能の様ですね。これらの機能は2020年に全てマイクロサービス化した為、ユーザーは自由に組み合わせて開発を行い自社のプロダクトや社内ITシステムに組み込んで使うことができることが特徴の様です。(当初はSaaSプロダクトへのアクセス管理のみが想定されていましたが、今ではオンプレにも使えますし、自社プロダクトに組み込むことも可能です)

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プライシング
 価格設定はWorkforce IdentityとCustomer Identityでは異なっています。使い方が違うので別のプライシングにした方が良いという事ですね。

プライシング:Workforce Identity
 こちらについては、プライシングは使う機能ごとに、1 Userあたり月●ドルという価格設定になっています。例えば以下の様なイメージになります。
 ・SSO:$2/mo/user
 ・Universal Directory:$2/mo/user
 ・MFA:$3/mo/user
 ・Advanced Server Access:$15/mo/server

 基本的には年間契約の様なのですが、1顧客あたりの最低契約金額は$1,500という事で、SSOだけ使うにしても少なくとも60人以上の組織での使用が想定されている値段設定になります。そもそもアクセス管理は組織の規模が小さい場合は手動で対応する事ができますので、小規模の会社に大してはOktaのプロダクトは活きてこないといった事もあるかもしれません。

プライシング:Customer Identity
 
Customer Identityの場合は、想定される最大MAUをベースに料金が決まってくる価格設定となっています。3つの価格帯がある様なのですが、最も廉価なDeveloper Editionでは1,000MAUまでの想定であれば無料で使用する事ができる様です。最大5万MAUまでをこのDeveloper Editionの枠内で対応する事ができ、その際の価格は$1,000/moとなっている様です。
 Developer Editionの上には、One App EditionとEnterprise Editionの2つの価格帯が用意されており、顧客の1つのサービスのみをサポートするか、複数をサポートするかによって分かれて来るようです。Enterprise Editionの場合は最大10億MAUまで対応できる様です。(10億とかになるとFacebookとかGoogleでもない限りは対応できそうなレベルですね)

Platform Service
 Oktaはメインのプロダクトラインの他に、以下の様にOkta Platform Serviceというものも提供しています。これらは元々はOkta Identity Cloudの基盤的な役割を果たしている機能でしたが、Oktaはこれらについてもマイクロサービス化し、かつAPIやSDKの形で顧客が自由にカスタマイズできる様に再開発しました。

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Platform Serviceは以下の7つで構成されています。
・Directories:ユーザー情報DB
・Integrations:外部サービスとのインテグレーション機能
・Insights:データ分析
・Identity Engine:認証機能
・Workflows:ワークフロー
・Device:デバイス管理

 これらのPlatform Serviceを個別にAPIやSDKの形で顧客に使える様にすることで、顧客が自社のシステムや他社サービスに自由にカスタマイズして組み込んでOktaを使うことができる様です。それにより顧客のあらゆるユースケースに柔軟に対応する事ができます。また、ノーコード/ローコードでのカスタマイズができる様で、ガチガチの社内SEがいない場合でも比較的簡単にカスタマイズして組み込むことができるのが特徴の様です。

 Oktaは柔軟性/オープン性を強みにしていますので、世の中のOkta以外の開発者にも広く受け入れてもらうことが要になってきますが、以下サイトの様な良い感じの開発者向けサイトも公開していたりとその辺りもしっかりと力を入れている様です。

 上記サイトではコーディング例を公開していたり、公開しているAPIに影響の出るリリース(ソフトウェアのアップデート)のログを公開していたり、開発者のフォーラムを主催していたりと、その力の入れようが垣間見えます。

3. 市場と競合

 プロダクトの特徴については一通り重要な部分は説明できたかと思いますので、続いては市場や競合企業についても説明していきたいと思います。

市場
 
Oktaはターゲットとする市場については以下の様に定義をしています。Workforce IdentityとCustomer Identityに対しOkta Identity Cloudを提供することができ、対象とするシステムはクラウドでもオンプレでも良いという想定ですね。

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 これらの市場に対するTAMとしてはOktaは以下の様に合計$55Bnと見積もっています。日本円にして6兆円弱のTAMですね。
2020年1月期の売上が$586Mnでしたので、100倍の拡大余地があると主張している訳です。

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 ちなみにOktaは2017年のIPO当初はそのTAMを$18Bnと表現していました。IPO当初はWorkforce Identityのみに焦点を当てていたので今想定されている$55Bnよりもかなり小さくなっています。
 Workforce Identity自体も$18Bnから$30Bnとかなりおおっくなっていますが、その増加要因の分解は以下の様になっています。

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 TAM自体も年率19%成長をしており非常に有望であることが分かりますね。拡大余地が現時点で100倍あり、かつその市場は年率20%弱で成長していると、Oktaの売上高成長率は30%台なのにPSRが30xを超える高値で株価が推移しているのはこの辺りにも理由がある気がします。

 この様に市場が拡大していっているマクロトレンドとしては以下の様に①クラウド化の進展②デジタルトランスフォーメーションの進展③ゼロトラストセキュリティの考え方の浸透、などがあります。

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 前者2つは普通にまぁそうだよねと納得できると思うのですが、この3つ目のゼロトラストセキュリティとは何者でしょうか?
 詳しいことは以下の専門の方が書かれた記事を読んでいただければと思いますが、簡単に纏めるとエッジデバイス(PCやモバイルなど)が保護されている前提でセキュリティを構築するのは止めましょうという考え方になります。

 従来のセキュリティでは社内のデバイスはウィルスに感染していない前提で、ファイヤウォールを社内外の境界に引くというのが一般的な防御策でしたが、インターネットが進化したことで、どれだけ気を付けてもウィルスに感染するときは感染するという世の中になってしまいました。ファイヤーウォールの弱点としては、一旦ウィルスがウォールの内部に入ってしまうとそれを防ぐ術が少ないという点になります。
 それは危ないよという事で、デバイスごとにちゃんとセキュリティを管理しましょうねという流れがあり、それに対してOktaは最適なプロダクトの一つであるということになります。

 ちなみに以前に紹介したCrowdStrikeもゼロトラストセキュリティを実現するためのプロダクトの一つとなります。以下の記事ではゼロトラストセキュリティには焦点は当てていませんが、気になる方は以下をご覧ください。

競合企業
 先に述べた通りGartnerのMagic Quadrantでは圧倒的トップに位置付けられているOktaですが、2番手と3番手の競合、Microsoft(Active Directory)Ping Identityについても簡単に調べてみたいと思います。

Microsoft(Active Directory)
 MicrosoftのActive Directoryといえばこれまでは最も有名なアクセス管理ソフトウェアだったのではないでしょうか。特に日本の大手企業だとActive Directoryを全く使っていない企業はあまり見た事が無いかもしれません。Microsoft自身はFortune 500の90%の企業が使用していると公表しています。また最初にリリースされたのは1999年であり、20年以上の歴史を持つプロダクトになります。
 Windowsへのログインや、会社のサーバーへのアクセス管理などが最も使われるシーンかなと思います。Office365を契約している顧客はベーシックな機能を無料で使うことができ、この辺りの製品バンドル戦略はOktaとは異なる強みになります。
 他方でActive Directoryには弱みもあり、Microsoft製でないクラウドサービスとのインテグレーションはOktaにかなり劣る様です。例えばHRシステムとの統合の観点でいくと具体的にはWorkdayとはスムーズに統合できますが、G SuiteやSAPのSuccessFactorsなどとはサーバーを立てて個別にセットアップが必要になってくるようです。OktaがサポートしているSaaSは6,500個以上に及ぶようですが、Active Directoryでは2,800個ほどと、Oktaがかなりリードしている印象を受けます。
 昨今は必ずしもOffice365を導入しなくても、G Suiteや他のSaaSサービスで業務を完結させる企業も増えて来ていますので、SaaS業界の台頭はOktaにとってはかなりの追い風になりそうです。

Ping Identity
 Ping Identityは2000年に設立された、アクセス管理ソフトウェア(IAM)の会社であり、2019年に上場を果たしています。TickerはPINGです。 Active DirectoryよりもPing Identityの方がOktaに近いプロダクトな気がしますが、Pingの売上はOktaの半分、成長率も半分以下であり、この数字からだけでも明らかにOktaの方が顧客から選ばれる良いプロダクトであると分かるかと思います。

 以下は昨年のPingの上場時のプロダクトに関する説明資料ですが、何というかOktaと似ているなというか、Okta意識しすぎじゃないですか?という印象を抱きます。実績や成長性がOktaにかなり劣っている事を考えると、Oktaに投資判断をする上ではActive Directoryとの競争環境を主に意識すれば良いかなと正直思います。

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4.業績(PL)

 それでは、先日発表されたOktaのFY21Q2決算の内容についてざっと振り返ってみましょう。まずは現状のサマリーです。
 顧客数は8,950社、Net Retention Revenueは121%であり、FY21(今期)の売上予測は$800~803Mnに達しており、FY18(上場後)からFY21までのCAGR(年平均成長率)は46%と概ね業績は好調である事が伺えます。他方でFY20からFY21の予想成長率は36.5%であり、やや成長が鈍化してきていることが分かります。
 ちなみに全体の顧客数8,950社は前年同期比で28%成長ですが、年間契約額が$100K以上の大口顧客は1,685社であり、この大口顧客数は前年同期比で38%増加しています。大口の顧客数の方が成長率が高く、大手企業に活用されやすい(=解約率が比較的低くなりやすい)プロダクトと言えるのかなと思います。

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 業績のうち、売上を四半期ベースで分解すると以下の様なグラフになります。直近のFY21Q2だけの売上ではYoYで43%成長となっています。棒グラフの下のProfessional servicesは要は導入支援の売上という事になります。

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 非財務指標ではありますが、個人的にOktaの成長率の底堅さが読み取れるのがこのNet Retention Rate(NRR)です。NRRは既存顧客からの売上が1年でどれだけ拡大したか(=アップセル/クロスセルできたか)というものを表す指標です。つまり、NRRが120%であれば、新規顧客を全く獲得しなくても売上が年率20%成長するといったことになります。このNRRは普通は規模の拡大と共に徐々に逓減していくのが普通なのですが、その様な傾向は全く見られず、むしろFY20Q3からNRRが増加傾向にあるというのが特徴的です。成長性という観点では非常に信頼がおけるなと思いました。

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 グロース株のSaaS企業の株価はPSRで評価されることがほとんどですが、そのPSRは将来に期待できる成長性とGross Marginで横比較をして高いか否かという判断をしています。(少なくとも私はという意味ですが)
 という事なのでGross Marginが極端に低かったり(SaaS企業の場合は70%以下)、Gross Marginが低下傾向にあったりする場合は一度立ち止まって評価を考える必要があります。
 Oktaの場合は以下のグラフの通り、Gross Marginは安定かやや増加傾向にあり、Non-GAAPではあるものの80%超という高い水準をKeepしています。将来的に成長していけば、非常に収益性の高い企業になることが期待できそうです。

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 良いSaaS企業か否かを判断するのに一般的に使われる”Rule of 40”についても決算発表資料で開示してくれています。正直上場しているSaaS企業でもRule of 40をクリアしている企業は多い訳でもないのですが、Oktaは完璧にクリアしており、50%超の超高水準を保っています。収益性と成長性を兼ね備えたとても良い企業という事になります。

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 何度か別の記事でも触れていますが、NRRにせよRule of 40にせよ、開示をする必要のない非財務指標を敢えて開示するというのは、経営陣がよっぽどその指標に自身を持っているからという背景があります。その指標が悪くなって急にその指標の開示を止めると悪目立ちして根掘り葉掘り聞かれて逆効果になるので。

 という事で業績(PL)の観点では、かなり満点に近いくらいの成長性と収益性を備えた会社であると分かります。Gartnerの評価やプロダクトの強みなどからしてもこの業績の良さが一過性のものではなく、今後も継続していくのではないかと評価ができます。

5.財務状況(BS)

 正直そこまで気にする必要もないのですが、一応BSの状況についても簡単に纏めてみます。

資産(総資産$3,115Mn)
・現預金&短期投資:$2,514Mn
・未払金:$86Mn
・設備:$63Mn
・のれん:$48Mn  など…

 という事で、総資産の80%が現金で構成されている財務構成になっているんですね。2020年1月末の時点では現預金はおよそ$1,400Mnでしたので半年で$1,100Mn現預金が増えた事になります。これは6/8に発表された転換社債による$1,000Mnの調達が主な増加要因となります。

 先日大型買収を発表したFastlyは5月に資金調達を行いその3か月後に買収発表といった形でした。不必要なほど大型の資金調達を行う場合はM&Aなどのアクションを仕込んでいる可能性もありますので、もうじきOktaはM&A発表してくる可能性もありそうです。この後触れますが、ここまで年1回ペースでM&Aを行っていますので、そろそろなのかな…と。

負債(負債総額:$2,429Mn)
・転換社債:$1,732Mn
・前受金:$391Mn
・前払金:$94Mn  など

 という事で、ほぼ転換社債と前受金で構成される負債になります。転換社債は基本的には株式に転換されますので、お金を返す必要はなく、前受金も返金は発生しない形の負債ですので、財務上は極めて安定していると言えます。

純資産:割愛
利益剰余金はかなりマイナスですが、まぁ特筆することはありません。何も問題ありません。

 という事でOktaのBSはかなり潤沢な資金を備えており、将来の成長投資もかなりガツガツ進めていけるというそんな形になっています。非常に期待できると思います。

6.M&A

 Oktaはこの数年で公表されているだけでM&Aを3件行っており、プロダクトラインや機能の拡張を進めています。それぞれどの様なM&Aを行っているのか簡単に振り返ってみます。

①Stormpath(2017年3月)
 Stormpathはアイデンティティ管理(権限管理)サービスとそれを外部サービスと接続するためのAPIを開発している会社でした。Oktaは今ではPlatform的なサービスも提供していますが、2017年当時はまだまだ外部サービスとの接続機能は強化中の段階だった様で、Stormpathの買収目的としては外部サービス連携の強化だったと思われます。
 スキームの詳細までは調べられていないのですが、どうやら事業譲渡に近い形だった様で、Stormpath社とのライセンス契約や従業員の移籍などを組み合わせ、Stormpath社にOktaの株式を渡しているという形の様です。何か税務的には怪しい匂いもしますが、詳細が気になるところです…

②ScaleFT(2018年7月)
 どんなスキームであれStormpathはM&Aにほぼ近い形であったとの前提で、2件目のM&AはScaleFTという会社の買収でした。
 ScaleFTは先ほども説明したゼロトラスト前提としたアクセス管理の為のプロダクトを開発している会社でした。
 この買収の目的は世の中のゼロトラストの流れに素早く対応するためのOktaの機能強化といった所でしょうか。ゼロトラストセキュリティの必要性については、上で書いた話やリンク先のブログをお読みいただければと思います。

③Azuqua(2019年3月)
 
3件目の買収はAzuquaというノーコードアプリケーションの統合ワークフローの自動化を行う事のできるプロダクトを提供している会社です。ノーコードも世の中の流行りの一つですね。
 買収当時の調査だと、Oktaの顧客は平均83個のCloudサービスを社内で活用しており、顧客の9%は200個以上のCloudサービスを使っているという状況の様です。アメリカだとクラウドの浸透度が桁違いですね。
 その様にクラウドアプリが増えてくると、スムーズにサービスを連携したり、アクセス/権限管理を自動で設定したりとったことが非常に手間がかかる様になります。当然APIは各サービスが解放している事が多いので、コードを書いてガリガリ開発すれば良いのですが、80個とかましてや200個とかサービスを使っていると全てに対して社内エンジニアで開発を行うのは普通は無理ですよね。なのでこういったノーコードアプリの必要性が増してくる訳ですね。
 買収目的としては改めて言う必要もないですが、ノーコード開発対応ですね。

7.株価

 上場来Oktaの株価は以下の様な形で推移していまして、上場時に買っていれば10バガーに近いリターンを達成している銘柄になります。

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 時価総額はおよそ$26Bnですので、NTM(Next Twelve Month)の売上高予想ベースでは、PSRは約28xの水準感となります。但しこの予想値は8/27の決算発表前のコンセンサス予想なので、好決算&ガイダンスを受けて、コンセンサス予想が更に情報修正され、PSRの水準は更に下がる可能性もあるかと思っています。

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 正直コンセンサス予想の将来の成長率が30%を切る様な形だと、PSR30x近い水準というのは流石に高いなという印象なのですが、以下の通り、Oktaはこれまで上場以来一回も決算をミスっていない会社なので、今後も予想を超える業績を出してくることも十分に考えられるかなと思います。

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 Oktaは纏めると総じて将来的な業績の伸びはかなり確実なものと言える会社ではあると思います。但し、昨日の決算でもあれだけ良かったのに次の日に株価が下落している所を見ると、かなりの期待値が株価に織り込まれている気がするので、Oktaに投資判断するにしても投資のタイミング(どの程度の株価から入るか?)は少し慎重になるべきかなというのが全体的な感想です。


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