見出し画像

カルチャーショックを受けた話


そういえば、地方移住して自分の作品を販売するお店を始めて数年目、
驚いたことがあった。

最初に言っておこう。愚痴になります。(言うなや)

お店は自宅兼用の建物の軒先で、小さな雑貨店をやっている。
雑貨店と言っても仕入れた商品を販売するのではなく、自分のハンドメイド商品と全国で活動するハンドメイド作家さん5名の委託商品を販売している。

半分以上は私が制作した羊毛フェルト作品やイラスト作品、もう半分が委託商品といった割合だ。

イラスト作品を販売し始めたのは開業から3年目頃からで、
シルクスクリーン印刷をしたポーチやTシャツ、缶ミラーやメモ帳、
ノートなどの小物の他に
手のひらサイズのキャンバスにアクリル絵の具で描いた原画も販売している。

この手のひらサイズのキャンバス原画(ミニ原画)に事件は起こった。

イラスト原画の一部は店内の漆喰壁にひっつき虫(ソフト粘着剤)で飾っているのだが、
アクリル画の質感が珍しいからか、はたまた手のひらサイズというミニサイズのキャンバスが珍しいからか、

絵の表面を触ろうとするお客さんがまあー!多い!!


びびった。


小学校低学年くらいのお子さんだったらわかるけど、40超えた大人たちが
「こんなのあるんだあ〜」「なにで描いてんだろお〜」って言って指で普通に絵の表面を触ろうとすることに驚いた。


ちょちょちょちょちょちょ


そりゃあ私は美大も出てないし基礎もなってないし
独学で
経験値も低くて下手でヘタレでビビりでチキン野郎だよ。


絵自体の価値もアーティストさんに比べたら高くないだろうし、
気に入ってくれた人なら小学生でも買えるくらいの金額で販売している。


でも、絵や写真や作品の表面は触ってはいけないことは知っているよ。


事実、心を込めて描いた作品を買う気もない他人に手で触れられることは
私にとっては顔面に素手でビンタくらってるくらい悲しく痛いことだった。




たまにお店に来て雑談しながらお買い物をしてくださるお客様がいた。


どの商品も「これ可愛いね。これも可愛いね。これはなに?それも可愛いね!」等々、
ひとつひとつの商品に興味を持ってくださり、

商品説明をすると
「これは?これは?」と店全部の商品を見てくれるのだが、、、、



客「これも売ってんの?」

私「はい。アクリルガッシュという絵の具で私が描いたものを販売してます」

客「へえ〜そうなんだ〜」




次の瞬間、私は全身から血の気が引くのを感じた。




その客は「これも?これも?へえ〜」などと言いながら、




壁に飾っているアクリル画の表面を








指と爪先で擦り始めたのだ。







・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!!







この時の私は、


最初は


(いつも来てくださってるし買い物もしてくれるし、子どもも絵を触ることあるからな・・・)と思っていたし、

1〜2枚、触って質感を確かめたら気が済むのだろうと思っていた。










しかし、


「これも?これも?」



客の手は止まらない。







あ。これダメなヤツだ。


私が。





普段、滅多に怒りを外に出すことをしない私だが(お客様になんて尚更)



拳を握りしめ


客に告げた。








「お、お客様。すみません。

ひょ、表面は触らないように、お願い、いたします。」


(普通に聞こえるがワナワナしている)









すると客から帰ってきた返答は、、、、









「え?なんで?」











キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ















お客様に悪気はないのだ。

ただ、知らなかったのだ。

純粋に触ってみたかったのだ。

幼児が初めて虫を見つけた時のように、
好奇心が働いただけなのだ。





このお客様は、そういう方だったので、

「作品の表面を触ると、
キャンバスが歪んだり着色面に指先の油分がついたり、着色の仕方によっては色が剥がれたりするんですよ。」と説明をして、


その場を凌いだ。



だが、この客はキャンバス画だけにとどまらず、
店内のレジンアクセサリーや羊毛フェルト作品も


ひとつひとつ触りながら

しばらく滞在した。




そしてこの日はなにも買わず、

次回来店時に購入したいというイヤリング2点を取り置き希望し、
帰って行った。






反省だ。これは反省点だ。







無闇にペタペタペタペタ触らせてしまうディスプレイと


それを阻止できない自分の接客を反省した。






閉店後はすぐさま、ディスプレイ場所に貼り付ける注意文
(作品の表面や細工面を触れずにご覧くださいといったもの)
を作成した。


触って質感を確かめてから買いたい。
という客視点はよくわかるので、


購入したそうだな、というお客様には

鏡で合わせてみてくださいね。とか
どうぞお手にとってみてください。と、

こちらからお勧めしている。





「これもこれも」というタイプのお客様は


「試着いっぱいするけど結局買わない(もしくは結局最初に試着したやつにする)」
という類の





一種の妖怪だと思うことにした。






ハンドメイド界以外にも
アパレル業界や
インテリア業界などにも出没することがあるだろう。




大きな害はないが、接客には忍耐力とスキルが必要だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?