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妻夫木聡×蒼井優 終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」

「罪とは何か?」を考えさせられるドラマでした。
答えが出せない難しい問いかけ。
1時間15分のドラマでしたが、十分見応えはありました。

【あらすじ】

1945年5月。西部帝国大学医学部・助教授の鳥居太一(妻夫木 聡)は、教授の指示のもと、米兵捕虜の手術を手伝うが、それは人体実験手術であった。教授に恐ろしい手術の中止を進言するが、却下され、8名の捕虜が死亡。戦犯裁判で死刑判決を受けた太一は、凶行を止められなかった自分と向き合うことになる。
一方、妻・房子(蒼井 優)は、裁判の中でゆがめられた真実を明らかにし、事件の首謀者にされた夫を死刑から救おうと奔走する。房子の必死の思いと、死刑囚たちとの新たな出会いによって、太一は目を背けていた本当の罪に気づいていく・・・(NHKより)

命令に逆らう罪

戦時中の当時、命令に背くこと、戦争を否定することは罪であり殺されると聞きます。その中で、人体実験がおかしいと声を張り上げることは非常に難しいのは到底理解出来ることである。

では現代で考えてみると?

もちろん人体実験とは比にならないのは明白だけど、上司の命令に背けれない事柄は今でも無数にある。おかしなことをおかしいと声を上げると、逆に罪をかぶせられたり追い込まれたり、世の中は理不尽なことで溢れかえっている。

だけどもし「いけないこと」が明るみに出たら、自分を守るのは自身の行いのみ。
「なぜやってしまったのか」という事実からは逃れられない。

命令に逆らっても、従っても、法の前では無力である(と、思う)。
命令だからと従っても後に「そんなこと言ったことはない」と逃げられ裏切られたらそれまで。
なら自分の正しいと思うことをするしかない。

そしてアンナチュラル(ドラマ)にもあったように、裁判に勝つために事実を捻じ曲げようとすることもある。(ドラマでは未然に防いだものの…)。

もし目の前に、「みんなの正義」と「自分の正義」を天秤にかけられた時、自分は正しいことが出来るのかな…。

正しさは後になってみないとわからない時もある。
自分の正義が誰かにとっての悪だったり。
必要悪という言葉もある。
正義だと勘違いしていることある。

正しさのありかはわからない。



何もしない罪

”部下が任務として行ったことが罪に問われるとしたら、それは私の罪だ。自分では直接何もしてなくても、なにもしなかった罪ということもあるのではないか。”

深い。

この言葉を聞いた時様々な感情が込み上げてきたけど、うまく表現出来ない。
このドラマで一番心に残った言葉でした。


「命の使い方」に良いや悪いはあるのか


「捕虜として殺す命なんだから、実験して医学の発展に貢献した方が良いと思わないか。」というセリフを聞いた時、今までの【医学の発展】はどうやって行ってきたんだろう?と思いました。

よく「〇〇の謎はまだ解明されていない」ということを耳にするけど、それは実験が出来ないからなのかな?もしくは実験方法がないから?

ナチスのことについて本を読んだ時も、人体実験はあった。戦争の裏では、人体実験は常に行われていたのかもしれない。
では、今の医学はその時の犠牲から発展していってるのかな…?


戦争の事実を受け入れる難しさ

戦争の惨さは誰もが知っていると思う。
知れば知るほど私には恐ろしい。
だけど、知らないことは”罪”だと私は思っている。

図書館で、ヒロシマ、原爆に関する本が特集として集められていたけど、生々しくて怖くて読む勇気がまだ出ない。
いつか必ず読もうと思う。

海外へ一人旅をする時、必ず行くところがある。それは「戦争の爪痕」がある場所。
知らなきゃいけないと思う。
命の重さと戦争の残酷さを。
国内も国外も関係なく、「人」としての命の大切さを。

なぜ海外へ行ってまで知ろうとするのか?
それは日本が関わったものを国内で知るのと、海外で知るのでは見方が違ってくるから。
日本では正義としたことが、海外では悪であったり、その逆も然り。

物事の片側を知るだけでは不十分。事実を知るにはいつも両側から事態を把握しなければいけない。これはどんなことについても言えること。

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俳優業

戦争に関する映画やドラマを見るといつも辛い。今まで俳優業について考えたことなかったけど、役作りって大変な作業なのかもしれないと今回初めて思いました。
見るのも辛いのに、演じる側はどのくらい辛いんだろう。役作りのために資料や歴史をたくさん調べたとしたら、その残虐なものを知る辛さはいかほどなんだろう。


お勧めドラマ

戦争ドラマや映画は辛いし悲しいので正直あまり好きではありません。でも悲しいからといってずっと避けていてもいけないと思います。
過去があるから今がある。
自分たちはいつも誰かのおかげで今を生きている。

今でも心に残っている戦争ドラマ。
どちらも考えさせられる内容です。

【二つの祖国】
【Tokyo Trial 】


おわりに

しかたなかったと言うてはいかんのです

これから色んな場面でこの言葉が私の頭をよぎるだろう。それは命の問題じゃなく、日常生活の些細なことに関しても。

戦争ドラマから得られるものは命の大切さや恐怖政治だけじゃなく、何気ない日々の生活にも潜んでいる小さなことにも繋がっていると思う。



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