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【いまひとたびの】

年の瀬にお使い物を買い求める人
暖簾の白
門松の緑
暦の季節は春

福を求めて列をなす
山茶花の赤
庭木のみかんの黄
抱かれた赤子の裸足

新しい地蔵の襟掛け
氏神様の旗立て
神棚に供える庭の榊
色とりどりの御節

メディアから流れる
今生の別れ
今年の漢字
我を振り返って静寂

静かに想う
時には空を飛ぶように
時には地を這うように
翻弄されても憎めず

静かに想う
心の内に業火を燃やして
どんなに焼かれていても
燃え尽きてしまわぬように

悲しい程等しく流れる
時の経過に憂いても
どんな形であっても
幸せをと願う

巡る季節に輝ける
記憶を刻んで
言葉を紡いで
いまひとたびの逢瀬を願う

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